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陰キャだって、恋しかるべき! ~15年後のstory~ 第3章

3 勇大&〇〇
 
 「菜央ー!」
 今日は親友の紗夜と話をする日!
 中学の卒業式以来喋っていなかったからなぁ~。
 紗夜がこっちに走ってくる。
 相変わらずオシャレだな~。
 「紗夜!こっちこっち!!」
 2人でカフェに入る。
 「菜央。そういえばさ、知ってた?」
 注文を終えた後、紗夜が興味津々の様子で聞いてくる。
 「知ってたって、何を?」
 「栄心先生って、覚えてる?」
 栄心先生?
 ……あぁ、いたねぇ。
 「卒業してから知ったんだけど、栄心先生と勇大くんって兄弟らしいよ」
 ……。
 えぇーっ!!!
 「紗夜!それって本当!?」
 「そうらしいよ」
 あの2人って、つながってたんだ。
 じゃあ、勇大のお兄さん……お義兄さんは、栄心先生ってこと!?
 「なんで、苗字が違うんだろう」
 「それはね、栄心先生はお父さんの実家に連れていかれて、勇大くんはお母さんの実家に連れていかれて、苗字が渡辺になったらしいよ」
 じゃあ、勇大と井上先生…いや、栄心さんのお義父さんとお義母さんは離婚してたってこと?
 全然知らなかった……。
 「お待たせしました。チョコパフェと、メープルパンケーキです」
 「「ありがとうございます」」
 「でさ、栄心先生さ」
 紗夜がすぐに話を続ける。
 「え……」
 ウエイトレスさんがおぼんを落としかける。
 「ん?どうしたんですか?」
 紗夜は話をやめてウエイトレスさんの顔を覗き込む。
 「もしかして……守山さんと、明下さん?」
 「「え……」」
 もしかして……。
 「栄心先生?」
 「栄心さん?」
 「「「やっぱり!」」」
 3人で顔を見合わせる。
 いや、言いたいこと、色々とありすぎるんだけど!
 「あの……。栄心さん。私が勇大と結婚したのは知ってますか?」
 「へ?」
 「「えっ!?」」
 知らなかったの!?
 弟なのに?
 「っていうのは、嘘ですけど」
 ウソなんかーい。
 まぁ知ってるか。
 それが普通だもんね。
 「勇大との結婚式のビデオ、見たよ」
 「えぇ!」
 見たの?あれを!!
 「ちょ、菜央!?大丈夫?」
 いつの間にか、私は恥ずかしさで、手で顔を覆っていた。
 「おーい!井上くん。早く、戻ってきてくれるかい?」
 「は、はい!すみません」
 店長さんに呼ばれて栄心さんがおぼんを持ち、くるっと向きを変える。
 「では、僕はこれで。またいつか」
 そう言って、栄心さんはキッチンに消えていった。
 「……栄心先生。なんで教師辞めたんだろう」
 紗夜が遠くを眺めながら呟く。
 「……さぁ、なんでなんだろうね」
 もしかしたら、もしかしたら……。
 私たちの結婚が、関係あるのかもしれない。
 


あとがき
眠いですね、てことで寝ます(((
                         椿井咲希夏


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