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スマホの見過ぎで老眼が進むの?
「スマホの見過ぎで老眼が進むんですか?」
眼科クリニックで診療中に、患者さんによく質問されます。
老眼進みそうですよね。でもその答えは「いいえ」なんです。
とは言え、スマホを長い時間見ていると、だんだんとスマホの小さい字が見えにくくなる。またスマホを見た後に顔を上げて遠くを見た時に、ぼやけて見えることを経験した人もいるのではないでしょうか?
確かにそのような症状は老眼による症状です。でも決してスマホを見過ぎで老眼が進んだのではありません。しばらく遠くを見たり、目を閉じたりして目を休ませると、もとの状態に戻ります。
これは医学的に説明すると、ピントを合わせるために活躍している目の「毛様体筋」が疲労困憊した状態なんです。
レンズである水晶体の厚さを調節してピントを合わせるのが毛様体筋です。毛様体筋は水晶体を引っ張ったり緩めたりして遠くを見たり近くを見る時に頑張ってくれています。でも加齢で水晶体が固くなると、毛様体筋の頑張りが限界に来て、最初は合っていた近くへのピントが時間とともに合わなくなり、近くが見えなくなるということなのです。
ちなみに最近よく話題になる「スマホ老眼」は20代からなると言われています。なぜそんなに若くから老眼のような症状がでるのかというと、2つの原因があります。
ひとつはスマホを見るときの目からスマホの距離です。その距離は20cmと、とても近いんです。読書する時の本との距離30cmよりさらに近い。より近くをみるためには、それだけ毛様体筋が頑張って水晶体を引っ張ってピント合わせをしてくれているのです。
ふたつめは集中して見続けることも原因です。本を読んだり、勉強するときにはページをめくる時などに、顔を上げて遠くを見ることがあると思います。でもスマホで動画を見ているときは集中して見るので、ずっと画面を見続けます。毛様体筋は全く休むことができず、疲労困憊しているのですね。
わたしがお勧めするスマホによる目の疲れを予防するための方法は、以下の5つです。目をいたわりつつ、便利なスマホを快適に使いこなしましょう。
スマホを使うときは目から離す
スマホを使うときは、画面からの距離を30cm以上離しましょう。離せば離しただけ、毛様体筋の負担が減ります。
2.適度に休憩をはさむ
スマホを使う際は、時々休憩をとり、目の毛様体筋を休ませましょう。
「20-20-20ルール」というものが、具体的な目安としてアメリカ眼科学会で提案されています。20分に1回,20秒間,20フィート(約6m)離れたところを見て目を休憩させましょうというものです.遠くを見ることで毛様体筋は一旦休むことが出来ます。
3.睡眠をとる
目を休ませる方法として、睡眠をとることは非常に効果的です。起きて活動しているあいだ、目はずっとピントを合わせつづけているので、疲労がたまります。その疲労を回復させるのに、昼寝などの仮眠を含め、睡眠をとることは効果があります。
4.まばたきの回数を増やす
まばたきをするのも、効果的です。まばたきは、目が乾燥しないように、目の表面を覆っている涙を全体に行き渡らせる役割を担っています。スマホを集中して見ているときは、まばたきの回数が通常の約半数に減ってしまうため、目がとても乾いてしまいます。目が乾いた状態は、目が潤っている状態に比べ見え方の質が落ちるので目が疲れやすくなるんです。目の乾燥を防ぐために、スマホを見ている間も、意識してまばたきをするようにしましょう。
5.目元を温める
スマートフォンを長時間見続けて疲れを感じた時は、目元を温めるのもおすすめです。
目を温めることで、涙の分泌を促し、乾燥を防げますし、目の周りの血行が良くなり、毛様体筋もほぐれます。レンジで温めた蒸しタオルや、市販のホットマスクなどを使用するのがお手軽かつおすすめです