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注目の劇場版アニメ特集!
劇場版アニメ『金の国 水の国』、『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』
各作品の魅力と見どころを紹介します。
人の誠実さが世界を変える!岩本ナオ先生原作のマンガを映画化
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『町でうわさの天狗の子』や『雨無村役場産業課兼観光係』などで圧倒的人気を誇った岩本ナオが描く『金の国 水の国』。
商業国家で水以外なんでも手に入る裕福な国アルハミトと、貧しいが豊かな自然と水に恵まれたバイカリ。長年敵対する両国は、バイカリから「もっとも賢い男」、アルハミトから「もっとも美しい姫」を結婚させることで均衡を保っていた。
そしてバイカリからは貧しい建築士のナランバヤル、アルハミトからは第93王女のサーラが選ばれ婚姻関係を結ぶことになるが、両国は彼らを相手国に差し出すことなく、犬と猫を送りあうというお粗末ぶり。
しかし偶然出会ったナランバヤルとサーラは、お互いの国の事情を察し、思いやりを持って接していくうちに惹かれ始める。二人の優しさと誠実さは、やがて両国の思惑すら超えて世界を変える。
魅力的なキャラクターたちとその思惑
この作品が秀でているのは、ただの純愛モノではなく、人の思惑や政局の面白さも絡めたストーリーである点だ。そこにリアリティがある。
まず、飄々としていながらも賢さと社交性があるナランバヤルの見た目はいわゆるイケメンではない。しかし国を想い、人々の思惑にも敏感で、何事も愚痴らず常に建設的な提案をする姿には誰しも魅了される。声優を務めた賀来賢人さんの演技も実在感があって素晴らしい。と同時に、サーラはだいぶふくよかで、どちらかというと「かわいい」雰囲気。見た目は絶世の美女として描かれてはいない。が、心の美しさや優しさに誰もが感情移入する。
イケメンと美女という組み合わせでもなく、カップルにギャップがあるわけでもないのに、二人が魅力的で応援したくなるのがすごい。
多数のキャラクターは相関図も一切のストレスを感じることなく、彼らの思惑までも把握できる展開は見事というほかない! おもしろいから観て!
大人気アニメ「転スラ」の劇場版!圧巻のアクションシーン
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『転生したらスライムだった件』、通称「転スラ」として愛されているアニメシリーズの劇場版作品。
位置づけとしてはテレビアニメ第二期終了後の作品で、主人公リムルが八人の魔王「八星魔王」(オクタグラム)の一人となってテンペストに戻ってからの話。
話の起点になるのは、大鬼族(オーガ)のヒイロという人物が登場し、テンペストにいるベニマルと再会するところからはじまる。
オープニングから剣劇アクションが繰り広げられるのだがそこから最高なのである。
いわゆる超常的能力を発揮する必殺技の応酬ではなく、ヒイロが追手たちと激しい戦闘をするのであるが、剣がぶつかり響く音の種類からアクションのスピード、動きのパターンの豊富さと、それを初見の人でも理解できるカット割り。度肝を抜かれるとはまさにこのこと! 劇場版ならではの贅沢なアクションを堪能してほしい!
テレビアニメシリーズの雰囲気もそのままに完璧な劇場版作品
オリジナルキャラクターの登場もあり、特別感のある劇場版作品となっているが、テレビアニメシリーズからのギャグテイストもきちんと入っていて、緊張と緩和のバランスが素晴らしいのでまったく飽きない映画となっている。
ヒイロが自分の命を救ってくれたラージャ小亜国の女王トワを救うために、リムルに助けを求めるところから物語は大きく動き出すのだが、リムルの策士ぶりも健在。
今回はどんな「敵」なのか、そしてリムルが下した判断はなにか、それはぜひ作品を見ていただきたいのだが、原作に先んじて公開されていながらも、原作の雰囲気と物語の流れを見事に汲み取った完璧に近い劇場版作品なので、「ありがとうございます!」という感謝の気持ちが沸き上がってくる。テレビアニメシリーズからの一気見だってオススメです。
はやく観てほしいです!
Text/サンキュータツオ
▼『金の国 水の国』
プロフィール サンキュータツオ
1976年東京生まれ。漫才コンビ「米粒写経」として都内の寄席などで活動。
早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。
アニメ、マンガなどを愛好しており、二次元愛好ポッドキャスト「熱量と文字数」を毎週水曜日配信。「このBLがやばい!」選者、広辞苑第七版サブカルチャー項目執筆担当者。一橋大学などで非常勤講師も務め、留学生に日本語や日本文化も教えている。X:@39tatsuo