百年先まで
いつもいつまでも側に居てくれると思っていた恋人が去っていった。他愛のないけんか。
そう思いたかった。
「100年先まで一緒にいてください。」
彼の一世一代のプロポーズだった。涙を流してうなづけば、幸せに手が届くはずだった。
でも彼は会社を起こしたばかりで、多額の借金もある。
簡単に返事はできないと思った。
「省吾のことは好きよ。愛してる。でもまだいろいろあるし、早いんじゃない?」
省吾はただ今の気持ちを確かめたかっただけで、重く受取った私がいけなかったのか?
おもむろに部屋に置きっぱなしだった荷物をまとめ始めた。
「もう一緒には居られないな。今日までありがとう。元気でな。」
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