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初めてのアイスクライミング@ 赤岳鉱泉(2019.03.09-10)

この週末はストリッパーズ登山部2名(私+A君)で、八ヶ岳の赤岳鉱泉へ。
登山する人にとっては有名な大型でサービスが良い山小屋。夏場は温泉もある(冬は凍結のため提供なし)。僕は今回3回目の宿泊で、冬場になると作られるアイスキャンディに初チャレンジ。
ちなみに昨年の9月には嫁・娘と泊まって赤岳登った。

今回の山行の目的

今回の山行でやりたかったことが2つあり、
1) 2月に赤岳でガイドさんに色々教えてもらった雪山テント泊の実践
2) アイスクライミングの体験

雪山シーズン入る前に今年は、
A) 雪山のビバークや雪洞掘るとかの講習を受ける
B) 雪崩対策とかビーコンの使い方的なやつの講習を受ける
C) 厳冬期の雪山でのテント泊を経験する
D) アイスキャンディーとかで氷瀑登るのを経験する
という4つを目標にしていて、
A)は1月の天狗岳モンベル登山講習で不十分だけどまあやった。Bはまだできてないけど、ビーコンも買ったしアドベンチャーズガイズの机上講習を受講して、把握はできたかなという感じ。Cは2月の赤岳登山で教わってと今回実践。Dは今回初めて。
今シーズン、もう1回ぐらいは雪山行けそうだけど、今回のテント泊とアイスキャンディ体験会で、なんとか目標達成できたかなという感じ。

行く前のこと

赤岳鉱泉に作られる人工氷瀑のアイスキャンディーだが、赤岳鉱泉で装備をレンタルとかするとスタッフが最初教えてくれるよ的な話をどっかで聞いたような気がしており、その日行けばなんとかなるつもりでいたら、10日程前に改めて赤岳鉱泉のサイトの情報を確認すると全然違った。
アイスクライミング初心者がいきなりやっていいものではないらしい。(赤岳鉱泉アイスキャンディ使用規定)。
さらにサイトを見ていると、赤岳鉱泉ではシーズン中大体毎週日曜日に、アイスキャンディ体験会が10名限定で行われていて、そちらは初心者も参加できるので、申し込んだ。が、すでに11人の申し込みがあり、我々2人はキャンセル待ちに。
しかも、アイスキャンディー体験会に参加するには小屋泊することが条件で、テント泊だとだめとのこと。私が「やりたかった2つのこと」的に両方クリアするのが厳しくなってきた。

A君と話して、準備もあるし、キャンセル待ちは木曜中まで待ってだめだったら僕はテント泊で(A君は小屋泊したいらしい)硫黄岳・横岳の縦走をするということで準備をすることに。
私は寝袋を所持してない為、レンタルしなければならず、無駄になるかもしれないけど、レンタルの手配だけはしておいた。

そして、3/7の木曜日、半ば諦めていたけど、16時過ぎに赤岳鉱泉の方から電話!!
もちろんキャンセル待ちが回ってきたとのこと。その時、会社にいたのでA君と話をして参加を即答、さらにテント泊したいのだけど、普通の宿泊料金を払うからテント泊させてもらえないかと尋ねたところ大丈夫ですとのことだったので、テント泊もできる。しかも晩御飯・朝御飯も小屋で食べていいし施設も小屋泊と同じように使ってOKとのことで、大喜びで予約をして準備に。(赤岳鉱泉の晩御飯は大体ステーキなのだ!!)

この時はまだ、体験会で一度やればその午後に自分たちだけでアイスクライミングできると思っていて、慌てて私は、新宿の石井スポーツにダイナミックロープを買いに行った。結果できなかったのだが・・(アイスキャンディーの利用にはパーティーの中に最低1人はアイスクライミングに習熟して安全確保をできる人がおり、最低2人はビレイができることが必要。)
Str登山部A君は約3kgある50mロープを無駄に担いで行くことになった。

赤岳鉱泉まで

水曜日に電車予約しようとしたら、スーパーあずさ1号が既に指定席満席。なので、7:30のあずさ3号で席を取り出発。茅野駅からバスで美濃戸口に11時到着。
いつものように北沢を通って赤岳鉱泉へ登って、14:10頃到着。

