広報活動の中で意識していること
(カバー画像は UnsplashのDiego PHが撮影した写真)
この記事は技術広報 Advent Calendarの21日目の記事になります。
みなさんこんにちは STORES 株式会社 の @huinです。
僕は、現在はモバイル本部という10名ちょっとのグループのシニアマネージャーという立場にあり、モバイルエンジニアの採用を行っています。また、昨年3月に入社してからの半年ほどはモバイル以外のポジションについても採用に関わっていました。
そして採用の文脈の中で、技術発信を推進するために色々と工夫をしてきました。
今日は、僕自身が広報/発信活動の中で意識していることについて書いてみようと思います。これを読めば技術広報がうまくいくという、そんな記事ではないですが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
免責
前述の通り、僕の活動はエンジニア採用の文脈でやってきたことです。
これはいわゆる採用広報としての活動であり、目的含め技術広報とは異なります。
そのあたりはあらかじめ割り引いて読んでいただければと思います。
広報活動の中で意識していること
最初に結論を書くと、僕が意識しているのは
情報の流量を増やし、日常的に触れる機会を増やすこと
1のために、大当たり狙いの発信よりも小さな発信を数多く行う
この2つです。
この考え方の源泉は、森岡 毅さんの確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力が元になっています。
この本は業績が低迷していたUSJを、P&Gでブランドマネージャーを経験されていた森岡さんがどう復活させたか?について書かれている本なのですが、「Prefarence」や「EvokedSet」というマーケティングで重要な考え方を数学的説明も含めて解説されており、当時読んでとても新しい概念をインストールしてもらった記憶があります。
現実における広報活動
エンジニア採用をやっていると、情報発信をして認知をあげていこうと考えることが多いかと思います。その過程で、発信活動の効果をしるために「候補者が何をみて応募したか計測したい」とも考えると思います。Webアクセスでいうところのリファラーですね。
しかし、現実的にはブログやスポンサー、登壇など何かの情報に触れたタイミングで「この企業に応募しよう」とはなりません。転職のタイミングで「覚えていた会社の中から選ぶ」ことの方が自然なはずです。
そのタイミングで、カンファレンスのスポンサー企業や登壇者の所属会社、よく読むTechブログなどを思い出して会社を選でいると思います。
つまり、候補者の転職意欲を喚起することを目指すのではなく、候補者が転職を検討した時に受けてみたいと思う企業群に入ることを目指すべきなのです。
ここで大事なのは、「企業群に入る」ことです。求職者は転職活動において複数社をうけることのほうが多いはずなので、1位になることではなく第一想起グループに入ればいいのです。
では、どうやって第一想起グループにはいるか?というと、僕はやはり日常でどれだけ継続的にその企業の情報に触れていたか?だと考えています。
いわゆる「単純接触効果」の考え方です。
特に他の企業と比べて明らかな差別化イメージがない場合には、一つのブランドイメージを事前に決めて資源を集中投下するよりも、候補者との接触回数を増やすことに力を割くべきであると考えています。
この考えのもと、今年のモバイルエンジニア採用では、他の企業さんと一緒にTechイベントをおこない、1年で6回 (2ヶ月に1回) のイベントを実施しました。イベント以外にもカンファレンスの登壇に2名、Techブログはほぼ全員が記事を書いてくれました。
また、モバイル以外に広げると、STORES プロダクトブログ (Techブログ) はここ2年で記事数が4倍になっていたり、CTOがPodcastを始めたり と着実に発信量が増えています。
PR効果としてどこまで多くの人にリーチできたかは計測できていませんが、
カジュアル面談の場で、STORES を知ったきっかけを伺うと、上記の活動を上げてくれることが増えています。
量を作るための活動
ここまで広報活動において、継続的な発信とタッチポイントを増やすことを意識していることを書きました。つまり質より量を重視しているということですが、ではその量を作るにはどうすればいいの?というのが次のポイントです。
正直、これについては何か特効薬はないと思っていますが、ひとつ今年意識したことに「発信の機会と範囲のバリエーションを増やす」があります。
具体的には、今年の2月から社内向けのLT大会を月イチで開催しています。
なぜ社内LTかというと、外部への発信においてハードルに「発信するほど価値の高い話ができない」とか「知らない大勢の前で話すことへの抵抗」があると思います。STORES 内でもこの手の意見は多かったのですが、一方でチーム内での会話や勉強会は頻度高く行われていたりします。なので「身内に対して発信する機会」を中間ステップとして置き、その延長で外部にも発信してもらうことを目指しました。
そもそも、STORES には現在100人を超えるエンジニアが在籍しており、日々の業務で直接関わらない人もいます。この「社内=身内だけど、詳しくはない人たち」という絶妙な空間が発信のハードルとして良い条件になっていると考えています。
月イチのLT大会は毎回テーマを決めているのですが、ほとんど業務に関わらない話を好きにしてもらっています。最初の2-3回は僕が進行をやりましたが、その後はエンジニアリング室のkwappaさん に押しつけ が引き継いでもらい継続開催できています。
先日今年最後12月のLT大会をやったのですが、すでに1年近く続いていると考えると感慨深い気持ちになりました。
また、一つのマイルストーンとして社内テックカンファレンス "In da STORES" も11月に開催されました。
こういったイベントは、外部発信のためというよりは社内の交流の意図が強いものですが、副次効果として外部発信への予備動作にもなっていると僕は考えています。
まとめ
というわけで、発信活動について意識していることと、具体的な活動について書いてみました。現在の STORES では、より"技術広報"的な意識でkwappaさんとえんじぇるさんが活動を推進してくれています。
組織のサイズであったり、専任としてやってくれるメンバーがいるかどうかなど、条件が違えばそのまま適用できないことも多いと思いますが、採用広報・技術広報に関わっている方の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!