散文:今日の夢

宇宙にいた。
なぜ宇宙だとわかったかというと、目の前に星が瞬く暗闇と、地球が見えたからだ。
地球のほかは、宇宙ステーションらしきものが見えた。
眼鏡もかけていないのに、なぜか遠くまでよく見える。
星が見えるのだから真っ暗なはずなのに、周りの様子がわかるくらいにはぼんやりと明るい。

手をつくと、わずかに砂のようなものが手のひらに残る。
白くて硬い地面に座っていた。
ここはたぶん月だ。
一度きてみたかったんだよなと思いながら、立ち上がって探検に出かけた。

平坦な道を裸足で歩いていると、なにかの音がする。
海だった。
理科の授業で見た、静かの海や晴れの海という文字が書き込んである月面の画像を思い浮かべながら、でも月の海に水はなかったはず、と考える。
海は少なくとも地平線の向こうまでは続いていた。
水は地面の色を透かすほど透明で、足首ほどの深さしかない。
広大な子供用プールのようだった。

水に足先をつけ、打ち寄せる波に触れたが、不思議と何の感触もない。
よく見ると、砕けた波がところどころ四角いピクセルになっている。
デジタルの海だった。
波の像がただ投影されているだけではなく、足にあたるときちんと飛沫が立つ。
月ではもう海もこんなかんじになってるのね、と妙に納得して、ひとしきり波を蹴って遊んだ。

しばらくして顔をあげると、あたりはいつの間にか夕焼けで、地平線に半分ほど太陽が沈むところだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?