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↑堰堤広場

雪は先月来た時より、多少増えたような気はするけど、去年より少ないと思う。天気が良くて気温も高くて、ゆっくり登ったのに汗だくになってしまった。

ちなみに、今回もヤマレコアプリが途中でおかしくなった。(記録中で、別のアプリ操作して裏に回った山レコアプリをフロントに戻すと、記録がリセットされ登山開始ボタンが出る画面に戻ってしまうという。最近よくなる)この頼りなさは困る。地図の事前キャッシュもちゃんと効いてるのか、たまに地図でない時あるんだが・・どうなってるんだ。
UIイマイチだけど、geographicaに戻した方がいい気がしている。

テント泊

赤岳鉱泉に到着。
まずはテント張る場所を決めて、ザック置いて「ここは俺の場所だぞー」的な感じで確保。その後、受付で宿泊と翌日のアイスクライミング体験会の手続きをして、テント場に戻って整地作業。今回はまだ誰も入ってなくて雪がモフモフに残っている所にしたので、割と大変。

とりあえずざっくり靴でフミフミしてこんな感じに。

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斜めなのでスノーショベルで掘って、凹んでる方に雪を放り投げてフミフミして固めるを繰り返す。ある程度できたところで、グランドシート出してちゃんとテントを張る場所を決めて、そのエリアを丁寧に平らにして固めていく。納得いったところで、テント設営。

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スノーフライをつけてガイドレイヤーにストックやアイゼンをつけて雪に埋める。夜冷えると固まってきてカッチカッチになるので、ストックなどを深く埋めすぎると出すとき大変。さらに黒いスカート部分に雪を乗っけて風が入らないようにする。これが結構効く。
ちなみに翌日すぐにアイゼンを使う予定の人はアイゼン埋めちゃダメです。木の枝とか何か適当なものを探すこと。

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テント設営完了。出入口のところは腰掛けて座れるように段差にしてある。とりあえず右手にプラスチックテーブルを雪に刺してコーヒーなどを飲めるように。左手のドライサックには溶かして水分にするための雪を詰めておいた。(最終的にテントの中にしまうけど)

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段差があるとこんな感じで一息つける。快適。目の前は赤岳がちらっと顔を出し、アイスキャンディーがどーん!!

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この日はほんと天気がよく暑かった。残雪期ですか?GWですか?ってぐらい。登っている間も汗びっしょり。テント設営してても汗びっしょり。完全に油断してて日焼け止めを塗っていなくて、かなり顔が日焼けしてしまった。

テント設営後にメインの機種変更したばかりの携帯を紛失していることに気づき、気分が落ちるが、改めて考えると設営中に写真撮ってたし、少なくともどっかそこらへんの雪に埋もれてるかテントの中のどっかにあるはずと思って慰める。とはいえ1時間ぐらい周囲探したけど。(結局次の日撤収中にテントの中から見つかった。シートが袋状になっちゃってる箇所があり、そこにはまっていた)

昼飯を食べずにカロリーメイト1本で登ってきたので、猛烈にお腹がすき、15時半ごろ遅めの昼飯。
アルファ米にフリーズドライのボルシチを混ぜてお湯で戻したボルシチ丼。うまい。

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ちなみにテントは、
Finetrackのカミナドーム2。内張にウインターライナーEXPをあらかじめ付け、フライはスノーフライに変えてきた。フットプリント(グラウンドシート)はテントの外と内に2枚。外だけだと大雨とかの時にフットプリント自体に水が溜まって浸水してきたりするけど、さらに内側にひいとけば問題なし。雪でも多少の冷気防止にはなるはず・・ということで持ってきた。

17時から赤岳鉱泉の晩御飯。名物の鉄板ステーキ。

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こんな立派な飯が出る山小屋は赤岳鉱泉ぐらいと思われる。登山始めていきなり赤岳鉱泉に泊まると勘違いしそうだけど、基本的に山小屋ではレトルトのカレーでも食べられたら幸せと思っていた方がいい。

その後、19時過ぎぐらいまで小屋でビール飲みながら、小屋にある漫画や登山雑誌を読みつつ19:30頃テントに戻る。

冬の夜、テントの中。

20:00でも外は3.6℃。星がとても綺麗。テント内は10.6℃。今日は大分暖かい。

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↑雑な状態だが、テント内の様子。右奥のヘルメットの下は登山靴。他が汚れないようにテント内に引いたフットプリントで隠してある。枕周りにコンタクトレンズを入れたファーストエイドや、鼻をかむためのトイレットペーパーやごみ袋などを配置。携帯などの充電用のバッテリーは寒すぎるとあまり効かないので、携帯と一緒に登山靴に突っ込んだ。
テントの壁の黄色いモコモコしてるのは、ウインターライナー。

