
2025年3月2日 仙元山
前日に続いて、春の里山登り。今日は一人で登るので朝早くから動いてみる。とは言ってものんびり支度をする。朝は冷えたので、昨日の暑さが幻だったかのように冬に戻った。それでも寒い中支度をする。
登山口を出るときに向かいの山の端からお日様が出てきた。今まで真っ暗だった世界が、一気に明るくなる。薄暗く静かな世界がきらきらと動き出す瞬間である。この瞬間いつも心動かされる。曇りや雨の日はわかりにくいのだけれど、天気がいいと立ち会える。なんだか心が弾んでくる。

まずは山の麓を歩く。ここはニリンソウやカタクリが出ると看板にあるので覗いてみると、ニリンソウもカタクリももう葉っぱが出ていました。とても寒い朝だったけれど、もう春を感じているようで少しずつ緑色が増えている感じがいいですね。
途中セツブンソウが咲いているのも見つけて少し驚く。ここらへんも石灰岩の土壌なのだと理解する。ほんのごく一部だったけれど、これからも咲き続けて欲しいなと願う。カタクリやニリンソウが咲く頃には人が大勢来て大変なのだろうけれど、今は静かに山の麓を歩いていく。

西光寺の付近のカタクリの群落地は葉っぱがちらりほらりと出てきただけだった。ミヤマキケマンやセントウソウの葉っぱも出ていたけれど、花はもうちょっと先のようです。そのまま麓を歩いていくとカタクリとオオムラサキの里に出ます。まだまだ春が始まったばかりなので、冬の景色とそんなには変わりませんが、木々の枝先、少しずつ出ている葉っぱなどが春を感じさせてくれます。
そのまま舗装道路に戻りしばらく歩く。踏切が見えたら踏切を渡らずに、鋭角に左に曲がる。駅から来るときは踏切を渡ってくることになる。登山口に向かう。途中登山口はいくつもあるが、一度展望台のあるローラー滑り台のほうに出るので少し賑やかだ。
この登山口は直接仙元山の山頂に向かうので、静かに登ることができる。初めはなだらかだけれど、少しずつ急になる。途中杉林になり寒かったり、広葉樹ではお日様が当たるあとぽかぽかであたたかい。

ただちょっと雲が多めなので、お日様が拝めないこともある。風もないので静かに静かに登る。落ち葉のかさこそとした音しか聞こえない。いつもなら冷たい風が吹いているけれど、今日は風もない。ただただ静かだ。ときおり遠くで鳥の鳴き声が聞こえるが、姿形までは見えなかった。途中一度舗装された林道に近づくがそのまま仙元山を目指すことにする。
途中平になったりまた急な斜面になったりしながら高度を上げていく。体が温まり上着を一枚脱いで歩く。山では脱ぎ着が頻繁にあるものだと思って欲しい。途中休んだり、また進んだりして登っていく。
もうすぐ山頂付近に百庚申があった。いろいろなところで見るから全国に広まっているのかもしれない。庚申の日は体の中にある虫が、天帝に自分の悪さを報告に行くので、虫が出ないように一晩中起きているそうだ。ただ起きていられるわけもなく、ちょっとお酒が入ったり、賑やかに語ったりするらしい。それをこの山の上で行っていたりするのかなと想像していた。かつてはここ賑わっていたのかもしれない。

そこから頂上へはすぐだが途中立派な東屋があった。そこから軽井沢の浅間山が見える看板があったが、空が霞んでいたので見えなかった。あさま山もせんげん山と読めるので、何かつながりがあるのかもしれないな。そこをすぎると山頂はすぐだった。
山頂は杉林に囲まれており、一か所小川町方面だけ木が刈られていて眺めるようになっていた。ちょっとここでご飯にするのは寂しいのでお隣の青山城山まで行くことにする。そこまで遠くないのでゆっくり歩いてもそんなに時間がかからなかった。

こんな山奥に城を建てて守っていたのだろう。天守閣があるような城ではないが、祖国や人を守るために建てた城があったのだと感慨深い。今は杉林に囲まれた静かな土地だ。ここは日当たりが悪いので日当たりのいいところでご飯にする。ポットに入れたお湯が温かい。のんびり日向ぼっこをしながらご飯をいただく。お日様も暖かい。ちょっとのんびりしすぎたようだ。一度そのまま進み巻道で戻るようにする。
割谷地区の方に下りたいので、気をつけながら下りていく。登った高さを一気に降りていくが、道は分かりやすくそれなりに使われているので迷うことはない。あっという間に林道に降りてきてしまった。
その後少し降りると「下里・青山板碑製作遺跡」があった、少し登ると石が敷き詰められたような場所に出る。ここは石碑に使うような石を掘っていたところだしい。ちょっと青い石碑はここから切り出して関東一円に広まったようだ。なかなかの産地ではないか。またしばらく降りると、湧き水が出ていた。沸騰させてから飲んで欲しいと注意書きはあったが、喉が乾いていたので、そのままいただく。けっこう甘くて美味しい。湧水はやっぱりいいですね。空になったボトルを満たして歩いていく。

少し集落を歩いて過ぎると、川に出てくる。最後川沿いを歩いているとまた心地がいい。麦の小さな芽を見ながらのんびり歩いている。心が空っぽになり澄んでいくのがわかる。橋を渡ってまた右に入ると、下里分校まではすぐそこだ。古い校舎は少しだけ記憶にある。ここは桜も咲くようなので、春は賑やかだろうな。そう思いながら振り返ると、隅に白い梅が咲いていました。ここで今日は終わりです。今日もゆっくりゆったり過ごすことができた山歩でした。
