再会

登場人物

田中 修平- 主人公。穏やかで面倒見がよい性格。
大西 直樹- 主人公の親友。負けず嫌いで力持ち。
川久保 美咲- 幼馴染。活発で勝気な性格。プロレス好き。
渡辺 彩花- 幼馴染2。おっとりしているが、意外と負けず嫌い。

本文

 大学を卒業して数年、久しぶりに集まった同窓会の帰り道、田中たち四人はすっかり意気投合していた。

「久しぶりに集まると楽しいな」

 田中が笑いながら言うと、大西も大きく頷いた。

「本当にな。久しぶりすぎてテンション上がるわ」

「せっかくだし、もう少し遊ぼうよ」

 美咲が提案すると、彩花もそれに賛同する。

「いいね、久しぶりにいろんな所に行こう」

 四人は懐かしい思い出の場所を巡ることにした。

 まず訪れたのは、昔よく通った商店街。学生時代、部活帰りに必ず寄っていたたこ焼き屋がまだ営業しており、四人は思わず感動した。

「懐かしいなー。ここのたこ焼き、変わらず美味いかな?」

 田中がそう言うと、美咲が店の前に立ってにっこりと笑う。

「せっかくだから食べようよ!」

 店主も彼らのことを覚えていて、昔と変わらぬ笑顔で迎えてくれた。熱々のたこ焼きを頬張りながら、学生時代の思い出話に花を咲かせる。

「ここのたこ焼き、本当に変わってないね。ソースの味が絶妙だよ」

「昔はここでよく長話してたよな。学校のこととか、部活のこととか……」

「うん、それに恋バナもしてたね」

 彩花の言葉に、田中と大西は少し照れた表情を浮かべた。

「そ、そんな話もしてたっけ?」

「してたしてた。田中って昔から鈍感だからなー」

「おいおい、なんだそれ!」

 そんなやり取りをしながら、四人は次の目的地へと向かった。

たこ焼きを食べ終えた四人は、次に昔よく通ったゲームセンターへ向かった。店内には今も変わらぬネオンの光が輝き、ゲーム機の電子音が響き渡っている。

「懐かしいなぁ……。ここ、まだこんなに賑わってるんだな」

 田中が店内を見回しながら感慨深く呟くと、大西がニヤリと笑った。

「せっかくだから、一勝負しようぜ」

「なにで勝負するの?」

 美咲が興味津々の様子で尋ねると、大西は格闘ゲームの筐体を指差した。

「やっぱり、ここはストリートファイターだろ!」

「いいね! じゃあ、負けたら罰ゲームありね!」

 美咲が悪い笑みを浮かべる。彩花もその提案に乗るように頷いた。

「罰ゲームは……公園でスクワットってことで!」

 勝負はトーナメント形式で行われた。第一試合は田中 vs 大西。

「よし、いくぞ!」

「負けないぞ!」

 対戦が始まり、田中が慎重に技を繰り出すのに対し、大西はゴリ押し戦法で攻めた。結果、田中の勝利。

「おお、田中強いな!」

「いやいや、たまたまだよ」

 続いての試合は美咲 vs 彩花。結果は、美咲の圧勝。

「やっぱり美咲、強いね……」

「こういうの得意なんだよね」

 決勝戦は田中 vs 美咲。

「負けた方が罰ゲームだからね!」

「いや、俺もう負ける気しかしない……」

 結果はやはり美咲の勝利。

「よし、田中罰ゲーム決定!」

「マジかよ……」

「じゃあ、公園でスクワット100回ね!」

「鬼か!?」

 夜の公園に着くと、ブランコやジャングルジムが静かに佇んでいた。学生時代、ここでよく遊び、語り合った記憶が蘇る。

「ここ、変わらないな」

「うん。昔は毎日のように来てたよね」

 彩花がブランコに腰掛けながら呟く。

「じゃあ、田中、スクワットやろっか?」

「マジでやるのか……」

「当たり前でしょ!」

 田中は渋々スクワットを始めた。

「……これ、地味にキツいんだけど」

「あと80回ね!」

「マジで鬼……」

 みんなは笑いながら田中のスクワットを見守った。

「よし、次ホテル行こうぜ!」

 大西が立ち上がり、みんなもそれに続いた。

「ホテル着いたら、もう一勝負しようね!」

「……俺、逃げてもいい?」

「ダメ!」

