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【あややノート】第11回 HUG for ALLが学習支援をした話②

こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。10月からHUG for ALLは新しくスタッフ組織が立ち上がり、新体制で様々な活動が進み始めています。これからのHUG for ALLの変化・進化に、私自身もワクワクしながら前に進んでいきたいなと思っています。

さて、前回の「あややノート」では、HUG for ALLが「学習支援」に舵を切ったときに行っていた、中学生向けの「テスト前勉強会」についてお話ししました。今回は、同じ時期に小学生向けに行っていた活動についてお話しします。

中学で評定2.5をとるために

まず考えたのは「中学で評定2.5をとれるようになるには、小学生のための学習支援ってなにをやるべき?」ということ。中学からの土台になるのは「積み上がり教科」の算数と、すべての教科の礎となる国語だと考えて、まずはその2教科に絞った学習支援をすることにしました。

算数は個別のプリント学習へ

積み上がり学習である算数は一度躓くと途端にわからなくなってしまいがち。小学生の間にまずは算数の苦手や躓きをなくすことが大事だと考えて、個別アセスメント方式で算数の個別学習ができるようにしました。

定期的に該当学年に合わせたテストを行い、子どもの理解状況をチェックした上で、理解不足の単元をピックアップ。一人ひとりに合わせたオリジナルの学習計画を立てて、個別にプリントを用意して、学習に取り組むスタイルです。

このときのアセスメントや教材は、子どもたちの学習支援のノウハウが豊かなNPO法人Learning  for allさんにご相談してお力を貸していただきました。定期的に支援のご相談にも乗っていただき、本当に心強かったです…!

当時は「算数クエスト」という名前で、プリントに取り組んだらシールを貼れる「パワーアップカード」も複数用意して、子どもたちが「積み重ね」を楽しく可視化できるように意識をしていました。

パワーアップカードは複数用意、シールもいろいろ用意しました!

「算数クエスト」の成果と課題

「算数クエスト」の個別プリント学習を通して「わからなかった通分ができるようになった」「初めて90点台を取れた」など、成果があがった子どももいましたが、目新しさが薄れるにつれて「このプリントはやりたくない」と拒否する子どもの姿が目立つようになりました。

高学年の子が「これならやってもいい」と小1向けの足し算プリントにしか取り組んでくれず、担当HUGメンバーが困惑する場面もありました。今考えると「できないことをやりたくない」「完全にできることならやってもいい」という子どもたちの想いがあったんだろうと思います。

でも、当時は、それでも何とか子どもたちの学習の「苦手」を解消したいと、「がんばってプリントやらない?」と取り組みを促すかかわりをしていました。

HUGメンバーの「プリントをやってもらわなきゃ!」という想いが、子どもたちとHUGメンバーの間に苦しさを生んでしまっていたのかもしれません。

小学生向けの作文+かるた学習

国語の力をつけるためには何が必要なんだろう…?と悩んでいたときに、Learning for Allさんからご紹介いただいたのがこの本でした。

「作文を書くことで、本当に読解力が上がったと思います」という話も伺い、早速学習支援に作文も取り入れてみることに。同時に、子どもたちが楽しく語彙を増やせるようにと、かるたも導入しました。

かるたはうまく使いこなすにはちょっとコツがいるかなと思います。子どもたちは「勝ち」にこだわってしまって、言葉の意味を理解したり、絵札の情景をイメージするよりも、「早く取る」だけの競争になりがちでした。それでも、「これってどんな場面だっけ?」「これってどういう意味?」などと語りかけることで、言葉の力を高める工夫もできたかなと思います。

一方、作文は思った以上に子どもたちも積極的に取り組んでくれました。一応複数のお題はあるものの、自由に何でも書いていいというルールで、大人も子どももいっしょに作文を書いて、お互いに読みあうという方式です。子どもだけじゃなくて大人もいっしょに書くことで、大人の知っている言葉や文章を子どもたちに伝えることもできました。

作文の効果

作文に何度も取り組むうちに、言葉の力も文章力も上がってきたことを感じました。一つ一つの文章を簡潔に書けるようになったり、事実だけではなくて想いを書けるようになったり、わかりやすく伝える工夫ができる子どもも増えました。

でも、実はこの「作文」には思わぬ副次的な効果もあったんです!それは「子どもたちの個性や考えがわかる」ということです。

キツネを主人公にした物語を作る子がいたり、読書感想文を意外な切り口で書く子がいたり、朝起きてから夜寝るまでの行動をひたすら書く子がいたり、何度も蚊に転生を繰りかえす物語を書く子がいたりと、作文の内容は本当に様々。

私たちHUGメンバーだけでなく、施設職員の方々からも「こんなこと考えてるんですね」「こんなふうに表現できるんですね」などの声をいただき、「作文で”意外なその子の一面”を発見することができるんだ!」と感じました。

+αの「体験型ワークショップ」

小学生のプログラムも、中学生のプログラムも、それなりに成果はあったので、2018年・2019年はこの形をベースにした学習支援を続けていました。また、この「評定2.5」を目指す学習支援とは別に「好きや得意を見つけるための体験型ワークショップ」も実施していました。

ホバークラフトをつくる理科実験、子どもそれぞれの感性を生かすハーバリウム、ドローンを飛ばすプログラミング、移動水族館を呼んでのミニ水族館、小さなパスタやラーメンをつくるミニチュアフード、思い切り体を動かす運動の会など、いろんなワークショップを通して、「学習」からは見えない子どもたちの強みや興味を探ってきました。

実はこの当時にやっていたワークショップは、今の中高生たちの進路支援にすごく役に立っています。

「●●は色味のセンスがすばらしいからカラーコーディネーターとかもあり?」「▲▲はすごく丁寧に魚を観察して絵を描いているから研究職とかいいかも」など、子どもたちのちょっとした様子をもとに、未来への提案ができることを、ワークショップから4~5年経った今、改めて実感しています。

ちなみに当時から開催しているこの「体験型ワークショップ」が、今の「あそびクエスト」のもとになっています!

改めて振り返ってみて

ここまで、3回に分けて、2016年~2019年くらいの活動について振り返ってみました。

活動開始からこれまでの間、それぞれの時期に、そこにいる子どもたちにベストだと思ったことを、とにかく取り組み続けてきたんだなと実感します。また、いろいろと形を変えながらも、根っこにある思いは変わらないなということも感じています。

子どもたちに寄り添い続ける私たちの活動は、きっとこうやって進化を続けていくのだと思います。引き続き、見守っていただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします。

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