クリスマスに観たい、愛のアニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』
12月は「クリスマス」をテーマに、SYOがピックアップした“クリスマスに観たくなる”アニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』の魅力をポイントに分けて紹介。
クリスマスとは、誰かを求める日/愛を欲する日
クリスマスの過ごし方は、人それぞれだ。特別なイベントと考える人もいれば、普段と変わらぬ1日と捉える人もいる。ただやはり、1度は「クリスマス」というフィルターを通してどう過ごすかを各々が“選択”する日なわけで……。各々のスタンスは千差万別だが、意識しないことはほぼない、といえそうだ。そのうえで現代日本のクリスマス(における概念)とは何ぞや?と考えると、「誰かを求める日/愛を欲する日」なのではないかという気がしてくる。クリぼっち(クリスマスに1人で過ごすこと)なんて言葉があるように、他者との“つながり欲”が高まる日という定義のもと、誰かと過ごす時間の尊さと変化を美しく描いた『ジョゼと虎と魚たち』を紹介したい。
クリスマス観賞で感動が増幅『ジョゼと虎と魚たち』
アニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』は、田辺聖子の同名小説を原作に様々なアレンジを加えた真摯な1作だ。大阪を舞台に、足が不自由で車いす生活をしている女性ジョゼと、彼女の世話を頼まれた大学生・恒夫が少しずつ仲を深めていくさまが丁寧に描かれてゆく。四季折々の美しい映像と“同じ目線に立つ/立てない”に踏み込んだ繊細な心情描写、切ないラブストーリーに声優を務めた清原果耶・中川大志の熱演と見どころは数多い本作だが、作品のキーとなるのがクリスマス。雪景色×祝祭ムードのなか、待ち合わせ場所に現れず、姿を消したジョゼを必死に探す恒夫……ふたりは再会できるのか?という重要な(そして涙を誘うエモーショナルな)シーンが展開する。余談だが、本作の劇場公開日も劇中にあわせた12月25日であり、クリスマスと縁が深い一作だ。この時期に観ることで、一層感動が高まることだろう。なお、エンドロール中&後に“続き”が描かれるため、最後の最後までお見逃しなく!
アニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』はこちらから▼
SYOプロフィール
1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、複数のメディアでの勤務を経て2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、インタビューやコラム執筆、トークイベント・映画情報番組への出演を行う。2023年公開『ヴィレッジ』ほか藤井道人監督の作品に特別協力。『シン・仮面ライダー』ほか多数のオフィシャルライターを担当。装苑、CREA、sweet、WOWOW等で連載中。X(旧)Twitter・Instagram「syocinema」