明日から使えるTDMソフトに依存しないバンコマイシンの投与設計論
ども!めどぱんだです!
私は大学病院時代TDM業務を専従で担っており、TDMソフトを一切使わずに毎日30例ほど投与設計をしていました。
その経験を活かして、今現場でTDMを苦手に感じている新人薬剤師さんや病棟にTDMソフトがないから先生の依頼をすぐに返答ができなく困っている薬剤師さんに向けた内容となっています。
※小児や透析患者は対象としていません。
抗MRSA薬は他にもテイコプラニンやリネゾリドなど複数ありますが、バンコマイシンがよく使用される背景として①古くから市場にあることで数多くの臨床研究がなされエビデンスが確立されていること、②安価であることが挙げられます。
バンコマイシンの投与設計する際に臨床上必要な注意点
バンコマイシンを投与設計する際に何点か注意が必要ですので挙げていきます。
①初回トラフ3日目は腎機能低下患者では過小評価する
バンコマイシンが腎排泄型であるため、腎機能が低下すると全身クリアランスが低下し、半減期が延長します。
その結果、定常状態に達するのに3日を超えてしまうからです。そのため、3日目のトラフ値は定常状態でないことを考慮して投与設計をする必要があります。
TDMガイドライン2022では推奨採血は初回投与4日目になっていますが、重度腎機能障害の$${t_{1/2}β}$$が20時間程度であることから3日目でも多少上昇することを考慮すれば投与設計は可能です。
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