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息子が生まれた日のこと
2024年12月29日(日) AM1:00
49cm、3,245gの赤ちゃんをこの世に産んだ!
満身創痍とはこのこと、よくやった自分。
4月に妊娠がわかってから今日まで、どんどんお腹は大きくなるし毎日何の心配もしなくていいほど元気に胎動があったけど、この目で見るまで、抱っこするまで、本当に人間がお腹にいるのか半信半疑だった。
夫なんてもっとそうだと思う。
「あなたの子よ!」と言われて、どんどんわたしのお腹が大きくなっていって、痛いとかしんどいとか言われても自分には何の変化もない。それでも10ヶ月、色んな話をしながら息子を迎えるイメトレをしてくれた。
人生30年の中で、間違いなく一番のビッグイベントだったから入院真っ只中、ベッドの上から記録を残しておく。
出産レポート
12/28の予定日当日まで、前駆陣痛もおしるしも何もなく、本当に赤ちゃんおるんか?と思い始めたけど、予定日ぴったりにおしるしと陣痛が始まった。
前駆陣痛
12/28
am2:00
予定日になったと思ったらおしるしと前駆陣痛。
そこからは、赤ちゃんに酸素を送るために痛くてもちゃんと息をすることと、絶対に病院に着き次第産みたいので陣痛が6分間隔になるまでは家で耐えることだけを考えて過ごした。
仕事納めの夫も夜更かしていて、いつもみたいに眠くなるまでおしゃべりした。
am7:00
前駆陣痛は20〜30間隔。地味な痛みで眠れないのでオールした。
というかここ最近はろくに寝ていない。重いとか痛いとか産後のお世話の練習ホルモンなどの影響で。臨月あるある。
am9:00
ウンウン呻いてたら夫起床。痛みの間隔でいつも通りおしゃべりする。どうでもいい話ばっかり。
そしたら突然悪寒、冷や汗、動悸、吐き気が襲ってくる。びっくりしたけど多分これは陣痛の前兆だなと何となく思う。
同時にめちゃくちゃ空腹を感じたので、今のうちに飯を食わねばとも思う。
夫にほっともっとにおつかいに行ってもらう。
最後の晩餐、迷わずほか弁のチキン南蛮弁当をチョイス。
動いている方がいいと思って、ご飯を炊いて味噌汁を作る。
味噌は絶対にフンドーキンの合わせ味噌。九州LOVEである。
夫の帰宅と同時にご飯が炊ける。早炊き最高。
夫と一緒にモリモリ食べる。2合のご飯瞬殺。
その後、少しでも寝ておきたいと思って満腹の血糖値スパイクを利用して仮眠を取ろうと思ったけど眠くならない。
そしてどんどん前駆陣痛の間隔が狭くなってくる。とりあえず休むために電気毛布と共にベッドへ。
ウンウン唸りながら耐える。
pm2:00
陣痛の間隔が20〜15分間隔になり始める。
いよいよ陣痛が近い予感。
でも絶対に6〜5分間隔までは家で過ごすと心に決めていたので、このままのペースでいけば夜まで耐えなければと心に誓う。
陣痛は10分切ったら病院に電話してと言われていたけれど、可能な限り家にいる方が絶対にリラックスできるし、初産は長丁場とも聞くから、ほぼ確実に入院できるであろう6〜5分間隔を目標としていた。
pm4:00
陣痛間隔15〜10分になり始める。
もう寝ることを諦めてお風呂に入ってみる。
本陣痛
pm9:00
いよいよ6〜5分間隔になったので病院に電話。
入院の準備をして来てと言われたので、事前に登録しておいた陣痛タクシーを呼ぶ。
夫、何を慌てたのかサンダルで家を出る。
pm10:00
無事入院決定。子宮口3cm。陣痛5分間隔。
『力を抜いて、吸うことより吐くことを意識してね』と言われて全て言う通りにする。座右の銘は「餅は餅屋」
いきみ逃し
pm11:00
4〜3分間隔になった途端に5分間隔の頃の痛みの比ではなくなる。
子の頭が陣痛の痛みと一緒に下がって来てケツ穴を内側から押してくる!
すると当たり前に気張りたくなる!
でもまだ子宮口全開(10cm)じゃないのでいきむと子が産道に挟まって苦しくなる!
だから出てくる子との戦い、これが出産の鬼門・いきみ逃し!
