名のない きょうだい

障害児の兄弟
きょうだい児

その名に当てはまるのだろうか
当てはまらないのかな

兄は小学生から引きこもりだ
そして視覚障害者
それは彼が成人して何年も経ってからだ

彼は何度か学校に行き
なんとか入った定時制の高校は1日でやめた
大検を受けようと
電車にのれず帰ってきた

人の伝手を使い
親が手配した飲食店でのアルバイト
親の送り迎え
ランチとディナーの休憩時間
バイト先の近くに住む祖父母の家に
母は兄の食べ物を持っていく
祖父母はその間静かにTVも見ずに過ごす
やつを怒らせてはならない
暗黙のルール

親は働く兄を褒め
その姿を酷く惨めに 不憫に 不快に
覚えている

アルバイト先は海外に店を構えたいと店をたたみ
同時に兄の外の世界も終わりを迎えた

甘い甘い世界でしか息ができない
こんな奴に価値はあるのか

なんども死んでくれと願うのに
いまだに願いは叶わない

兄弟で殺し合うニュースを見るたびに
分かるよ わかるよ 涙した
他人は言うよ
兄弟だろ 血が繋がった家族だろ

今すぐこの血を全て入れ替えたい
全身を掻きむしりたい

そんなものがなんなんだ
血の繋がりなんかなくても
家族になれるのに
大切にできるのに
ああ家族なんて言葉が気持ち悪い
そんなものいらない
いやしってる
ほんとは大切な場所を
逃げた先にあったあの場所
帰りたのに
やっぱりホンモノになれないから
ああだからやっぱり自分はひとりなんだな。

血が繋がった家族だからで済まされて
血が繋がった家族だからで押し付けられないといけないのか
自分の人生なのに
ずっとずっとずっとずっと
引きずられて逝かないといけないのか

ただの兄弟問題ですか?
ただのよくありふれた話ですか?
じぶんがおかしいですか?

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