ナンパをした記録2

〜23歳の2月22日(後半)〜

　16:00

　お嬢様大学生と解散。まだまだ時間はある。とりあえず行きつけの接骨院でマッサージを受けながら会話をしよう。お嬢様と別れた、そのままの足取りで向かう。

　着くなり埼玉先生にデートのご報告。写真を見せびらかす。仕事の愚痴を言いつつ、自慢もしつつ。マッサージ後も客がいないことをいいことにダラダラ会話する。相当嫌な客だと思う。それでも埼玉先生はまるで弟子の成長を見守るような。かなり掘り下げて聞いてくれる。最後は僕の話がスベったタイミングで、「商売の邪魔になるから帰れ！」と笑顔で言われた。本当に優しい方である。

　17:00

　接骨院を出る。予定もないので、恵比寿でナンパすることにした。着くなり、ひとまずガーデンプレイスへ。道中、声をかけた子が高校生だったとか、プチハプニングを起こしながらも目的地に到着。トラブル回避も心得なければいけない。

　さて、周りを見渡す。何人かの女性の中から話しかけられるターゲットを絞る。

　さっそく、駅前の案内板を見ながらキョロキョロしている子がいたので声をかける。背丈は160、ロングヘアの目の細い子だった。

僕「恵比寿横丁ってどっちかな？」(知ってるくせに聞く)

女「！？えとー、えと、」

僕「あれ、難しかったか。てかどこか探してる？」

女「ここらへんで19:00までビール飲めるって聞いてて。」

僕「恵比寿ビール記念館のこと？すぐじゃん。場所わかる？」

女「私ここ初めてで、ビール飲んでみたくて、それと、韓国から来たので、」

僕「え？！韓国の人？！めちゃめちゃ日本語うまいじゃん。名前は？」

女「ジニ(仮)です。」

僕「そっか、友達とビール飲みにきたの？」

女「いえ、友達がお酒苦手で、今日は別行動です。」

僕「そっか。じゃあ一緒にビール飲もう。」

女「ほんとですか？はい！」

　ということで、2人で飲むことに。初めての外国の人だった。しかも20歳。ちなみに韓国だと22歳。韓国って生まれた時から1歳で、新年が来るたびに1つ歳を取るんだとか。だから12月31日に生まれた人は次の日には2歳なんだ。日本で生後一日が、韓国で2歳。へぇ、知らなかった。

　記念館の前でジニが写真を撮る。ついでなので2人で撮ろうと提案、当然のようにラインを交換して写真を送ってもらった。

　中ではビールを飲みながら話をする。韓国の留学生で１ヶ月前に来たこと、2日後には帰ってしまうこと、恋人はいないこと、などポツポツ情報を得る。調子に乗って、こちらも強気になり、恵比寿を色々見ようと提案する。

　記念館を出てから、恵比寿銀座まで歩いた。ホテル街になり、お互い気まずくなる。引き返しながら恵比寿横丁へ。

　狭いスペースに椅子がぎゅうぎゅうに並ぶ。人の間を縫うように歩き、2人で席を確保する。店内で肉寿司とお酒を嗜んだ。

　ジニは韓国人とは思えないほど日本語がうまかった。ウーロンハイを三倍飲んだあたりでこちらも気分が良くなる。彼女がお手洗いに行くタイミングでこっそり会計。本日2回目。もはやお決まりとなりつつある。戻ってきた彼女に感謝されながら外へ出る。まだ時間があるとのことで、渋谷駅まで散歩することにした。長い距離だが、彼女も歩くのが好きなようである。

　途中雨がふったので、こちらが傘をさしてあげる。相合傘のつもりだったが、意外に腕が疲れる。後悔した。

ジニ「１ヶ月あっという間でした。」

彼女がいきなり辛気臭くなる。

僕「寂しい？」

ジニ「はい。」

僕「そっか。寂しいよな。」

　お互いちょっと無言タイム。無言タイムは1秒ごとに1時間寿命が縮む。ハンターハンター読後の副作用。まぁ、頃合いかなとも思ったのでここでぶっこむ。

僕「じゃあ、思い出作ろう。手を繋ごうぜ。」

ジニ「え？？手ですか？冷たいです。」

僕「うん、とりあえず出して。」

　なかば強引だが、手を繋ぐ。なんだろう、このとりあえず繋いどこうかってノリ。日本人は手を繋ぐのが普通みたいに思われたんじゃないだろうか。

僕「韓国は友達どうし手を繋ぐの普通なの？」

ジニ「女の子どうしだとたまに。」

僕「異性は？」

ジニ「あんまり、ないですね。」

　そりゃそっか。そのままタワレコへ。KPOPコーナーを見て雑談。22:00を回ったところで帰ろうと提案する。もちろん出てからも手を繋ぐ。向こうはバス、こちらは駅へ。特に手を繋ぐこと以外は発展はなかったが、国を超えて親密になったのは経験として貴重だった。彼女は半年後、また日本に来てくれるらしい。その時には友達になれるかな。

　この日も濃い一日を送れたように思える。

　出会ったみんな、ありがとう。

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「ミンちゃんとディナー」