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エレキベースのネックの角度調整と弦高について
エレキベースの調整でよく書かれている内容は、調整の基準を弦高にして、ネックの反り調整(トラスロッド調整)とブリッジサドルの高さ調整というものです。
今までは、そんな内容を鵜呑みにしてよく解っていなかった、ネック角(ネック角度、仕込み角、ネックアングルとも呼ばれます)の関係について、図面を書いたりして再確認してみます。。
英語だとBASS NECK TILT AJUSTとか NECK ANGLE AJUSTとかでしょうか。
さて、最新のベースマガジンを手に取ると、それは5弦ベース特集。
この中に、様々なベーシストのベースのセッティングデータが掲載されています。
余談ですが、kindle unlimitedにてベーマガデジタル版は無料で閲覧できるのでオススメ
PCの画面にtab譜を表示して練習など捗ります。
さておき、この号の特集にある各ベースのセッティングを見ると、ネックの順反り具合から各弦高(各弦三箇所も)とかなり具体的に書いてあります。これは嬉しい。
ですが、ネックの反り具合とブリッジのコマ調整では行き着けない数値もあります。どんな調整をしたらできるんやろか、、、
目指すのはこういうセッティングです。
ネック:順反り0.5mm
弦高:”12フレットと最終フレット”で低音弦2mm未満、高音弦は1.5mm程度
この数値で気になったのは、12フレットあたりと最終フレットが同等の弦高というところ。しかも低め。
これを解明すれば、もしかすると、ロータリースラップがやりやすく(最終フレットでの低い弦高)なったり、全域でバズ音鳴らしやすくなったりするかも(全域で低い弦高)?
なんだか、最近のベーシストの音を聞くと、なんでここでバズれるんだろうとか、気になるところがあるのです。
解明にあたり、まずは図面化します。
私が使っているのはフジゲンの5弦ベースなので、各部を採寸します。
ブリッジプレートはかなり厚めの3.2mmのもので、1mm程度ボディに落とし込んであります。ボディとネック終端のレベル差は10mmくらい(ピックガード無しの状態で採寸)。
また、サドルの直径は10mmです。
このベースで弦高を下げつつ、サドルを高めにして弦のテンションを稼ごうとすると、ネック角度が0に近づいて行きます。
これでも音が詰まって弾けない箇所がないのがすごい。
三弦の断面を作図するとこうなりました。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17343551/picture_pc_12863fa2c547a1d8e0bb344ccda688bd.jpg?width=1200)
実寸スケールだと分かりにくいので、横方向だけ1/5にするとこのような図になります。
CADを使わなくても、高さ方向は5倍、横方向は1/5とかで作図すれば、手書きでも十分検討できます。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17343570/picture_pc_638bd7012929a35ee2995ccfc39c8510.jpg?width=1200)
12フレットあたりで3弦の弦高を1.7mmにした場合です。
かなり低めのセッティングですね。でも、最終フレットは弦高が高くなります。ネックがフラットなんだから当たり前。
これでは、ロータリースラップもやりにくく、高音域でバズ音を鳴らすのは至難の業です。
そして、ブリッジのサドル調整クリアランスは2.1mm。
では、このままネックを順反りさせて、12フレットの弦高を同じにするとどのようなセッティングになるのでしょうか。
作図します。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17344014/picture_pc_81ae1fa748e810911e19d888b1a83329.jpg?width=1200)
こうなりました。
特徴は、12フレットから最終フレットにかけての弦高がほぼ同じになります。7フレット付近は逆に弦高がほんの少し高くなりました。
ここで注目なのは、サドルが下がること。サドルはブリッジプレートにくっついているようなレベルです。
こういうベース、ハードオフとかで良く見かけるような気がします。
いろんな雑誌に書いてある通りにネックを少し順反りさせて、弾き易くするために弦高を低くする。
すると、サドルが下がってテンションが稼げないのでボヤけた感じの音になる。もしくは、ブリッジとサドルの種類によっては弦高が下げきれずに高い弦高になる。
最近のベースのブリッジは重めのもの(ブリッジのプレートが厚いタイプ)が付いているものが多く、よりこの傾向が顕著になるのかも?
では、視点を変えて、ここからネック角度の調整も行ってみましょう。
今度は、順反り具合はそのままにして、ネックとボディの間に0.5mmのシムを挟んだ想定で作図しました。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17343829/picture_pc_8f32b42fa260aa5bfbd3022eb92d2af1.jpg?width=1200)
結論から書きますと、バッチリですね。
0.5mm順反りによって各部での弦高が揃い、ネック角度によってサドルの調整幅も確保できました。
ちなみに、なぜ0.5mmかというと、こういう調整シム製品が0.25mm-0.5mmのセットである場合が多いためです。
安心の国産製品ならばこちら。
セットアップしてみると、低音部から高音部まで弦高が揃い、どこでもいい感じにバズが出せます。高音部の弦高が下がったことでの、弾きやすさも良い。各弦のテンション感も両立出来ています。これこれ!目指してたセッティング!
ただ、ボディ面とネック終端のレベル差は+0.7mmとなったため、先日に作ったスラップスロープのようなものと少し段差が付きました。しゃーない。
ともかく、高音エリアの全域が低い弦高になってるのいいぞこれ。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17462648/picture_pc_82135ada1a7b82cf954ea9d50983d497.jpg?width=1200)
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■調整の余談
ネックの順反り具合を0に近付けると、わりかしデッドポイントが減る傾向があるように感じます。その代わり、音はタイトな感じ。
0.5mmくらい順反りさせると、5〜7フレットあたりにお約束のデッドポイントが出るものの、音は柔らかい感じ。
ネック角度の調整は音色には影響が無いように感じますが、低い弦高でもサドルの高さが稼げるため弾きやすさが気持ち良い。
さらに余談で、ペグを重いものから軽いものへ変えると、0.5mm順反りでのデッドポイントが和らぐ感じになったり、音も柔らかい感じに。
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というわけで、より良い感じにセッティングを詰められ、今までできなかったロータリースラップがよりやりやすくなったりしました。高音域でのバズ音も気持ちいい。
とはいえ、この調整は音色の調整とは必ずしも一致するわけではないところが難しいのです。
弾きやすくなったけど、ネックの順反り具合で響き具合が変わるためです。
両立をするならば、反り具合から詰めていき、好みの音色が絞り込めてからネック角を調整、という流れがいいのかもしれないですね。
うーん、奥深い!
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