夫が痛みの波と同時にテニスボールで肛門を押し返す。物理的対処法で草w
夫は初めてながら一生懸命空気を読んで頑張っていた、マジありがとう。
構う暇ないから痛いアピールに専念。6年一緒の阿吽の呼吸。
わたしはもう『痛みのピークで脱力して息を吐く』ことが出来なくなってきたので、脱力して息を吐く代わりに「ア"ーーーーーー‼️」と叫ぶことにした。
エネルギー保存の法則について考えた。
このいきみたいという力エネルギーを、音エネルギーにすることが出来るはずと。(知らんけど)
だから痛みのピークでひたすら「ア"ーーーーーー‼️」と叫んでは軽く息を吸う、を繰り返した。
誰に教えられたでもない独自のいきみ逃し。正解かどうかもわからない。でも助産師さんに『すっごい上手です〜!そのまま続けましょう〜!』と言われてマジかよ、と思いながら「ア"ーーーーーー‼️」を繰り返した。
「ア"ーーーーーー‼️」→『上手です〜!』のコールアンドレスポンスに心の中で少し笑ってた。少しだけね。痛すぎるから、マジで。
叫んで褒められるってあんまない経験。てか30で叫ぶとも思ってなかった。
そして内診した助産師さん『わぁ凄い、もう7cmですよ!順調です!』
出産
12/29
am0:00
『すごく順調ですよ。もうね、わたしの予想では子宮口全開だと思います』と言いながら内診され、『うん、やっぱり。もう赤ちゃん降りてきてくれて大丈夫なので、これからはさっきまで頑張って声出してたのを全部お通じする感じにして力んでくださいね』と言われる。
枕にしがみついて横向きだったのを、両脚を上げてお産の姿勢にされる。
でもその姿勢になると赤ちゃんがお腹の方に戻っていってしまったらしく、助産師さんに「一旦横向きに戻って楽な姿勢で好きにいきんでね」みたいなニュアンスのことを言われる。(痛すぎてうろ覚え)
痛みのピークで恐る恐る気張ってみると、ゆっくり赤ちゃんが降りてきて今まで肛門を押してた頭が股にハマってくるのがわかった。
同時にじんわりあったかい何かが出てくる。
破水かと思ったけどこれは出血だったらしい。
でもそれで赤ちゃんは世に出るセッティングになったので再度お産の姿勢に。
今思えばここで一旦横向きにならせてくれた助産師さんたちファインプレーすぎる。やっぱり餅は餅屋。
そこからは「ア"ーーーーーー‼️」ではなく痛みのピークがきたら「、、、(無言で力む)」を繰り返した。
なんなら合間は人生最高レベルのグロテスクなものを見させられている夫の心配をする心の余裕さえあった。
夫には「頭の方にいて股の方を見るな」と言っていたのに、怖い物見たさなのかチラチラ見ていた。見るな言うてるやろ。
合間で「見んといて」というアイコンタクトしたら「あぁ、ごめんよ」みたいなアイコンタクトしてきた。6年一緒の阿吽の呼吸その2。
力むのはうんちの要領で間違いないけど、とんでもないデカさで、まぁ鼻からスイカとよく言うけど、でかい硬い球体という感覚だった。
そんなの出したら股が裂けそう!という恐怖と、こんなに力いっぱい気張ったら肛門が爆発しそう!という恐怖で100%が出せなかった。
でも、助産師さんが『もっと本気でいいよ〜』みたいなことを言うので信じて120%出してみた。だって餅は餅屋だから。
それに、狭い狭い産道でハマって苦しい赤ちゃんのことを考えて早く出してあげないとと思った。
120%出してみたら『そうそうそれです!頭見えてきましたよ〜。もう髪の毛触れます。本当にもうすぐです。あと1〜2回で会えますよ。わたしがもう辞めてくださいと言ったら、いきむのを辞めて全身の力を抜いてくださいね』と言われる。
『先生呼ぼうか〜』と聞こえてすぐにドクターも登場。
『切開してお手伝いしますね〜、まず麻酔です〜』
出たぞ、会陰切開!
麻酔されて、メスかハサミみたいなのでサクッと切られた感覚がわかった。全然痛くない。
でも後に夫に聞いたら「サクッどころじゃなかったで。ジョキジョキジョキジョキ〜!!!やったで」と言っていた。怖すぎ。ほんで見るな言うてるやろうが。
そして最後、これで決めてやるー!と思って120%をしたら、『はい、辞めてください、脱力して〜』と言われる。脱力。
頭が明らかに外界に出ている。でもこの後肩が出てくるんだよね?どうやって?と思っていたら、助産師さんが物理的に引っ張り出してた。
(追記:その後、お産介助をしてくれた助産師さんに聞いてみたら、赤ちゃんは横向きに頭を出してくる際に上側の肩も一緒に出てくるそうです。その後、助産師さんが赤ちゃんの頭を支えて持ち上げると下側の肩もついてきて一緒に出てくるそうです。この一連の作業がわたしの感覚では「引っ張られてる」ように感じたようです!)
夫の方を見たらソワソワしていた。見るな。
ツルツル〜って感じでハマってた全てが取れていって、次の瞬間何も痛くなくなった。終わったと思った。
赤ちゃんはすぐ泣いた。大きい声で泣いてた。
『出ましたよ〜、赤ちゃん見てください〜!』と言われて下を見たら、人間がいた!!!!!!!
