紅白に出たB'zが大反響呼んでいる件と、それによって生まれた「B'zはダサい」議論を長年のファンが語る
1.紅白歌合戦2024に出たB'zの大反響に戸惑いつつもメチャクチャ嬉しい
「前置き」
この記事を書いているのが2025年1月6日。大晦日に紅白歌合戦2024年にB'zがサプライズでNHKホールに出演したのがもう1週間近く前になる。
本当は純粋に紅白に出たB'zについての感想を書くつもりだった。
しかしSNSやネットを漁れば、紅白のB'z出演に関する感想が溢れかえっていて、それを見るのが楽しくて夢中になってしまった。
さらに言えば、年始からYoutubeの急上昇ランキング1位になったり、Xのトレンドに曲名まで載ったり、ヤフーニュースで『ウルトラソウル「ハイ!」か「ヘイ!」か』が記事になって1500以上のコメントが付くなど、もはや「そんなことまで話題になるの!?」みたいな確変状態になっていて、驚きを通り越して戸惑いすら覚えてしまう。
正直、ファンである我々が今回のB'zのバズに対して一番驚いているかもしれない。
で、そんな感じで紅白の余韻の波があまりにも高すぎて飲まれてしまい、すっかり感想を記事にするタイミングを逃したわけである。
まだまだあのパフォーマンスの余韻は続いているし、私の興奮も全然冷めていない。だが、「紅白の感想を今から書くのもなあ……」と少し冷静になった自分もいる。
何よりあの素晴らしいパフォーマンスに対してなんかの批評家みたいにアレやコレや言うのも「無粋かな」という気持ちも芽生えつつあった。
いや、もう本当は色々語りたい!
この紅白でB'zに興味を持ってくれた人たちにオススメのアルバムやライブDVD、B'zの歌詞についてなど、伝えたい魅力は百億万個ぐらいある。
ただそれについては、私以外の多くのファンがすでに語っていることでもあるので、また別の機会があったときに話をしたい。
さて、そんなB'zバブルが起きていて非常にめでたい状況ではあるが、一方でXで下記のようなポストが話題にもなっている。
このポストに対して
「私たちのB'zがダサいと抜かすかキサマぁ!」「紅白で盛り上がってるところに水を差すな!」「文化的素養が少しでもある人って主語がデカすぎんだろ!」
と怒りをあらわにする人もいれば、
「まあ実際昔のB'zってダサいって馬鹿にされてたんだよ」「洋楽好きやロキノン系のファンの人からは特に嫌われてたよね」と淡々と歴史を振り返る人たちもいる。
ちなみにここで言う「ダサい」というのはB'zの曲や歌詞のフレーズについて、というよりはB'zの音楽性や売り方などを指している……と思われる。
「お前はどう思っているのか?」と思われた人もいるかもしれない。
それも含めてせっかくなのでこの「ダサい」ポストと「紅白歌合戦2024年」、そして「過去の歴史」を絡めながら、私たちファンが愛してやまないB'zについて語っていきたいと思う。
2.紅白歌合戦2024年の感想。
結論から言う。
最高でした。
いや、もっとまともな感想を書けと言われるかもしれないが、本当にこれだから仕方がない。
私はどちらかと言えば面倒くさいファンの方である。
もし仮に同じB'zファンに好きな曲を聞かれるシチュエーションがあったとしたら、「ultra soul」と言って、相手が「え?」って顔をした後に
「2006年のLIVE-GYM・MONSTER'S GARAGEのアレンジが一番好きですね。あの2番サビのあとのキーボードからのギターソロとか最高じゃないですか?あと2011年のC'monのも好きですね。ギターソロが浜田麻里さんのBlue Revolutionのときのものを流用してて好きなんですね。いや、B'zの好きな曲を選ぶのは難しいですよ。どうしてもライブのアレンジで好きぐあいが変わりますしね」
とか言いたくなるタイプである。
(実際に会話の流れでB'zの好きな曲を聞かれたときは「全部」と答えている)。
とにかく私はB'zに関しては面倒な人間である。その自覚がある。
最初に紅白にB'zが出演すると知ったときも、
「『おむすび』の主題歌をやってるし、NHKから熱烈にオファーが来てるって話もあるから根負けして出ることを決めたのかな。
いや、でも今さら?
