見出し画像

チームワークあふれる社会を経験した話 (2)

前回のお話はこちら
我々は災害医療支援を行うNPOです。2023年2月のトルコ・シリア地震支援では、サイボウズおよびサイボウズパートナー企業の皆々様に大変お世話になりました。サイボウズ社を中心としたチームワークあふれる社会の中で、大変効率的に支援活動を行うことが出来ました。

今回は、チームワークあふれる社会の一員、株式会社オプロ様のお話です。


kintone導入後の初めての海外支援


2021年の夏、我々のkintone導入が落ち着いてきた頃、新型コロナウイルスの感染収束の兆しはまだ見えず、海外での医療支援活動は制限が課せられていました。しかし、いつか派遣が再開されることを見越して、kintoneの入力訓練などを実施していました。そしてついに、kintoneを使った初めての海外支援の日がやって来ました。

支援活動に必要なWordやExcelの書類は、15種類のkintoneアプリに迅速かつ円滑に移行されました。以前は、これらの書類の入力作業は全て派遣者が現地で行っていました。が、kintoneを使用することで、我々サポートチームが日本から代理入力することもでき、派遣者の負担を減らすことが可能となりました。


インターネット接続が不安定な場合


ただ、現地での作業が必須のアプリが幾つかあります。その一つが、活動の記録をタイムリーに残す「クロノロジーアプリ」です。このアプリでは、活動の写真と簡単な説明をその場で送ってもらいます。これらは、現状の把握や広報活動、公的機関に提出する報告書の作成に必要な情報となります。

なるべくタイムリーに活動記録を残す

電波状況が悪い場合は、kintone導入前に使っていたLINEの使用もOKとします。ただし、LINEはオフラインで記録が出来るのは良いですが送信出来る訳ではないですし、キャプションを忘れる人が多く、広報担当理事が派遣者に問い合わせることも度々ありました。また、LINEでの受信だと、サポートチームが写真を整理する必要があります。バラバラだったツールが、やっとkintone一つにまとまったのに…という想いが、皆の中にありました。


そしてまた、チームワークあふれる企業


派遣チーム第一陣が出発してすぐ、事務局長から連絡がありました。

オプロ様が支援してくださる!

以前からキンボウズさんのブログで注目していたAppsME (帳票DXモバイルエントリー)(以下、AppsME)。災害支援時、これが使えればオフラインでも安心だなと思っていましたが、導入は厳しく、眺めているだけでした。あのオプロ社が?!

事務局長がフォームでオフラインサービスに関して問い合わせたところ、すぐにオプロ代表の里見様の御兄弟から、お電話で直接ご支援のお申し出があったそうです。問い合わせた本人、事務局長もビックリ。


オプロ技術担当者は森園様。AppsMEで出来ること、出来ないことを非常に分かりやすく説明頂きました。例えば元のkintoneアプリがカスタマイズされている場合、AppsMEで使用するために多少の調整が必要となります。私たちのシンプルなアプリは、そのまま移植でき、すぐ使用できると分かりました。基本機能を後押しされたようで嬉しかったです。

打ち合わせでは、共通のkintone繋がりのお名前が多く出て、広くて狭い温かいコミュニティを実感しました。森園様は、難しい場合は設定の手伝いもできます、と技術支援まで申し出てくださり、非常に心強かったです。そんな安心感と、分かりやすい資料があったおかげで、私でも無事にセッティング出来ました。

すでに派遣者はトルコの都市部 (Wi-Fi環境はOK) に到着していたため、急いでAppsMEのアプリのダウンロードと使用方法を伝えました。日本のスマホアプリは海外で使えないものもある中、AppsMEはトルコでのダウンロードは全く問題ありませんでした。

派遣者達はやがて僻地で活動することになりましたが、「電波状況やファイルサイズに応じて様々なアプリケーションを駆使する必要なく、kintoneのクロノロアプリ一本でやっていけることが大変ありがたい」と、報告が届きました。


サイボウズ災害支援チームパートナー企業の想いとは


サイボウズ社は、災害支援ライセンスというものを提供しています。このライセンスは、私たちのような既存のkintoneユーザーには適用されません。そんな我々に、なぜオプロ社は支援の手を差し伸べてくれたのか。そして、そもそもなぜ災害支援パートナーになろうと思ったのか、聞いてみました。

(私個人のnoteに掲載だと言うのに、広報チームの飛鋪様が答えてくれました。オプロ社のこのような丁寧な対応にはいつも恐縮です。)

オプロ代表の里見様は以前からサイボウズの青野社長とは懇意な間柄で、社会貢献に高い関心を持っていたそうです。特に、サイボウズ社の災害支援の取り組みには、全面的に共感していたとのことです。

今回のトルコ地震のような激甚災害においては、様々な観点で素早い判断が必要ですが、オプロ社のどのメンバーが対応したとしても、迅速な判断が下されたことでしょう、とのことでした。有事の団結力は、やはり平時の関係性あってなのだなと思いました。

また、災害支援ライセンスに適用しない私たちにご支援くださったことについては、以下のようにおっしゃいました。

やはり、こういう状況は損得ではなく、困っている人を助けるという気持ちの部分がすべてなのだと思っています。

オプロ社の静かで、熱い想いに感動しました。


派遣者も助けられました


私たちのような小規模な団体では、財政的な制約から多くの人員を派遣することができません。そのため、医療従事者は医療行為だけを行えば良いわけではありません。日中は調査や支援活動に従事し、夜は事務作業や現地機関および日本への報告など、多岐にわたる業務に追われていました。この多忙なスケジュールの中で、派遣者たちは心身ともに疲れ果て、過去には夜中の作業中に鼻血を出してしまった人もいました。実は今回、その方がトルコ支援に参加したのですが、

kintone x AppsMEのクロノロ入力はサクサクと快適に進み、入れるのが楽しくなるほどです。鼻血を出していたのが懐かしく思い出されます。

とのことでした。その後も派遣中に、何度も喜びのコメントが送られてきました。

●写真を送る者にとって大革命です。これまでは一旦パソコンに落とし、数枚を選択し縮小しキャプションをつけ、メール添付するもなかなか行かず、と毎晩苦しんでいたので。
●大変便利なツール。今までのようなe-mailのやりとり無しに入力内容をご覧いただける。何より、入力が格段にやりやすくラクになりました。
●Excel作成から解放された!

kintone x AppsMEという素晴らしいツールのおかげで、私たちのボランティア会員の負担が劇的に軽減され、被災地の方々によりよい支援を提供できました。改めて、サイボウズ、オプロ、そして平時からチーム応援ライセンスを通してご支援くださっている株式会社アーセスの皆々様に深く感謝いたします。また、私自身も個人的に界隈の皆様に多くの励ましの言葉をいただき、支えられたと感じています。

最近、全国各地で地震が相次いでいます。トルコと同様に情報収集を続け、必要な場合は迅速に対応できるようつとめています。被災者の方々により良い医療支援を届けられるよう、全力を尽くしていくことが皆様への恩返しになると思います。これからも精一杯努めて参ります。本当にありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?