76歳で発達障害と診断された父との凸凹暮らし
【診断までの道のり.6】
はじめまして。
1年前に発達障害と診断された父を持つ40代主婦です。
「発達障害」と言えば、ここ10年くらい前に知られるようになった特性としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
父と暮らす中で、日々起きることに対する、娘の私の気持ちや対応が、皆さんの役に立てるのではないかと今までの経験を記すことにしました。
ちなみに父は、「自閉スペクトラム」「注意欠如多動症」「運動協調性障害」の3つの要素が全て混ざり合った状態だと診断されました。
何故この年齢で診断に至ったかの詳しい経緯についてのお話です。
【診断までの道のり.6】
はじめまして。
1年前に発達障害と診断された父を持つ40代主婦です。
「発達障害」と言えば、ここ10年くらい前に知られるようになった特性としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
父と暮らす中で、日々起きることに対する、娘の私の気持ちや対応が、皆さんの役に立てるのではないかと今までの経験を記すことにしました。
ちなみに父は、「自閉スペクトラム」「注意欠如多動症」「運動協調性障害」の3つの要素が全て混ざり合った状態だと診断されました。
何故この年齢で診断に至ったかの詳しい経緯についてのお話です。
前回からの続きです。
何度も頭の中でイメージトレーニングをし、心をなるべくニュートラルな状態に持っていき、ついに話をすると決めた日がやってきました。
事前に妹に聞いて父が在宅しているか聞きました。
出掛けてはいるけれど、私が実家に到着する頃にはいるだろうということで向かいました。
しかし、いつまで経っても父は帰ってきません。
出掛けた先で車のエンジンがかからなくなり、帰って来られないと連絡がありました。
別日にするか妹から聞かれましたが、今日を逃したら話す勇気が出ないと思い待つことにしました。
幸い一緒に居た方の助けもあり、父は無事帰って来られました。
興奮気味な父が落ち着くのを待つ間、私は母に初めて「認知症の検査を父に勧めに来た」ことを話しました。
妹と母には、「私一人で話をさせて欲しい、承諾してくれなかったらごめん。」と伝えました。
父が起きた出来事を家族に話し終わり、落ち着いた頃、もう夕方で暗くなり始めていました。
私は父と二人きりになり、こう切り出しました。
「大事な話があって来たよ」
これは「発達障害者等支援センター」の相談員さんからのアドバイスでした。
先ず要件を短く、大事な話だから聞いて欲しいと伝えるのが理解しやすいということでした。
次に父にいきなり認知症の検査をして欲しいというと拒否反応が出ると思いました。
なので、淡々と家族皆が今心配している父の物忘れについて話をしました。
それについてどう思う?と父に聞く、気持ちを確かめることで話を勧めていきました。
ここでも気付きがあったのですが、父は自分の気持ちを言葉にするのが苦手でした。それでも表情や仕草から戸惑いなどを感じとることは出来ました。
認知症になると、どんなことが出来なくなるのか、母や親戚やご近所さんの例を挙げながら説明します。
でも自分ごととは捉えられないので、次に認知症になると父がしたいことが出来なくなるという話をしました。
父に動揺がありました。
そして認知症の検査について説明していくうちに、父の中に不安材料があったことが分かりました。
言葉にしてくれてようやく、何の理由もなく
認知症の検査を嫌がっていた訳ではないと分かったのです。
この話が出るまでとにかく根気強く説明しながら問いかけをしながら待ちました。
不安材料が父の中で消えた時、
「そんなに心配してくれているなら検査を受けてみる」と言ってくれました。
外はもう真っ暗で、帰宅して家事をする気力がないくらい疲れましたが、妹と母が笑顔になってくれたのを今でも覚えています。
この経験で学んだのは、父の思いを聞く大切さと大変さでした。