正直、紅白ってけん玉みたいな変な演出もあるし、ドラマの出演者とステージで一緒に歌うとかファンが望んでいないことを平気でやりそうだから不安だわ。
まあそもそも、年末年始は基本的に松本さんも稲葉さんも休むって方針だし、事前収録した映像でイルミネーションだけ歌って終わりだろうな。
ていうか紅白出るぐらいなら、久々にMステスーパーライブに出てほしかったわ」
と、厄介オタクの思想丸出し+御意見番気取りであり、期待以上に不安の方が大きいという状態であった。
「2017年以来のB'zとしてのTV出演だから見るんだけどね!」ぐらいのスタンスだった。
いや、地上波への出演という意味では本当に嬉しかったんだけどね。
紅白のタイムテーブルが判明して、22時またぎで演奏曲が「イルミネーション」と分かったときも、私の感想は「でしょうね」である。
過去の他のバンドやアーティストの例から考えても、私はB'zの2人が事前収録のみで紅白の会場には来ないことを確信した。
(いちおう調べたら、藤井風が過去に会場にサプライズ登場をしたというのを何かで見たが、その線は考えないことにした)
そして2024年12月31日。
B'z出演の一時間ぐらい前から紅白を見始めたのだが、自分でもびっくりするぐらい今どきの歌手たちも曲も分からなかった。
B'zの出演時間がやってきた。
イルミネーションの演奏が始まり、私は真っ先にテレビ画面の右上を見た。
「LIVE」の文字は案の定なかったので、「やっぱり事前収録か」と酷く落胆した(前もって予防線は張ってたのにね)。
もちろん久々にB'zが地上波に出ているのは嬉しい。
驚いたことと言えば、多くのB'zファンが触れていたように、久々にドラムがシェーンだったことぐらいだろう。
それ自体は私も「おっ!」と思ったが、なんだか稲葉さんは不調なのかそこまで声が出ていないし、ただ単に音質が悪いのか知らないが、妙に音がこもっているように聞こえた。
イルミネーション自体は4分もない曲だ。会場の物足りなさそうな拍手とともに、あっさりと二人の出番は終わった。
しかし、ここで「あれ?」と私はなった。
通常、B'zの二人は演奏が終了すると、すぐに深々とお辞儀をする。
しかし、なぜか稲葉さんはマイクスタンドを握って空中を見つめたまま。
松本さんもお辞儀などせずに、ステージに背を向けてギターをおろしてしまっていた。
ここで期待していなかったはずのサプライズがあることを確信して、私は声をあげてしまった。
予想通り、松本さんと稲葉さんが画面に向かって歩いてくる。
番組司会者たちの困惑したような声にかぶさるように聞きなれたストリングスが流れてくる。
そう、「LOVE PHANTOM」のイントロである。
もし万が一、仮にサプライズがあったとしても演奏されるのは「ultra soul」だと予想していたので、これは本当に度肝を抜かれた。
そしてステージスクリーンに浮かびあがる「B'z」の文字と回転するシェーンのドラムスティック。
キタ――(゚∀゚)――!!
