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#18 死産 悲しみを、乗り越える?

自宅療養
退院して、8週間の産後休暇に入った。家に帰ってからは泣いて、眠って、ずっとベッドに横たわっていたように思う。食事や他のこともどうしていたか全く覚えていない。妊娠以上に太った体もあっという間に元の体重に戻っていた。

どれくらいだか記憶にないが、しばらくの間は、不思議なことに富士ちゃんのことを考えられなくなっていた。
富士ちゃんのことを考えようとすると、まるでブレーカーが落ちたように思考が落ちてしまう。悲しいことがあったのに、それが何だったのか一瞬わからないときがあった。正体不明の寂しさや虚しさが寄せては返すのをただ見つめているだけだった。現実を受け入れられないと人間はこんなことになるのか、と思った。

死産について
少し体が回復してくると今度は今回の死産の原因である臍帯巻絡、臍帯過捻転や死産を経験した方の記録を読み漁るようになった。

臍帯巻絡は満期産で約30%に見られるが、頸部巻絡が胎内児死亡に結び付くことは少ないとされている。
臍帯過捻転は全分娩の1%以下で周産期死亡は少ないとされているが、過長臍帯や男児、他には多胎妊娠、経産婦で多いことが報告されている。

臍帯因子とfetal distress

どちらも極めてまれなことだということだ。確率でいえば、日本の交通事故発生率(2.4%, 2023, 内閣府)より低い。そんなめったに起きないことが起きた。私に、私たちの息子に。どうやって受け止めればよいのか全く分からない。

答えを求めて、死産を経験した方のブログや書籍を読み漁って、どうやって受け止めたのか、どうやって悲しんだのか、どうやって乗り越えたのか、今は日常生活を送ることができているのか、必死に探した。このとき、答えは無くとも、同じ経験をした人がいるということに少し慰められたような気がした。このnoteを始めたきっかけはこのように自分が他の方の経験に慰めれらたことがあったからだ。

悲しみを乗り越える?
 来る日も来る日も、1日中ベッドの上で自分と息子の身に起こったことに思いを馳せ、死産を経験した方々の悲しみに思いを馳せ、ふとこの悲しみは乗り越えるものなのだろうか?と思った。富士ちゃんを忘れることは生涯ないだろう。富士ちゃんが亡くなる前の人生にはもう戻れない。喪った悲しみの無い日々はもう来ない。この悲しさと共にこれから暮らして行くのか、と理解した。これから自分がどのくらい日常に戻れるか見当もつかなかったが、でも、ほんの少しだけ覚悟が決まったような心持ちがした。

もし死産の経験談を書籍で読んでみようかなと思う方はこちらの本をおすすめします。

https://note.com/human_toucan116/n/n165cbb33f79f%0A


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