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老眼をトレーニングで治すことはできるのですか?
いいえ。できません。
YouTubeやネットを検索すると「30秒老眼トレーニング」、「老眼鏡が不要になる老眼改善トレーニング」など、いろいろな情報が出てきます。これは老眼による疲れ目や近くにピントが合わないなどの症状を、一時的に改善させる効果のあるものもあります。
でも老眼が治るという訳ではありません。
この「眼の筋肉を鍛えて老眼を治す」という都市伝説は、フィットネスジムで頑張って筋トレをすれば60代、70代になってからも、例えばベンチプレスで、今までは持ち上げられなかった重さのバーベルを持ち上げることができる。だから眼の筋肉を鍛えれば、近くにピントを合わせるための筋肉が強くなり、老眼も治せるのだという素人発想から来るものです。
レンズである水晶体の厚さを調節してピントを合わせるのが毛様体筋です。毛様体筋が水晶体を引っ張ったり緩めたりして遠くを見たり近くを見たりというピントをコントロールしています。
年齢を重ねると水晶体が固くなるのであって、毛様体筋が弱くなるのではないということです。毛様体筋が固くなった水晶体を引っ張ることができなくなるから、近くにピントを合わせられなくなり、近くが見えにくくなるのです。
今のところ固くなってしまった水晶体をもとに戻す方法はありません。老眼は治るという都市伝説を信じ、これらのことに時間を割かないで欲しいのです。残念ながら60歳を過ぎても日々、老眼は進んでいくのです。
医学的根拠のない老眼トレーニングをしている時間があるのなら、老眼を受け入れて、モノに頼りましょう。眼鏡のレンズを累進レンズに変えたり、コンタクトレンズを遠近両用のものに変えましょう。今のレンズは以前に比べてかなり進化しているのです。
そして眼鏡の累進レンズや、コンタクトレンズによる老眼矯正は、「老眼で近くがすっかり見えにくくなる」前から使い始めるのがおススメです。夕方になると近くが見えにくくなる、長い時間近くを見ているとピントが合わななってきたと感じたら、眼鏡、コンタクトレンズのレンズを変えるタイミングです。
というのは、これらの老眼に対応する眼鏡、コンタクトレンズは使い方にコツが必要なので、早いうちから使い始めた方が、うまく使いこなせる可能性が高くなるのです。
老眼がすっかり進んでからだと、近くを見るための度数を上げないといけないので、その眼鏡、コンタクトレンズに、なかなか慣れない、使いこなせないということが出てくるのです。
老眼対応の、メガネ、コンタクトレンズを使って、近くも快適に見えるようにして、人生の後半も楽しんでいきましょう。