そして「STARS」を彷彿とさせるステージ脇からの松本さんと稲葉さんの登場。
本当の意味で紅白にB'zが出演した瞬間に興奮する私。思わず座っていた椅子から腰が浮いてしまう。
親がいなかったら大音量にしてテレビに噛り付いてたのは言うまでもない。
紅白出演発表時の斜に構えていた自分は完全に黒歴史である。
が、変なところで冷静な私は、冒頭の「いらない何も~」の時点でエフェクトがかかったような音が気になり、母に「なんか音おかしくない?」と聞いてしまう。
それに対する母の反応は「そう?」ぐらいの反応だった。
LOVE PHANTOMに興奮しつつも、尺自体はテレビサイズだったこともあり、一瞬で終わってしまった。
と、思ったら間髪入れずに「ultra soul」のイントロが始まる。
正直ここらへんから想定外すぎて興奮のあまり、そのときの記憶が飛んでいる。
しかし、観客の皆さんが「ウルトラソウッ!」のあとにしっかりジャンプしていたり、ライブジムで見慣れた松本さんの「Hey!」やラストのウルトラソウル3連発が見れたりで(過去のどのテレビ番組でもラストのウルトラソウルは1回で終わっていたのでこれも驚きだった)、とんでもない満足感だった。
B'zの演奏が終わった後の歓声は割れんばかりですごいし、1階席の人たちなんて総立ち状態。
そりゃテレビ越しで見てる私がこれだけ興奮しているのだから、生でライブを体感した人たちがこうなるのは当然かもしれないが、それにしてもかつてないほどの反応だったと思う。
もうとにかくB'zが紅白に出てよかった!
※ちなみに今回披露された「LOVE PHANTOM」と「ultra soul」はこの紅白用に新規に録り直されていて、ギターソロやドラムなども含めてこの紅白歌合戦2024でしか聞けない貴重な音源となっている。
B'zはテレビ出演時、わざわざその出演のためだけに音源を作ることが珍しくない。そういう意味ではこの点は平常運転とも言える。
3.紅白出演後の反響
とにかくすごい反響である。
・XではB'zのパフォーマンスの話題で持ち切り。
B'z関連のポストがとにかく伸びる。
・「ultra soul」がYoutubeの急上昇ランク1位に。
・一部のネット掲示板が鯖落ち。
・ファンクラブ会員の増加。
・B'zの二人だけでなく、シェーンや清さんなどのサポートメンバーまで注目される。
・YAHOOニュースでも「ウルトラソウル!」のあとの掛け声は何が正しいのかなんてことまで話題になる。
20年以上追っているファンであるが、かつてここまでB'zの話題一色になった記憶があるかというと、ないはず。
ファンだからもちろんB'zのトピックがやたら目につくのだが、それを踏まえてもここまでの反響はなかったと思う。
この反響の理由としてはシンプルにB'zのパフォーマンスや選曲が最高だったこともある。
テレビ出演で持ち曲を演奏したというよりは、紅白の会場でB'zがライブしたと言っても過言ではないパフォーマンスだった。
いや、B'zのライブはもっとすごいんですけどね!
あとは初出場がデビューから36年目というのも手伝っているのだろう。文字通り、満を持しての登場だった。
しかも、その登場がサプライズで、そのサプライズがあまりにも華麗に決まった結果、我々視聴者へのインパクトもすごかった。
これらに付随するように本来であれば間違いなくマイナスに働くはずのマイクトラブルが「マイクトラブルをものともしない稲葉さんの歌唱力すごすぎ!」なんて評判になり、そのマイクトラブルについて謝罪した鈴木アナが、興奮のあまりガッツポーズをしたことまで今回の紅白出演の好評に繋がっているのだからちょっと異常である。
紅白フィーバーでB'z関連のポストもじゃんじゃん出て来るわけだが、そんな矢先に先述したポスト、「B'zなんてクソダサくて、文化的な素養が少しでもある人ならみんな大嫌いなのが当たり前だった~(以下略)」で投下されて広まってしまった。
4.B'zがダサいとは?
