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争続問題がようやく終わった
これは私自身ではなく、親戚の話なんだけど、相談に乗ったり愚痴を聞いたりしていたので、全く解決していないけど、どんな形であれ取り敢えず終わってホッとしている。
◎原因の祖父世代
親戚の祖父がいわゆる億り人だった。
最初の奥さんは薄幸の人で、男の子を2人産んで成人させた後、早々に亡くなってしまった。問題はここからだ。
祖父が後妻を連れてきて、子供の大反対を押し切って結婚してしまう。
ただし、そのときから遺産は最初の妻との間に出来た子供2人に遺すと内々で取り決めがあったらしい。
それでも納得いかなかった子供2人は、お金を出し合って元警察官の探偵を雇い、後妻を調査してもらった。それなのに、「何にも分からなかった」らしい。
どこの出身で何人兄弟なのか、親は何の仕事をしているのか、婚姻歴があるのか、どういう人柄なのか。
近所の人に聞いても何も分からなかったと言うから、想定されるのは「いろんな居所を転々としている」ということ。家族全員が、「そんな育ちの人間を身内に入れるなんて」と大反対した。
家族の大反対を押し切って、祖父と後妻さんの同居が始まり、ようやく本人の口や生活から以下のことが判明した。
後妻さんには妹がおり、未婚の子がいるが、その妹の養育能力が低かったため、後妻さん(姉)が姪にあたる女児の面倒を見ていた。
後妻さんの生活能力もかなり低く、掃除、洗濯等の家事から料理まで、何もできないレベルだった。(全て祖父が行い、料理は次男夫婦が配食した。ちなみに、祖父が寝たきりになっても介護すらまともにできなかった。)
この姪が後々、モノマネで有名な芸能人になり(ウィキペディアのページもある)、争続問題を引き起こすことになる。
また、長男は祖父の言動に怒り、実母の骨壺を持ち出すという行動に出た。これはこれで「自分に何の相談もなかった」と次男の怒りにつながり、子世代である兄弟も絶縁状態となる。
◎祖父の死後、後妻さんの認知症
祖父の死後、億り人の遺産を受け継いだ後妻さんは悠々自適に一人暮らししていた。たまに自分が育てた姪が遊びに来て、お喋りする自由な生活だ。
その姪がものまね大会で優勝して一世を風靡し、後妻さんも鼻が高かったんだと思う。
その姪は遊びに来たら、ちゃんと次男夫婦の家にも挨拶に行くような、きちんとした芸能人らしい礼儀正しい側面もあった。今思えば、次男夫婦の生活状態や遺産相続の状態などを調べていただけだったんだけど。
平和な日々がしばらく過ぎ、孫世代にあたる次男夫妻の長女が、唯一後妻さんに懐き、色々あって、後妻さんの養女となった。これには孤立していた後妻さんも大喜びだった。
ところがある日、とうとう高齢の後妻さんが認知症になった。一人暮らしさせていられないので、次男夫婦と養女が施設から入院から、入院中の生活から全て面倒を見ることとなった。
後から分かったことなんだけど、この入院中、モノマネ芸人の姪がお見舞いに来て、自分を養子にするという書類にサインさせていた。
◎後妻さんの死と訴訟
後妻さんは認知症だったので、ほどなくして亡くなった。死後、代々の墓とは違う墓所を作り、永代供養してもらうことになった。お葬式にはその姪も来て、遺品は何でも好きなものを持っていって良いと伝えたが、あんなに仲が良かったのに、育ての親なのに、何も持っていかなかった。その上、墓所の在り処も聞かなかったそうだ。
そしてある日、次男夫妻の自宅に訴状が届いた。
訴状には要するに、「モノマネ芸人である姪(養子)が引き継ぐべき祖父の遺産を、次男夫婦が勝手に使ったから返せ」と書いてあった。
これは大きな間違いで、次男夫妻が遺産を使ったのは後妻さんの認知症による入院やその後の生活、永代供養に使ったものなので、全て証拠があった。
また、次男夫妻の長女も養子になっていたので、モノマネ芸人の姪とは義理の姉妹関係になり、単純に考えるとモノマネ芸人である姪の相続分は全体の1/4となる。全額もらえるわけではないのだ。
で、次男夫妻の長女は「認知症を逆手に取って無理やりサインさせた」と怒り逆に訴えるなど、相当な争続となった。一方、モノマネ芸人である姪も、法廷で遺産を勝手に使ったと次男夫妻を罵るなど、相当な態度を取ったそうだ。
でも結果は和解!
最終的にモノマネ芸人は死後離縁した。後妻さん(養母)の墓所も知らないままだったらしいので、養母に愛情があるというよりは、純粋に金目当てだったんだろう。
モノマネ芸人として大会で優勝しても、芸能界って余程お金がかかるんだろうな。
ちなみに祖父の前妻の父親も、後妻さんを迎え入れるときに「遺産は前妻の子供で分ける」と約束し、後妻の子供とは養子縁組していなかったのだが、死に際に泣き落とされて養子縁組してしまい、一等地の土地から何から全てその子が全て引き継ぎ、前妻の子はみんな早世したという例もある。
弁護士にも言われたけど、祖父が遺言状を残しておかなかったことが訴訟のもととなったので、私はきちんと遺言状を残そうと思った。
実は私の祖父も、争続問題で揉めそうなので、親世代に気をつけるよう何度も注進しているんだけど、全然聞いてもらえないんだよなあ。実に家族の死の準備をするということに抵抗があるらしい。
自分には無関係と思うようなところで、とんでもないトラブルが勃発するというのは、周りの人たちにもぜひ伝えてほしい。こういう紛争が起きないこと、日常が続いていくことが何よりだ。