76歳で発達障害と診断された父との凸凹暮らし
第3章 不器用過ぎる
はじめまして。
1年前に発達障害と診断された父を持つ40代主婦です。
「発達障害」と言えば、ここ10年くらい前に知られるようになった特性としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
父と暮らす中で、日々起きることに対する、娘の私の気持ちや対応が、皆さんの役に立てるのではないかと今までの経験を記すことにしました。
ちなみに父は、「自閉スペクトラム」「注意欠如多動症」「運動協調性障害」の3つの要素が全て混ざり合った状態だと診断されました。
何故この年齢に診断に至ったかの詳しい経緯は追々書いていきます。
まず私の幼少期に遡ってお話しようと思います。
両親は共働きで、祖父母と妹と私の6人で暮らしていました。
父は不器用な人だと今まで思ってきました。
例えば
・電球を取り替えようとして割ってしまう。
・扇風機を組み立てられない。
・包丁やカッターなどが上手く扱えない。
父が診断されてから「運動協調性障害」がこれらのことに関係していたのだと気付きました。
運動協調性障害とは、
「発達性協調運動障害(DCD)は、体の動きをコントロールする「協調」と呼ばれる脳機能の発達に問題がある発達障害です。 手と手、目と手、足と足など、複数の身体部位を協力させて行う運動が著しく困難で、日常生活や学校生活に支障をきたします。」
単に不器用という訳ではなく、実際作業しようとするとどう動かして良いのかそもそもが分からない、複雑な不器用さだと私は父の行動から理解しています。
父の不器用さはこの特性だけではなく、
祖父(父の父親)の影響も少なからずあったように思います。
シーリングライトが切れた時に父に、「そういうのは自分で替えなくて良い、電器屋さんを呼べ」と話しているのを聞いたことがありました。
経験する機会が与えられないと余計に出来なくなりますよね。
そんな感じだったので、私が中学生くらいになった頃から、簡単な電化製品の組み立ては、私が代わりにするように自然になっていきました。
網戸の張り替えなどは母の兄弟が、よく手伝いに来てくれました。
母の兄弟は皆器用だったので母はいつも比べてしまい、余計に不器用さにイライラしてしまったと最近聞くことが出来ました。
今、父に扇風機を組み立ててとお願いしても、無理と断るでしょう。何回か私から教えてはいますが、難しいです。
そんな時は私はさっさと組み立てることを選びます。母が父に期待し、父が出来なくて喧嘩になるのが嫌だからです。
そもそも私自身が器用な人間ではなく、人には得手不得手があることを認識しています。
苦手なことは出来る人に頼っても良い、父から得た私が大切にしている価値観の一つです。
気持ちが伝わらない、出来ないことも多い、そのことで両親が喧嘩ばかりで辛さももちろんあります。
ただ父の娘に生まれたからこそ、不器用な人に根気強く教えられたり、誰も仲間外れにしないようにしたり、今の私の人格形成に影響を与えてくれました。
こんな風に受け止められるまで40年くらい時間はかかりました。たまに父にイライラしてしまうことももちろんあります。
特性なのだと理解しようと頭で考えられても、自分に余裕がない時は感情の方が先に出ます。
後から多分この特性が出たんだろうと客観的に振り返る、その積み重ねです。