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「看護業界を変える」という言葉の重みを考えた話
最近、SNSで「看護業界を変える」と掲げ、有料会員コミュニティを運営している方を見かけた。
その方の発信内容は以前からよく追って見ていた。
オンラインサロンのような有料コミュニティには前から興味があったから、その運営者にDMでいくつかの質問を投げかけてみた。
「看護業界を変える」ための具体的なビジョンは?
運営者に問い掛けたのは以下の3つ。
・どのように業界を変えようとしているのか?
・他の無料サービスと差別化できる強みは何か?
・何をもって「看護業界が変わった」と判断するのか?
シンプルな問いだったが、返ってきたのは
「顔も素性もわからない人に詳しく答える必要はない」 という言葉だった。
いつも見ている発信内容から伺えるこの方のイメージは、もっと明るくて前向き、そして「コミュニティには誰でもウェルカム」のイメージがあったから予想外ではあった。
その後は、具体的な回答はなく、話を深掘りすることもできなかった。
そもそも「看護業界を変える」とはどういうことなのか?
このコミュニティでは、
・ 講師を招いた勉強会
・ 転職支援
・ 何でも気軽に質問できる環境
を主に提供しているらしい。
他にもあるのかもしれないけど、このコミュニティのHPを見てわかるのはこれくらいだった。
しかし、それだけで「業界を変える」ことにつながるのだろうか?
無料でできることが増えた今、有料コミュニティの価値とは?
そもそも論、転職サポートやなんでも聞ける環境にお金を払ってまで得られる価値はあるのかという疑問があった。
LINEのオープンチャットには、無料で情報交換できる場が多く存在する。
「今更恥ずかしくて聞けない…」という内容も、ChatGPTなどのAIを活用すれば、すぐに正確な情報を得られる。
転職サポートも、無料で利用できるサービスが多数ある。
もちろん、有料コミュニティには「参加者同士のつながり」や「濃い情報交換の場」としての価値があるとは思う。転職サービスや質問できる環境を一本化した場を提供するという意味では魅力的なコミュニティなのかもしれない。
でも、それが「看護業界を変えること」に直結するのか?と考えると、どうしても疑問が残るところだ。
「閉鎖的なコミュニティ」で本当に業界は変わるのか?
このコミュニティは、毎月会費を払って参加する「クローズドな空間」だ。
「閉鎖的」に運営することで、本当に業界全体を変えることができるのだろうか?
就業看護師人口は約80万人いる。何かしらの理由で資格を持ちながらも就業していない、潜在看護師人口も入れると、その数は100万人をゆうに超える。
「業界の変革」とは、もっと 広く情報を公開し、誰もが参加できる形で進めるべきものではないか とも思った。
「看護業界を変える」とは簡単に言えない
この出来事を通して改めて感じたのは、
「看護業界を変える」という言葉の重さ。
✅ 何十年も続いてきた制度や環境を変えるのは簡単ではない
✅ 抜本的な改革には、時間も労力も覚悟も必要
✅ ただのスローガンではなく、具体的な行動と指標が必要
この有料コミュニティを運営している方の行動は素晴らしい。否定するつもりは全くない。でもこの言葉を使うなら、それ相応の責任と覚悟が伴うべきだと改めて思った。
そしてその責任と覚悟があって、それでも尚「看護業界を変えたい」という確固たる思いがあるのなら、何を持って看護業界が変わったのかが、具体的にわかるデータや指標を示して欲しい。
まとめ
「看護業界を変える」というスローガンを掲げるなら、
✅ 具体的なビジョンと指標を示すこと
✅ その活動がどのように「業界の変革」に直結するのかを明確にすること
が必要なのではないか?
良くも悪くも考えさせられる出来事だった。