学校の七不思議
僕らの子供の時は、今で言う都市伝説的な感じで、学校の七不思議というのが流行っていた。
有名なところで
「誰もいないはずの音楽室からピアノの音が聞こえてくる」
「二宮金次郎の銅像の薪の数を数えたら、呪われる」
「夜になると人体模型が動き出す」
「放課後、モナリザの目が動く」
とか、そういうので、子供の頃の僕らは、しっかりと怖がっていた。
おそらく、あの頃全国の子供たちがびびっていた。
でも、大人になった今は、なんでそんなん信じてたんだろうと思う。
全国各地の小学校で、同じ怪奇現象が起こることがそもそもおかしい。
七不思議が正しかったら、あの頃、全国の小学校の音楽室から一斉にピアノが聴こえていたことになる。
そう考えると、逆に怖くない。
なんなら、音楽室からピアノが聴こえてきた瞬間に、
「転校していった〇〇ちゃんも、今頃、このピアノの音を聴いてるのかな」
と、ロマンチックな気持ちにすらなる。
二宮金次郎の薪を数えて、子供が呪われたとしても、全国の子供を網羅するのは、流石の二宮金次郎もしんどかったはずだ。
「え?今日も全国で598人数えたん?
待って待って?
1人呪うの結構カロリー使うのに。
昨日数えた子供も全然、呪えてないのに。
ていうか今月分全然呪えてないんですけど。
、、、あ、寝てた!
だめだめ!集中集中!頑張って呪わんと!」
みたいに、超絶ブラック企業みたいになってる。
そんなギリギリの健康状態で呪ってるし、一度に呪う人数もめちゃくちゃ多いから、一人当たりの呪いは凄く薄まってしまって、仮に呪われても、
『 ガリガリ君の当たりが出にくくなる』
『年越す瞬間にジャンプして空中で年またぎしようとするけど、タイミングずれる』
『絵の具用のバケツをこぼす』
くらいしか起きずに、呪いだとも思わないまま小学校を卒業する。
夜中に動く人体模型に至っては、全国で一斉に動き出したら、ただのフラッシュモブだ。
めでたいことでもあったのかな?
とさえ思う。
そんな風に、全国の学校で一斉に七不思議が起こっていたとするなら、もう、それは呪いでもなんでもなく、文部科学省のしわざでしかない。
二宮金次郎も、文部科学省に言われてイヤイヤ子供たちを呪っていたのかも。
人体模型もモナリザの目も、文部科学省が遠隔で動かしていたんじゃないか。
人体模型は、夜中の学校の掃除とか、各種機器のメンテナンスとかさせられてたりして。
モナリザの目は隠しカメラになっていて、先生の教育態度を文部科学省が監視していたりとか。
全ては、闇の組織、文部科学省が動かしていたのだとしたら。
こうなると、また違うタイプの怖い話だ。
あの頃怖かった七不思議。
なんであんなに怖かったのか。
でも、そんな感性が今では遠くて愛おしい。
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