![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161640595/rectangle_large_type_2_19ca3db18174ab47cb84967ab5348de1.png?width=1200)
老眼を放置した先の悲劇
日々の診療で老眼で不便が出てきている患者さんを診察しています。診察の中でその話が出たときには、眼鏡に累進レンズを入れる、遠近両用のコンタクトを使うなどの老眼攻略の方法をお伝えしています。でも実際に患者さんが使うという決断をするまでには平均2年ぐらいかかる印象があります。症状があった時だけ受診するような患者さんだと、最初に老眼のお困りごとを訴えてから5年後にやっと眼鏡のレンズを累進レンズに変える決断をするなどということもよくあります。
老眼専門眼科医としては、その老眼の不便を抱えているまま過ごしたをして月日がもったいないと感じますが、実はそれだけでなく、長く放置したことで大きな問題が発生するのです。
それは、すぐにはあなたの老眼の進行度合いにふさわしい度数の眼鏡の累進レンズ、遠近両用のコンタクトは使えないということです。今は累進レンズや遠近両用のコンタクトはかなり技術が上がり、使いやすく見えやすいものになりました。それでも現在使っている眼鏡やコンタクトとの見え方の差が大きすぎると、脳が対応できず、眼鏡をかけられない、コンタクトを一日使っていると疲れる。などの症状が出ることが多いのです。
例えば周りに「遠近両用の累進レンズの眼鏡に変えたけど、くらくらする。足元が歪んで見えてかけられたものじゃない」などと眼鏡の累進レンズに対して拒絶反応を示している人がいませんか?それはその人の老眼度合いに合わせた遠近両用メガネでも、脳が急にはその見え方に慣れないために起こるのです。
だから、そうならないように、現在使っている眼鏡やコンタクトとの見え方が許容できる範囲で変えるという選択が必要になります。そのため「今までよりはいいけど、思ったほどは近くが見えない」と感じますが数か月その眼鏡、コンタクトレンズを使って慣れる必要があります。そして慣れた頃にまた理想の度数に近づけるという我慢が必要になるのです。
この前の見え方との差をどれぐらい許容できるのかは、個人差も大きく、こちらが大丈夫だと思うぐらいの度数変化でも、使えないと言われることもあり、そうするとより細かく度数変更をする必要になります。患者さんにとっては理想の眼鏡、コンタクトにするために何度も度数変更をしないといけなくなるし、なかなか理想とする見え方までたどりつかないので時間的にも金銭的にも大きな負担になります。
日々の診療では、たくさんの患者さんの診察をしないといけないこともあり、なかなかそのような将来の話までして、患者さんに理解してもらうのは難しいと感じています。そのためnoteでの情報発信を始めました。
老眼になったことに目を背け続けると、将来こういった困難が待ち受けているのです。だから老眼を感じ始めたら、はやく老眼になったことを認め、眼鏡に累進レンズを入れる、遠近両用コンタクトを使うといいのですよ。