マジで痛かったしどう考えてもわたしから今この瞬間出たけど、それでも信じられん、人間が出てきた。
サイズ感おかしい。出たんかよほんまに。それくらい大きく感じた。
赤ちゃんの泣き声を聞きながら少しウルっときた。
夫は「ありがとう、がんばったな」と言ってくれた。
後処置
その後は夫と赤ちゃんは一旦退出し、わたしは胎盤を出して股の怪我を縫われたんだが、それがあまりに地獄すぎた。
胎盤はお腹をグイグイ押して出される。なんか勝手に自然に出てくるのを待つもんだと思ってたから想定外の事態。
容赦なく腹をグイグイ押されること15分、胎盤がにゅるっと出た。同時に液体がジャーっと出た。これが血液で、人よりめっちゃ多かったみたい。
止血処置をされる。めちゃくちゃ痛い。グイグイ押したりなんかガーゼみたいなの突っ込まれたりとにかくてんやわんや。
会陰の縫合も合わせて30分以上かかった。
なんか四方八方に縫われてる気がするし先生に「傷ヤバいですか?」と聞いたら『初産の方にしては少ない方だと思いますよ』と言われた。ほんま?信じるからな!
『出血が500ml超えると多いなというレベルなんですが、お産の進みが早かったこともあって1Lくらい出血があります。子宮を収縮させる点滴をしますね』と言われる。どうぞどうぞ。医療の力を信じています。
その後夫が戻ってきて、赤ちゃんと2時間一緒に過ごした。
産まれたての赤ちゃんはむくんでて目が閉じてて赤くて小さくてあったかかった。
何かずっと泣いてた。一生懸命泣いてた。
初めての重力、明るい光、空気、全部の刺激が怖いよね。何ここって感じだろうね。
産まれてきてくれてありがとうね、本当に。
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その後
入院から出産まで3時間というハイスピードだったのでこれは安産の部類に入るらしい。
でも出血が1リットルあったし、普通にどこもかしこも痛いので、安産なんてものはこの世にないと思いました。
あと、産後のおしっこマジで怖いんですが、Xで見た通りとにかく明るい安村のポーズでやれば大丈夫だった。
これから出産される皆さん。
— ちで☺︎1y🎀+🥚16w (@chidechide0506) November 17, 2024
特に初めての出産の方は、多くの方が会陰切開をされることでしょう。麻酔が切れてからの排泄(小)は激痛です。
そんな時はこの「とにかく明るい安村ポーズ」で用を足すのです。傷に当たらず被害を最小限にできます。一人目の時に同時期出産の友人と編み出しました。何卒。 pic.twitter.com/xWx3vIBPE9
バースプラン「痔を恐れてるので赤ちゃんの命の次に肛門を守ってほしい」と書いたほど肛門のQOL保持にプライオリティを置いていたわたし、見事にお尻は守られました。助産師さん、赤ちゃん、全ての神様ありがとうございます。
神経質で睡眠の浅いわたしなので入院部屋は個室を選んだ。
総合病院で2.5万/日、高すぎる。いくら何でも高いわ。
でも「全然いいよ」と言ってくれた夫に感謝。
ご飯が3食とおやつが出るんだけど毎回美味しくて楽しみ。
インフルの影響で面会時間に制限があってめちゃくちゃ暇なのと、大晦日も正月も入院で悲しいけど、赤ちゃんと一緒に過ごせて楽しいがちょい勝ってる。
インフル大流行のため窓越し面会なんだけど、その時間に面会のあるベビーだけ窓の前に並べられる方式で、今日はわたしのところだけだから何か動物園みたいだったww泣いたら助産師さんが来て、あやしてるところをこちらに見せてくれてショーみたいだったwww pic.twitter.com/RCyRHotaSJ
— risaco.|社会人大学生 (@huglogic) December 30, 2024
息子へ。
まだ産んでから2日しか経っていないのが信じられないほど、激動の数時間だった。人生で一番凄い経験だった。でも何とかなった。
ほにゃほにゃの赤ちゃんにミルクをあげるとき、グズグズと泣くので何となくお腹にいたとき呼んでいた名前を呼んでみたらピタリ。と止まって耳を澄ませていた。
お腹の中にいたあの子なんだ、と感動した。
昨日の夜はなかなか寝なくて、えぇ〜どうしよ〜と思っていたら助産師さんが部屋に来てくれて色んな抱っこを教えてくれた。
縦抱きでわたしの胸に赤ちゃんの頭を乗せてゆらゆらすると寝てくれた。
「お母さんの心音を聞くとお腹の中にいた時の感じになって落ち着いてくれるんですよ」と言われた。
うわ〜お母さんになったんだ〜と思った。
きっとわたしの心音が心地よくて寝るなんてたかだか数年のことに違いない。この有限の幸せに溺れて驕ってはいけない。
いつかクソババアと言われても、「そんなん言うけどあんたはわたしの心音で落ち着いてスヤスヤ寝てたんやで」などとは決して言わない親になろう。
これはわたしの大切な思い出だから、息子、君には関係のない話。
君は君の人生を生きるといい。
わたしのことも夫のことも嫌いになってくれていい。
自分の人生の選択に責任を持って、納得のいく生き方をしてほしい。
ひとつだけ望むなら、人生の選択に迷ったときは、わたしと夫がいることを忘れないでほしい。
人は考える葦である。たかが葦、されど葦。考えて悩んで前に進む知性を持ち合わせている限り人生は進む。
わたしと夫には秀でたものは何もないが、誰よりも考える葦だった。ここまでわたしたちが考えてきた全てのことを教えてあげる準備はできている。
3人の人生を、3人一緒に歩みましょう。