 公園でのスクワット罰ゲームを終えた田中は、すっかり体力を使い果たしていた。

「……もう無理……。足が棒だ……」

 地面に座り込んで肩で息をする田中を見て、美咲と彩花は楽しそうに笑った。

「まだ100回もやってないのに、情けないなぁ」

「お前ら、鬼か……?」

 大西も呆れ顔だったが、心の中では田中に同情していた。何せ、スクワット100回はなかなかの負荷だ。

「よし、そろそろホテル行くか?」

 大西の提案に、全員が頷いた。

ホテルの一室に入ると、四人はベッドやソファに座り、思い出話を始めた。学生時代の話、部活のこと、恋愛話——話は尽きることなく続いた。

「そういえばさ、美咲って最近何かハマってることある?」

 田中が何気なく聞くと、美咲は少し言いにくそうな表情をした。

「……実は、プロレスにハマっててさ」

「え?」

 田中と大西は目を丸くし、彩花は目を輝かせた。

「えー! それ、めっちゃ見てみたい!」

「いやいや、見るも何も、実際に技をかけるわけじゃ——」

 田中が言いかけたところで、美咲がニヤリと笑った。

「せっかくだし、試してみる?」

 その一言に、田中は嫌な予感がした。

「え、まさか……俺?」

「そう、手始めに田中で試すね!」

「ちょ、待っ、何する気——」

 その瞬間、美咲は田中の片足を自分の足に絡めると、もう一方の足を素早く交差させて「足4の字固め」を完成させた。
 むちむちの太ももが田中の片足に絡みつき、もう片方の足を固めてロックする。美咲が腰を落とすと、膝関節がねじれ、耐えがたい激痛が襲った。

「ぐぁぁぁああ!」

 スクワットでボロボロだった田中の脚に、さらなるダメージが加えられた。膝にねじれるような痛みが走り、田中は悶絶する。

「うわー、本当に効いてる!」

 彩花が感動したように言う。

「ちょ、ギブギブ! やばいって!」

 美咲は満足そうに技を極めたまま、微調整を加えてさらに締め上げる。

「ダメ、ちゃんと味わってもらわなきゃ!」

 田中は必死に床を叩いて耐えていたが、最終的に完全にダウンした。

「……終わった……」

 ようやく解放され、床に転がる田中を見て、彩花が不満そうに言った。

「えー、私もやりたい!」

「じゃあ、大西でいこうか?」

「は?」

 巻き込まれた大西は、嫌な予感しかしなかったが、もう逃げ場はなかった。

美咲と彩花は、力を合わせて大西を床に押さえ込んだ。

「ちょ、お前ら、待て待て!」

「遠慮しないでね!」

美咲が大西の腕を引っ張り、彩花がその反対の腕を持ち上げる。そして二人は、大西の腕を持ち上げた後、自らの太ももで挟み込み固定する。
腕を取りそのまま倒れ込む。
「腕ひしぎ十字固め♪」

「ぐおおおおお!」

 大西の顔が苦痛に歪む。腕を完全に伸ばされ、肘関節が逆方向に曲げられる形になり、耐えきれないほどの痛みが襲った。

「い、いてぇぇ! マジでやばいって!」

 しかし、美咲と彩花は手を緩めるどころか、交互に締めたり緩めたりして遊び始めた。

「こうすると、さらに痛いんだよねー♪」

「ほらほら、大西、ギブ?」

「ギ、ギブギブギブ!」

 大西が何度も叫ぶが、二人はすぐには技を解かない。

「ダメ、もうちょっとだけ♪」

 田中は床に転がったまま、それを見て笑っていた。

「ははは……大西、お前も頑張れよ……」

 ようやく技が解かれると、大西は完全にダウンしていた。

「うぅ……腕が……動かねぇ……」

 だが、次の標的はもう決まっていた。

「次は田中だね!」

 彩花がにっこり笑いながら言う。

「え?」

 田中の表情が凍りついた。

「ちょ、俺もうスクワットで足が終わってるんだって!」

「大丈夫、今度は腕をやるから♪」

 そう言って、美咲と彩花がゆっくりと田中に近づいてきた。

「待って、待っ——」

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