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阿里山鐵路「奮起湖 日帰りの旅」 〜60代台湾ひとり旅

台湾の何が好き、と聞かれて、ちょっと答えづらいことの一つに

「繁体字が好き」

ということがある。

繁体字は、台湾の中国語(台湾華語)に使われる文字で、日本の旧字体のように、画数がめちゃ多い漢字だ。

わたしの年代は旧字体を習っていないけれど、親や叔父叔母は旧字体を書いていたし、子どもの頃は街でも旧字体を見かけることがまだあった。
夏目漱石の小説も旧字体で読んだし、どこか親しみと懐かしさと、少しインテリな感じがある。

台湾には、そんな旧字体があふれている。見まわせば、漢字だらけだ。当たり前だけど。その漢字だらけの世界に萌えるのだ。
繁体字は、旧字体とまったく同じというわけではないけれど、漢字を見るとなんとなく意味がわかるのも嬉しい。

台湾に昔の日本の懐かしさを感じることの一つは、この繁体字にあるのではないかと思う。

今回の旅の目的の一つに「阿里山鉄道に乗る」というのがあった。

阿里山鉄道。これを台湾華語で書くと「阿里山鐵路」。
この「鐵」という字に、ぐっとくるのはわたしだけだろうか。

阿里山鉄道は日本統治時代の1906年に建設が始まった。海抜30メートルの嘉義駅から2,216メートルの阿里山駅に登るまでの総距離は85キロ。

赤いディーゼル機関車が現役で走っている。

現在本線は、「嘉義駅」から「十字路駅」まで毎日1往復の全席指定列車阿里山号が運行されている。「十字路駅」から「阿里山駅」までは不通のため、バスに乗り換えて行かなければならない。

今回は日帰りの予定なので、「嘉義駅」から「奮起湖駅」までの往復のチケットを買った。

行き 嘉義 9:00 発 → 奮起湖 11:21着
帰り 奮起湖 14:30発 → 嘉義 16:51着

奮起湖には実質、3時間弱しかいられない。

当日は、朝から雨。

それまでずっと天気がよかったのに、なぜに阿里山に行く日に限って悪天候〜?

列車の中は暖房がないので、めちゃくちゃ寒い。外は霧で景色は全然見えない。有名なループ線も、くねくね曲がっていることはわかるけれど、どこがどこやら。

雲海が見えるのを慰めに。

この列車、全車両にトイレがあるので、年配の方でも安心・・・といいたけれど、外国人の観光客が多い列車なので、トイレの使い方に難があり・・・。慣れてない人にはちとハードかもしれない。

そうそう。阿里山鉄道に限らず、台湾の観光地では、中国語、英語、日本語でアナウンスされることが多い。いつも気になるのだけど、英語の場合は、地名を中国語読みから、たとえば「樟腦寮」を「Zhangnao liao」と読むのだけど、日本語のアナウンスでは「しょうのうりょう」と日本語読みする。
これって台湾特有のことなんだろうか。漢字だから、日本語読みできちゃうからなのか?それにしてもちょっとなあ。日本に阿過ぎてない?
もし他の国だったら、たとえばタイなら?アメリカなら?フランスなら?日本語のアナウンスはカタカナ言葉になるんじゃない?
だったら台湾でもカタカナ言葉で「ジャンナオ リアオ」と読んでもいいんじゃないのかなあ。

景色が見えないので、そんなことをつらつら考えながら、2時間半の乗車を終え・・・。

ようやく着いた「奮起湖」。天気も少し明るくなってきた。

お腹が空いていたので、早速名物の「奮起湖弁当」を食べに行った。昔ながらのステンレスのお弁当箱に入っている。
味付けがやさしくて日本人好み。鶏肉もぷりっとした肉質でジューシー。これは忘れられない味になりそう。

老街やそのまわりを散策。桜が咲き始めていた。お花のシーズンはまた格別でしょうね。

阿里山といえば「阿里山茶」。
あまり時間がないこともあって、とりあえず通りかかったお茶屋さんに飛び込んだ。店主さんが、いくつもお茶を淹れて飲ませてくれた。
オーガニックのお茶があるかどうか聞いたところ、阿里山のような高地でオーガニックはめちゃ難しいし、めちゃ高くなる。ここで売ってるのは、化学肥料使ってないし、残留農薬もないよ、とのこと。
う〜ん。やっぱりオーガニックは難しいのかなあ。

帰りの列車も霧の中。亜熱帯の植物が霧の中にあるって、なんだか不思議な光景。この濃い霧がお茶を美味しくさせるんですね。

ぎりぎり撮れたカーブする車両。こんなカーブがいくつもあって、カーブごとに景色が変わるのが見られるはずだったけど、残念・・・。でもそれも含めて貴重なおもしろい体験。阿里山茶を飲むたびに、この森のことを思い出すでしょう。






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