アクション映画の新たな金字塔
キアヌ・リーブスが最強の暗殺者を熱演。孤高の佇まいとリアルなアクションと独特の世界観がアクション映画の歴史を更新!『ジョン・ウィック』!
キアヌ・リーブスの持ち味を活かした新たな当たり役
最愛の妻を亡くし悲しみに暮れる男。残されたのは妻の置き土産の子犬と愛車のクラシックカーだったが、ある日マフィアのボスの息子に目を付けられ全てを奪われてしまう。一方マフィアのボスは息子の行いを知り震え上がる。その男はボスの元部下で「ババヤガ」と恐れられた伝説の暗殺者ジョン・ウィックだった…。この全てを失った悲しい男と最強の暗殺者という二面性のある人物にキアヌ・リーブスという俳優の持ち味が最大限に活かされています。亡き妻を思う時の切ない表情、死闘を繰り広げる際の必死の表情、戦いに疲れてくたびれた表情までキアヌだからこそ出せる独特の雰囲気がジョン・ウィックにはあります。少し浮世離れした性格で会話中に時折ユーモラスな空気が流れてしまう感じもキアヌらしくて好感が持てる最高の当たり役です。
アクション映画の歴史を更新。斬新でリアルなアクション!
映画とアクションは切っても切れない関係です。無声映画から戦争映画、スパイ映画、ヒーロー映画、カンフー映画などが紡いで来たアクションの歴史に『ジョン・ウィック』は新たな革新を起こしました。例えば銃撃戦と武術を組み合わせた「ガン=カタ」に本作ではより実戦的な銃撃スタイルと近接格闘を組み合わせてよりリアルに作り上げています。銃撃戦も単なる撃ち合いではなく近距離で確実にヘッドショットするスマートなガンアクションになっています。そのアクションのルックスを向上させているのが美しい色調設計です。冒頭の青と黒を基調とした冷たい色合い、マフィアの息子が潜伏するクラブの青と赤のネオン、そして豪雨の中で稲光がフラッシュするラストバトルと、徹底的にデザインされた色調の中で繰り広げられるアクションも見ものです。
スタントマン出身のチャド・スタエルスキ監督だからこそ作れた映画
『ジョン・ウィック』の監督はチャド・スタエルスキ。スタントマン出身で様々な作品のスタントコーディネーターやアクション監督をこなし、ついに監督としてデビューしたのが本作です。キアヌ・リーブスとは『マトリックス』で彼のスタントダブルを務めた頃からの関係です。同じくスタント出身で映画監督でもあるデビッド・リーチと設立したアクションチーム「87eleven」も本作に強く関わっています。つまり、チャド・スタエルスキが映画業界で積み上げてきたスタントマンとしての経験、メソッド、人脈などを総動員して作ったのがこの『ジョン・ウィック』なのです。彼が信頼できるチームとアイディアを出し合い、最新の格闘術や銃撃スタイルなどを取り込み、そのアクションを俳優に叩き込むメソッドがあるからこそ革新的な映画になったのです。
アクションだけじゃない!『ジョン・ウィック』世界の魅力。
『ジョン・ウィック』シリーズのもう一つの魅力が暗殺者たちが集う"聖域"コンチネンタルホテルの世界観です。暗殺者が集う高級ホテル、怪しげな地下サロン、上品なコンシェルジュ、あらゆる情報を握るオーナー、「ホテル内では仕事(殺し)をしてはいけない」というルールや彼らの間だけで流通する金貨などなど…奇妙で魅力的な設定が豊富です。本作ではその暗殺者業界のほんの一部を見せることで観客に様々な想像を膨らませる余地があります。『ジョン・ウィック』シリーズはこの後も次々と続編が作られ、コンチネンタルホテルや暗殺者業界のルールなどがさらに深堀りされて行くのですが…まずはその原点であるこちらの1作目の鑑賞をお勧めします!
Text/ビニールタッキー
ビニールタッキー プロフィール
映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」管理人。海外の映画が日本で公開される際のおもしろい宣伝を勝手に賞賛するイベント「この映画宣伝がすごい!」を開催。Twitter:@vinyl_tackey