世界を舞台に活躍する表現者・山下智久
Huluオリジナル「THE HEAD」「神の雫/Drops of God」「挑戦者・山下智久」を通し、輝きを増す彼の魅力を3つのパートで紹介。
作品全体に切ない“深み”をもたらした「THE HEAD」
山下智久にとって初の海外ドラマ出演を果たした「THE HEAD」。南極基地を舞台に、謎めいた殺人事件の真相が現在と過去を行き来する形で紐解かれていく。山下はメインキャラクターの一人である微生物学者・アキを熱演。他言できない複雑な過去を背負ったどこか陰のある演技や、極寒の“氷上の密室”においても他者への優しさを失わないアキの人徳を表現する説得力等々、随所で存在感を発揮している。また、Season 1の終盤ではアキを軸にした切ないドラマも展開。サスペンスパートだけでなく、胸を揺さぶるエモーションの部分も牽引している。アキの存在はSeason 2でも重要な役割を果たしており、山下の貢献度の高さを改めて感じさせられる仕様に。なお、シーズン1・2ともに山下がエンディングテーマ曲も手がけている。
ワインに全てを注いだ人物の“孤高”を体現した「神の雫」
2004年に発表され、全世界シリーズ累計発行部数1500万部以上を記録した人気漫画を独自のアレンジを加えて実写ドラマ化した「神の雫/Drops of God」。世界的なワインの権威の遺言で、娘と一番弟子がワイン対決を繰り広げる物語。本作が海外ドラマ初主演となった山下は、海外での自分史上最長となる撮影に挑戦。ワイン評論家の遠峰一青に扮し、日本語・英語・フランス語でのセリフを操るだけでなく、ワインのテイスティングの際など、美しい所作でも魅せる。また、一青を演じるうえで重要なのは“品”や“風格”といった佇まいから漂う「只者でない」オーラ。ワインに人生のすべてを注ぎ、常人には到達できない領域まで上り詰めた人物がゆえの鬼気と孤独を、抑えた演技で山下が見事に体現している。
創造性の現在に迫るドキュメンタリー「挑戦者・山下智久」
「THE HEAD」「神の雫/Drops of God」では演者としての山下智久を(物語や役を通して)堪能できるが、山下本人のひたむきにチャレンジし続ける姿を確認できるのがドキュメンタリー「挑戦者・山下智久」だ。こちらでは、5年ぶりのアリーナツアーなどミュージシャンとしての山下の活動に密着したり、韓国への旅に同行して様々な表現者と交流するさまを映したり、現在の山下のビジョンを聞いたりと充実した内容になっている。第1・2話では韓国・広蔵市場でキンパやホドゥクァジャ(くるみ饅頭)を食べたり、サンナクチ(活きダコ)に挑戦したりといった食べ歩きパートに、海外での仕事について語るインタビューパート、ダンサー/振付師のRENANやアイドルグループ「AB6IX」のイ・デフィといった表現者たちとの対談パートが用意されており、山下智久という人物を多面的に知ることができる。彼のクリエイティビティの源泉を観たい方にはまたとない機会といえそうだ。
Text/SYO
SYOプロフィール
1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、複数のメディアでの勤務を経て2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、インタビューやコラム執筆、トークイベント・映画情報番組への出演を行う。2023年公開『ヴィレッジ』ほか藤井道人監督の作品に特別協力。『シン・仮面ライダー』ほか多数のオフィシャルライターを担当。装苑、CREA、sweet、WOWOW等で連載中。Twitter・Instagram「syocinema」