・私の体験と経験
平常時であれば、次々と増えていくポストの波に埋もれていくような呟きだったが、紅白の余波+正月休み+『文化的素養が少しでもある人』のフレーズがささくれ立ちしすぎなせいもあってか、このポストは広まってしまったみたい。
で、実際『B'zが90年代はクソダサくて、文化的素養が少しでもある人がみんな嫌っていた』のかどうか、についてだが、
あながち間違っていないと思う。
少し話が逸れるが、私は2000年からB'zを聞き始めた人間なので、実のところB'zの全盛期を知識としては知っていても体験はしていない。
しかし、それでも自分の経験や2ちゃんねるなどの掲示板で、色々なB'z批判は見ている。
経験、という点では正直ほとんどない。
そもそも「B'z好きなんだよね」って話をしたとして「あんなクソダセエのが好きなの?」なんて言ってくるイヤな奴は、そこまでいないのではないだろうか。
そうではなくても、私自身がB'zファンの世代としては若いこともあって、B'zを好きって友達が同級生にはほぼいなかった。
中にはバンドをやっていてB'zを好きって友達もいたが、そんな友達も「B'zのコピーなんて難しいし、みんな知らないからやらない」って感じだった。(その彼はB'z以外では『凛として時雨』や『Green Day』などが好きだったらしい)
「OCEAN」や「イチブトゼンブ」が流行ったときはみんなも知ってたし、特に後者はタイアップのドラマも話題だったのでカラオケでもよく歌われていた。
ダサいと言われたことはないが、同級生と好きな音楽の話になってB'zの名前をあげたら「B'zはロックじゃない」と言われた。「そうなんだ!?」と思った記憶がある。
私はべつに音楽をジャンルで聞き分けるタイプの人間ではない。むしろ「冷蔵庫の食材じゃあるまいし、いちいち分類するとか無駄だろ」とすら思っている」。なのでそれについては正直どうでもよかった(実際、B'zは時期によってやっている音楽のジャンルもコロコロ変わるし)。
ちなみにその同級生に好きなバンドを聞いたら、案の定ロキノン系の名前を出してきた(もちろん、当時の私はロキノンなんて単語は知らなかったが)。
経験としては本当にこの程度のレベルのものしかない。
しかし、ネットは別である。
細かい内容はあまり覚えてないが、当時の2ちゃんねるなんかではB'zはボロカスに叩かれていた。今なら誹謗中傷で訴えられるぞ、って書き込みもあったかも。
「洋楽のパクリなのにわざわざその劣化コピーを聞く意味が分からない」
「B'zファンなんて稲葉の顔ファンで音楽なんて聞いちゃいない」
「とにかく歌詞がダサい」
「声がキンキンしていてネチネチしてて耳が痛くて聞けたもんじゃない」
↑こんな感じの書き込みが当たり前のように見られた。
2ちゃんでB'z本スレ以外で好きなんて話題に出そうものなら、馬鹿にされることは必至だった。
(同じように当時の2ちゃんでは「BUMP OF CHIKEN」などもボーカルの藤原基央氏の発言がコピペになって馬鹿にされていた)。
ロキノン系のファンの人からも色々言われていたっぽい。
『ぽい』というのは、当時のネットの書き込みや批判が『どういう人たちによってされているか』が私には分からないからである。
しかし、時々B'zのYoutube動画のコメント欄で、ロキノン系(あるいは渋谷陽一)に対する呪詛のようなコメントが見られるから、まあB'z全盛期経験者の人たちの中には、本当にイヤな思いをした人がいたのだろう。
他にもSUMMER SONICに出ることが決定した時も「B'zなんか出すな」とか「出てきたらペットボトル投げてやる」だとか、そんな書き込みもあったりした。
先に述べたB'zの音楽や音楽性に対する批判もそうだが、もっとも見かけるB'zに対する批評の一つに「商業(産業)ロック」というものがある。
「B'zは分かりやすいロックぽいことをやっているだけ」。「金儲けのために音楽をやっている」。
カウンターカルチャーであり反商業主義こそがロックであり、大衆に媚びて売れているB'zはロックではない。
そういった批評や批判が当時はあったようだ。
これらをひっくるめて『B'zはダサい』という評価がある界隈では間違いなくあったのだ。
※
ちなみに「文化的な素養」というワードについてだが、これについてはこういう言い換えはできるかな、と思う。
「音楽に対して早熟な人」。
当時、私の小学2年生のときの友達で洋楽を聞いていた子が一人だけいた。彼は年の離れたお兄さんの影響で洋楽を聞くようになった的なことを言っていた気がする。どんな曲を聴いていたかまではさすがに覚えていないけど。
当時、まだ音楽を聴くという習慣すらない私からすると、意味を理解できない英語の曲を聴く彼が宇宙人に見えた。
だけど今思うと、「ある種の素養」があったんだろうな、と思う。
そうでなければ8歳で洋楽を聞きはしないだろう。
まあその彼とは私が9歳のときに転校してしまってそれっきりなので、B'zに対してどう思っているかは今となっては確認することはできないが。
5.そんなダサいと言われたB'zが紅白でここまで視聴者を惹きつけた理由とは?
