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【あややノート】第3回 新たに始める”HUG College”

こんにちは、HUG for ALL代表の村上です。
「あややノート(※1)」を読んでいただいてありがとうございます。

(※1)私たちHUG for ALLは全員がニックネームで活動をしています。子どもたちに対して「大人」として接するのではなく、一人の人として正面から向き合いたいという想いを込めて、子どもたちからもニックネームで呼んでもらっています。この「あややノート」では、私個人が「一人の人として」考えていることや思っていることを発信していきたいと思うので、私のニックネームから「あややノート」と名付けました。

第3回目となる今回は、次の日曜日(2022年3月13日)に第1回目を開催する”HUG College”についてです。

この”HUG College”は、HUG for ALLの仲間やサポーターの方だけではなく、広く一般の方々にも参加いただける、無料のオンラインイベントです。コンセプトは「HUG for ALLと参加者のみなさんで、いっしょにまなぶ」。

このコンセプトは、HUG for ALLの広報チームの仲間と話して出てきたものですが、実は、私個人の想いとも強くつながっています。

私は「まなぶ」ということは、これまで自分が見ていなかったものに気付き、世界のとらえ方が変わり、社会とのかかわり方を変えるきっかけになると信じています。それは、私自身の体験からきています。

私が見ていなかったもの

「私が見ていなかったものがある」ということに気が付いたのは2012年4月。Teach for AmericaのWendy Koppさんの来日記念講演で、Teach for Japanの松田悠介さんのお話を聞いたのがきっかけでした。

「日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあると言われています」。壇上の松田さんからその言葉が飛び出したときの衝撃を、私は今も覚えています。

大学では発達心理や臨床心理をまなび、教育関連企業に勤めていて、子どものこと・教育のことは、ある程度わかったつもりになっていました。でも、私が知っていると思っていたのは、”家庭”という安心できる居場所があり、生活のことや身の安全のことを心配することのない子どもたちの世界でした。

7人に1人。40人超のクラスだった小学校時代を思い返すと、確かにクラスに何人か、そのような困りごとを抱えた子がいたように思います。でも、松田さんの話を聞くまで、私は彼らの困りごとについて考えたことがありませんでした。

小学生時代の同級生のこと

小学校の同級生で、Aさんという女の子がいました。粗雑な言動が目立つ彼女は、周りの子たちから少し遠巻きにされていました。

5年生のときのある日。健康診断に行くために廊下に並んでいたとき、Aさんがビニール袋に入れた白いものを私と友人に見せながら「これ、いっしょに食べる?」と声をかけてきたことがあります。「なに、それ?」と聞くと「足の皮。おなかへったときに食べたらおいしいで。」と、その白いものを口に入れていました。

「何であの子、足の皮なんてためてるん?」「変わってるねぇ」
…当時、そんな会話を友人としたことを、おぼろげながら覚えています。

中学に入ってから「Aさんが非行グループに入った」という話と同時に、彼女の家庭環境が厳しいものであることを知りました。

今考えると、Aさんは足の皮を食べたくなるほど、おなかがへることがあったのかもしれません。中学で非行グループに入ったのは、家庭にも学校にも居場所がなく、さみしかったからかもしれません。

そんな事情があるかもしれないとは、当時の私にはまったく想像もつきませんでした。

”HUG College”に込めた想い

小学校のときは、ほかにも数名「家庭での困りごと」を抱えていたかもしれない同級生がいたように思います。

なのに、私は、30歳を過ぎるまで、こんなに身近にあった「子どもの貧困」の問題に気付かなかった。猛烈に恥ずかしいと思いました。そして「この社会課題のために私にできることは何だろう」と本気で考えました。

松田さんの話を聞いたあの瞬間に、世界のとらえ方が変わり、世界へのかかわり方が変わったと、今思い返しても感じます。「新しいことを知る」というのは、そんなパワーがあることなのだと思います。

そして、社会的養護の世界にかかわって、私自身が知らないこと・わかっていないことがいかに多いかに気づきました。子どもたちのこと・職員さんたちのこと・世の中の仕組みや制度のこと…。まだまだ知るべき「新しいこと」があると感じています。

”HUG College”は、この「新しいことをまなびたい」という私たちの想いから、スタートしている企画です。でも、せっかくなら、このまなびをたくさんの人と共有したい。それが、「HUG for ALLと参加者のみなさんで、いっしょにまなぶ」というコンセプトにつながっています。

今回の”HUG College”でまなびたいこと

今回の”HUG College”は記念すべき第1回。私たちが支援している「児童養護施設」について、改めてまなび、考える時間にしたいと思っています。

児童養護施設の職員さんである梛橋雄一さんをゲストにお迎えして、施設でくらしている子どもたちのこと、子どもたちに寄り添い続ける職員さんのこと、それぞれの想いや困りごと、そしてコロナの影響など、ベーシックなところから"今"ならではのテーマまで、熱く語っていただく予定です。

参加される方々とさまざまな「気づき」を共有しながら、いっしょにまなぶことができる時間になることを、私自身もとても楽しみにしています。

HUG College #1「コロナ禍における児童養護施設の現状」
2022年3月13日(日)10時~11時半
▼お申込みはこちらから
https://hug-college-01.peatix.com/

”HUG College”は2022年度以降も定期開催を行う予定です。今後の予定・テーマなどは、決まり次第noteなどでお伝えしていきます。興味のあるテーマの回があれば、ぜひみなさまご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。


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