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陰キャだって、恋しかるべき! ~15年後のstory~ 第2章

2 10年前の出来事
 
 私たちは当時16歳だった。
 私は勇大とカレカノになって、婚約の話はまだあまり気にしてはいなかった。
 でもある日―
 『霧也くん。やっぱりお母さんたちに話そ?』
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 「って、明下さんから言われたんだ」
 「やっぱり隠すのは良くないなと思って」
 私たちは苦笑する。
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 2月ぐらい……だったかな?
 3人とも部活が終わって3人(私と勇大と霧也くん)と一緒に私の家に行ったんだ。
 1日目は明下さんの家。
 2日目は霧也くんの家に訪問する予定。
 ―1日目
 『お母さん、話があるの』
 お母さんは少し戸惑ったような顔だったんだけど、何か分かったような顔をして。
 『分かったわ。部屋は狭いけどこっちに来て』
 その時、お母さんは歌手を引退していたんだ。
 そして、和室に着くと……。
 『お母さん、話っていうのはね、婚約の件なの』
 『そうだと思ったわ』
 『お義母さん、お願いします』
 霧也くんの言葉に3人は同時に頭を下げる。
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 「この時、私許してくれないかと思ったよ」
 「僕もそう思った」
 「そうなんだ……」
 琴乃さんがなるほどというようにうんうんと頷く。
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 『分かった。あなたたちは本当にそれでいいのね?』
 『うん』
 『はい』
 『ところで……なーちゃんの隣の人は?』
 『お、俺っすか!?俺は、わ、わわ渡辺ゆ、勇大です。菜央…じゃなくて、菜央さんとお、おお付き合いさせてい、いい、いただいてます!』
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 「勇大、めっちゃ嚙みまくってたよね」
 「それは、僕もよく覚えてる」
 「う、うっせーな!」
 勇大が顔を真っ赤にする。
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 『そうなのね……なーちゃんをよろしく』
 そう言ってお母さんは部屋を出て行った。
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 「これが1日目の出来事」
 「2日目は……」
 今度は霧也くんの番。
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 ―2日目
 『母さん。話があるんだ』
 2日目も、1日目と同じように僕、明下さん、勇大の3人で僕の家に行ったんだ。
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 「霧也くんのお母さん、美人さんだったよねー」
 「うんうん。なんかキリッとしてて、目は切れ長だったよな」
 「私もそう思いました」
 私と勇大、梨帆さんが口をそろえる。
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 『…霧也。みなさんを「ユリの間」に通して』
 『はい』
 僕の家は部屋がたくさんある和風の家だったんだ。
 ユリの間以外にも、花の間とか鈴蘭の間とかがあるんだ。
 『霧也、話というのは一体何なの?』
 着物を着た母さんは何故か少し怒っているように見えた。
 『母さん。婚約の件、なしに出来ないかな?』
 『お、お願いします』
 3人同時に頭を下げたんだけどさ……。
 『無理ですね』
 『『『えっ?』』』
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 「この時、まさか断られるとは思ってなかったよ」
 「菜央の家の方は、すぐ了解してくれたもんな」
 「で、この後どうなったでやんす?」
 かっちゃんが目をキラキラさせて霧也くんの方に体を乗り出す。
 「次ね…」
 霧也くんが少し笑ってしゃべりだす。
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 『なんでダメなんだよ!』
 勇大が急に立ち上がる。
 『親に結婚を決められ、好きでもない相手と相手を一生を過ごしていけと言われ、子供は自由に生活できない!その子供が「結婚はいや。」と言っているのに、なんで……なんでダメなんだよ!!』
 『っ……。そうだよ母さん!明下さんには明下さんの人生があり、僕には渡部霧也としての人生がある!それを親に決められるのはみんないやなんだよ!』
 『勇大…。霧也くん』
 『……』
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 「って勇大がめっちゃ泣きながら叫んだり、霧也くんも言い出すから、私なんか感動しちゃって……」
 「勇大君、言うときは言うのね」
 澄麗さんがしみじみとつぶやいた。
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 『お義母さん。今の言葉の意味をもう一度よく考えて、婚約の件、考え直してください』
 って明下さんが言ったとき、何故か安心したんだ。
 『分かりました。もう一度よく考えて決断をします。菜央さん、渡辺くん。2人で幸せな人生を送ってね』
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 「……っていうのが10年前のこと。今思えばあの時、すでに決断をしていたのかも」
 「なんでですか?」
 琴乃さんが首をかしげながら聞いてくる。
 「だって、決断してなかったのならわざわざ私たちに「幸せな人生を送ってね。」なんて言わないでしょ?」
 「確かにそうね」
 梨帆さんが納得というような顔でこっちを向く。
 「2人っていろいろな困難を乗り越えてきたのね」
 「って、俺もだよ!!」
 さゆりさんの言葉に勇大がツッコむと笑いが起きる。
 その後は、さゆりさんや澄麗さんの学生時代の話で盛り上がった。
 11時くらいまで、その居酒屋は言葉が絶えなかった。


あとがき
皆さんお久しぶりでぇぇえす
椿井ですー!
えーw
まずは大事なお話なんですけどww
実は最終回まで後2話残ってますww
今回で終わりだとか言ってたけどまだあるんですw
後2話ありますけど完結までよろしくお願いしますね!

さぁ、というわけでこれは「陰キャだって、恋しかるべき!」の未来の話になってますが、菜央たちの小学生の姿を見るとより一層楽しめるお話になってるので過去作も良かったら見てみてくださいね!
それではまた次回の作品でお会いしましょう!
                         椿井咲希夏


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