これに対する答えはシンプルだ。
B'zの二人がどこまでも音楽と音楽活動に対して真摯であり、それを長く続けてきたからである。
これに尽きる。
と、言ってもこれだけでは具体性に欠けるし、納得できない人もいると思うので、もう少し深堀りしよう。
・ B'zは音楽番組のためだけにCDとは違うアレンジ音源を用意してくる。
・B'zは今でこそ音楽番組には出なくなったが2017年までは割とコンスタントにミュージックステーションなどには出演していた。
Mステは皆さんもご存じのとおり、生演奏は一部の例外を除いてしないため、ボーカル以外はいわゆる「アテフリ」であり、曲は当然カラオケ。これはB'zも基本的には同じ。
なので、多くのバンドやアーティストたちはCDと同じ音源からボーカルを抜いたものを音楽番組で披露することになる(テレビサイズに編集されることはあるが、逆を言えばそれだけである)。
しかし、B'zは全てではないがMステのためだけにアレンジした音源を用意してくる。
私の把握している範囲ではあるが、Mステやそのほかの音楽番組でしか聞けない音源は20曲近くある。
しかも1995年の「ねがい」や1999年の「ギリギリchop」を除いて、いちいち『Mステver』みたいなアナウンスもしない。
ファンだけがその限定のアレンジが分かるようになっている。
ちなみに先述したように紅白も紅白専用アレンジとなっている。
さらに怖いのは「Calling」にいたっては1997年7月9日に発売し、その2日後にMステに出演したが、原曲とアレンジが全く異なる音源を披露している。発売から2日しか経っていないのに!
さらにその1日後にオンエアされた音楽番組でもまた違うバージョンを披露し、同年の年末にはB'zファンならみんなご存知のアウトロが原曲とは全く異なるアレンジのものをMステスーパーライブで演奏している(同時に披露した『スイマーよ!』もこのМステ専用アレンジとなっている)。
つまりただの一度もCDと同じ音源を音楽番組で使わなかったことになる。
別バージョンであることを宣伝したり、その音源をアルバムに収録して販促につなげたりするわけでもない。
こういった音楽番組専用のアレンジを作る理由はただのファンである私には分からないが、彼らが音楽に対して並々ならぬこだわりがあることは間違いないだろう。
確かなのはB'zは、今回の紅白にしてもそうだが、私たちファンをいつまでも楽しませてくれる存在なのである。
ここまでやるバンドが他にいるだろうか。
・B'zは36年の活動の中でただの一度も曲を発表していない年がない。
普通、36年も活動していればだんだんと作品がリリースされる間隔は空いてしまうものである。B''zレベルだと5年以上アルバムが出ないなんてことも珍しくないだろう。
しかし、B'zはソロ活動も含めれば作品がリリースされていない年はただの一度もない。
松本さんにいたっては今年、ソロでアルバム1枚、TMGで1枚。それに加えてAdo氏や鈴木雅之氏、美川憲一氏、木梨憲武氏に曲を提供している。さらにB'zの楽曲も作成している。LIVEやテレビ出演などもけっこうしている。
定年間近のご年齢とは思えない、驚異的なリリースペースである。
稲葉さんも稲葉さんでアルバムを出したり、LIVEやテレビ出演など活発に活動している。
さらに言うと、1989年から2024年の間まででライブを行っていない年は存在しない(ソロ活動含む)。
コロナのときでさえ、無観客ライブを行っている。
しかもそのライブは、1週間に1回、計5週連続で行っており、1週ごと曲目を全て変えるという、とんでもなくしんどいことをやってのけている。
リリースペースにしてもライブの頻度にしても、すでに還暦を越えた人間の活動とは思えないレベル。
そう、彼らは立ち止まることなく、ずっと走り続けているのである。
・何よりライブが素晴らしい
B'zのライブに関しては言うまでもなく高い評価を得ている。
