【あややノート】第5回 "はたちクエスト"で実現したいこと
こんにちは。HUG for ALL代表の村上です。
あややノート第5回目のテーマは「”はたちクエスト”で実現したいこと」。2022年度からHUG for ALLが本格的に実施を始める、中高生・退所者向けのプログラム「はたちクエスト」。このプログラムについて、今回はお話したいと思います。
はたちクエストとは
「はたちクエスト」は、子どもたちを社会に迎え入れるために、これからの社会を生きるために必要な知識や考え方を、子どもたちとクエストフレンド(=担当HUGメンバー)が、いっしょにまなんでいくプログラムです。
中学生から退所後25歳くらいまでを対象に、学校では教科として勉強することはないけれど、生きていくために大切なことを、ゲームや対話などの疑似体験を通して、考えながら学んでいきます。
目指しているのは「知識の定着」ではなくて「自分で考える力を育むこと」と「困ったときには他人を頼れること」。
施設の中にいる中高生のうちは、子どもたちが自分自身の未来のことを考える機会を作り、いっしょに未来に備えていく。子どもたちが施設を退所したあとは、いろんな「はじめて」をいっしょに体験して、わからないことを一つひとついっしょに乗り越えていく。そんなプログラムにしたいと考えています。
はたちクエストで伝えていきたいこと
社会に出ることを、無闇に脅すわけでもなく、根拠もなく楽観視するわけでもない。私たちがリアルに感じている以下のような価値観を、子どもたちに伝えていきたいと思っています。
「社会にはいいこともあるし、つらいこともある」
「信頼できる人もいるけど、信頼してはいけない人もいる」
「失敗しても何度でもやり直せばいい・やり直すことが大事」
「私たちは自分自身で自分の未来をつくっていくことができる」
「困ったときにはほかの人に頼ることも大事」
「世の中にはいろんな考え方があり、正解も不正解もない」
こういう価値観は「教え込むもの」ではなくて「感じるもの」。子どもたち自身が楽しみながら、上記のようなことを感じる機会を作り、それが一人ひとりの中に経験として積み重なっていくようにしたい。そんなコンセプトで、今プログラムを作っています。
はたちクエストに込めた願い
これから私たちを待っているのは、予測不可能な未来です。過去の経験知だけでは判断しきれない、「正解」がない時代。
そんな中で大切なのは、自分自身の軸をもって、自分で考え、選択していくこと。自分の強みを活かして、生きる道を探していくこと。必要なときにはほかの人の力を借りて、協力し合っていくこと。これからの社会を生きる子どもたちにはそんな力をつけてほしいと思います。
学校の勉強とは違う、これからの生活に必要なまなび。くらしのこと、お金のこと、人間関係のこと、自分のこと。まなびの中で、自分で考える経験や試行錯誤する経験、ほかの人に頼ったり助けてもらう経験をしていくこと。それらを通して、予測不可能な未来の中で生き抜く力と、そこで支えになる大人との信頼関係を育んでいってほしい。それが、「はたちクエスト」に込めた私の願いです。
そして、施設をでたあとも、日々の生活の中で、子どもたちは様々な困難にぶつかることがあると思います。それらのほとんどは、「児童養護施設出身者だから」ではなく、「若者だから」ぶつかるもののはず。私たちがいろんな困難にぶつかってきたのと同じです。
でも、そこで大切になるのが「支える大人」がいるかどうかだと思うのです。困ったとき、悩んだときに、さまざまな知見や人脈を持つ大人に頼ることができれば、それぞれの困難は乗り越えやすくなるはずです。
「はたちクエスト」を通して、子どもたちがいろいろな大人たちと関係を築くことで、一人ひとりを「支える大人」を増やしていきたい。これも、もうひとつの「はたちクエスト」に込めた願いです。
さいごに
今、私たちが一緒に時間を過ごしている子どもたちのうち、一番上の年代が高校2年生になりました。彼ら彼女らが小5のときから、これで6年目の付き合いになります。
月1~2回とはいえ継続的に時間を積み重ねてきたこと。そしてこれからも同じように彼ら彼女らを見守っていきたいと願っていること。それが子どもたちの「生きる力」につながり、「安心できる居場所」のひとつになっていくのではないかと、改めて今、感じています。
子どもたちの人生はまだまだこれから。それを近くで見守り続けられること、必要なタイミングで手を差し伸べられること。
そんな「ちょうどいい距離感」で、彼ら彼女らを支え続けることができるように、HUG for ALLの活動をしっかり続けていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。
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