特にワンマンライブではなく、他のアーティストやバンドも集まるフェスなどではB'zが話題になることは珍しくない。
特に反響があったのは、
・サマーソニック(2009年)
・ROCK IN JAPAN FESTIVAL (2017年)
風向きが変わったと私が感じたのは、サマーソニック(2009年)。
当時は上に書いたようにまだまだB'zがこの手のフェスに出ることに対して、批判的な意見も少なくなかったように思う。
「批判がてら、いちおうB'zを見ておいてやるか」みたいな人もいたころだろう。
が、しかし。
終わってみればメチャクチャ高評価で会場も大盛り上がり。
ベストアクトにB'zをあげる人が後を絶たなかったし、中には「大トリのリンキンパークを"食った"」とさえ言う人もいたぐらいだった。
文字通り、実力で会場にいたオーディエンスを虜にし、アンチさえ黙らせたのである。
ROCK IN JAPAN FEATIVAL 2017。こちらは言うまでもなく伝説とさえ言われるようになったライブである。
このころになると少なくとも「生のB'zはすごい」ということは浸透しており、普段はB'zに興味ない人も見に行ってみるか、ぐらいにはなっていた。
「あのロッキンにB'zが出るの!?」と驚いた人も少なくなかったが、こちらは反響が凄まじくまさしく「B'zが全てをもっていった」と言われるぐらいに会場をB'z一色に染め上げた。
もちろん、これはB'zのアクト自体がすごいこともある。
ただそれだけでなく、B'zより前に出演していたバンド(ホルモンや金爆など)がたびたびB'zのことを話題にしてそういうムードにしていたことも大きいように思う。
どっちにしてもロッキンの会場で「B'z」の名前が当たり前のように他のバンドの口から出て来るというのは、人によってはそれだけで感慨深いものがあるのではないだろうか。
色々な批判を受けていたB'zだったが、先述したようにライブはデビューから一貫して高い評価を得ている。
しかも、デビューして36年経ってなお、テレビ越しでも多くの人を「すごい!」と魅了させるだけのパフォーマンができるのだ。
B'zと言えば稲葉さんのストイックさはかなり有名である。エアコンを夏でも使わない(最近は猛暑が酷いのでさすがに使うらしい)とか。
松本さんは松本さんで先にあげたようにいまだに作品を出すペースが全く衰えない。
他にも稲葉さんのストイックっぷりにばかり注目が集まるが、松本さんは松本さんで、NHKのB'z特集の際、朝から夜までカップ麺1杯だけで、あとはひたすらホテルの部屋でギターを弾き倒していた映像が流れており、こちらはこちらで相当ストイックなことがうかがえる。
さらにB'zのライブがすごいことには他にも理由がある。
よくテレビでB'zのライブが取り上げられると、必ずと言っていいほど「ステージや演出がすごい」とフォーカスされる。
これ自体は間違いない。実際、ステージが回転したり、バイクがステージの端から端まで飛んでったり、花火が何万発も打ち上ったりなど、スタジアムやドームでのライブ演出は派手なものである。
全盛期の頃には松本さんのギターソロをバックに稲葉さんが空を飛びまわったりしていたのもファンなら周知のことである。
テレビだけ見るとB'zほどのバンドはドームぐらいの規模じゃないとライブしないのかな、と思うかもしれないがそれはちがう。
むしろ彼らはこれだけの人気がありながら1000人規模のホールでだってライブをする。
なんなら離島に足を運んでまでライブをやっている場合さえある。
以前、何かのインタビューで松本さんが「ドームやスタジアムで派手にやるのもいいんだけど、そればかりだとバンドとしての腕が鈍くなるといけないから、派手な演出とかのない規模の小さいステージでやることも大切にしている」的なことを言っていたはず。(あとはお客さんとの距離が近いことやや本人たちがいろいろなところを回りたい、という希望もあって地方会場を回っているようだ)。
こういった音楽に対する姿勢や取り組みが、今もなお最高のライブを二人が披露できる所以なのだろう。
あとは当時B'zを批判していた人には色んな人がいたのだろうが、そういった人たちの多くは「B'zは今だけの流行りもの。10年後20年後にはいなくなってるだろう」ぐらいに思っていたことだろう。
まして還暦を過ぎた二人がいまだに全盛期に近いパフォーマンスで観客を沸かせているなんて、夢にも思っていないことだろう。
というか長く追っているファンでさえ、当時は2024年になってもドームやスタジアムが満員にできるぐらい人気があって、挙句の果てには年の瀬にこんなに話題になるなんて思っていた人はほぼいないだろう。
批評家たちがB'zを批判した理由は色々あれど、結局のところは「気に食わない一時の流行りものにそれらしい文句を並べてメシのタネにしていた」というだけにすぎない。
洋楽を好きでB'zを嫌っていた人たちだって、中にはその入口がB'zだったって人だっていたのだ。自分が通過した道に泥をかけるように批判していたが、年月の流れとともにその行為の無意味さに気づいた人もいることだろう。
しかし、そんな人たちの予想を裏切るようにB'zは今でも音楽活動を第一線で続けている。
2人の活動はデビューから今日まで一貫している。
曲を作る。曲ができたらアルバムを作って、アルバムができたらライブをする。そしてまた新しい曲を作る。これを延々と繰り返す。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、これだけである。
音楽に関わる活動以外は本当に何もしていないとさえ言える。
もちろん、彼らはその音楽活動においては30年を超える今でもどんどん新しいことに挑戦している。
上記のコロナ禍のときの無観客ライブもそうだし、2021年には『LIVE FRIENDS』という声が出せないことを逆手に取り、ほぼバラード曲だけのライブを開催したり、UNITEではGLAYやMr.Childrenと対バンしたり、など。
音楽で食っているんだからそりゃ音楽活動するだろ、と思うかもしれないが36年間これをただ黙々と続けて、最高のライブを届けることがどれだけ難しいことかは、誰だって分かるだろう。
6.結論
どんなに批判がされようが彼らは自分たちの道を走り続け、好きな音楽をただひたすらやって、それでファンを喜ばせて、ファン以外も喜ばせて、今日まで続いている。
さすがにB'zに対してそんなに好意的な目で見ていなかった人たちだって、ここまで来たら「曲は好きじゃないけど、まあすごい人たちではあるよね」ぐらいにはなるだろう。
そういう意味でも昔と今ではB'zへの世間の評価というのは変わっているのだろう。
ただひたすら真摯に音楽活動を長く続けた結果。
その結果の一つが、2024年紅白の反響である。
B'zの活動の全てが集約したパフォーマンス。
それが多くの人の心を掴み、これだけ話題になったのである。
で、結局この記事を書いているお前はB'zについてどう思っているのか、ついてだが。
口にする言葉ではなく、作品やライブで自分たちの想いをファンに伝えてきたB'z。
そして常に全力で音楽を活動を続け、2025年になった今でも私たちをワクワクさせてくれるB'z。
言うまでもなく私にとって、そんなB'zがダサいわけがないのである。
もちろん、これからも全力でB'zを追っていきたい。
おわり
7.おまけ
彼らの生き残は絶対にダサくないと思うが、正直曲によっては「ダッセエ!」ってなる作品は実は意外とあるので、何かの機会に語りたいと思う。
1個だけ紹介すると「オレとオマエの新しい季節」って曲を初めて聞いたとき、「L・O・V・Eなるものの真骨頂だよ」という部分がバックのギターのメロディと合わさって個人的に衝撃を受けた。
聴けばわかるが、本当に妙にクセになるダサさなのである。
この曲が収録されたアルバム「ACTION」には「光芒」という超名曲が入っているのでよかったら合わせて聞いてほしい。
ライブで一番聞きたい曲で1位に選ばれるほどの曲でもあるので、是非。