その後、コーンスープでも飲むかと、お湯を作る。バーナーをつけるとどんどんテント内の温度が上がる。

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上の写真の雪だと、このコーンスープの量にならないので、溶けやすいようにちょっと水足したり、途中で雪をさらに追加したりしている。(雪だけだとなかなか溶けないので水をちょっと追加すると良いらしい)

今回は荷物が重いので、JetBoil本体は持って行かず、JetBoilのall season用のガスカートリッジとSnowpeakのギガパワーストーブ 地 オートを持っていった。JetBoilの方がお湯湧くのは早いけど、軽さも捨てがたくていつも悩む。時間の感覚的には日帰りならJetBoilが良くて、そうでなければギガパワーストーブみたいな軽量タイプがいい気がするが、沸騰までの燃焼時間が3倍ぐらい違って、ってことはガスの消費量も違うわけで、結局、長期の山行の場合JetBoilの方がガス缶のストックも含めて軽くできるのかもしれない。どうなんだろうな。

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20:50頃、結露が凍っている。
この写真を撮った後、一旦眠るが、22時過ぎに尿意で起きてトイレに。割と寒かったのでお湯を作ってポテトポタージュを飲む。
再び寝ようとして、ウトウトしたり、他のテントのいびきがうるさくて起きて耳栓したり、喉が渇いて起きたり、トイレ行ったりなど。熟睡とは言えないが、体を休めると言う意味では十分という感じ。
気温が低くて水分が凍結するせいか、やたらと乾燥していて喉の乾きがひどい。マスクを持っていけば良かった。

今回寝袋は、アルパインダウンハガー800#2をレンタル。2月の厳冬期の行者小屋でのテント泊でもより暖かいアルパインダウンハガー800#1は十分以上だったので、もっと軽いものに。とはいえ、今回は気温が高くて厳冬期でも#2で耐えられるのかよくわからなかったが、まあ今回は問題なかった。

3時頃、ご来光目当ての人たちが行動し始めて、周りが騒がしいので耳栓をしていても起きてしまった。6時から鉱泉の朝飯なのはわかっているが、猛烈にお腹が空いておりアルファ米とフリーズドライの麻婆茄子で麻婆茄子丼を作る。ちょっとアルファ米戻しすぎて朝飯前にはボリューム多過ぎた。
そしてまたちょっと眠った。

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2日目 初めてのアイスクライミング

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6時。赤岳鉱泉で朝ごはん。

食後、テントを撤収。荷物パッケージして、ハーネスつけたりなどアイスクライミングの準備。8:30に赤岳鉱泉の食堂脇に集合でアイスキャンディーの説明開始。レンタルの人はレンタル品を貰い装着。ハーネスやヘルメットの装着具合を講師の人が確認して、アイゼンのサイズ合わせなど。我々は、アイスクライミング用のアイゼンだけレンタル。サイズ合わなかったので、調整をしてもらう。
終わったら外に出てアイゼンを装着し、アイスキャンディーのエリアへ。

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↑アイスクライミング用の縦爪のアイゼン。こちら2本爪だが、1本の方がやりやすいと言う話も・・・

アイスキャンディーのエリアに入って、講師の方から基本的なことの説明。
今回の講師は赤岳鉱泉4代目の柳沢太貴さんともう一人の登山ガイドさんらしき方(お名前聞くの忘れた)。

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今回登るのは、この緑とオレンジのロープの2つのライン。左は途中まで垂壁で、右のほうは段々になっていて右のほうが簡単そうに見えるが、講師曰く、右のほうがやや難しいらしい。とはいえ、基本的にやり方さえわかれば、ハシゴ登れる人であれば登れますとのこと。

ロッククライミングなどの経験がない人もいるので、高さに慣れたり、下降の姿勢を練習したりのため、一登目は3mぐらいまで。

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登ります。

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noteに動画が貼れないので、たいして紹介できないけどこんな感じ。
一登目以外は5,6mまで登って降りての繰り返し。

アイスクライミングの基本的な動きとしては、自分の体から遠くにアイスアックスをぶっ刺す。それを支点にして、両足のアイゼンを氷に刺して体を上げていく。アイスアックスは挿す位置のポイントというか、刺さりやすい・あるいは刺さっても不安定だから危ういとか注意すべきところはあるが、まぁ、アイスキャンディーでは特に難しくはない。
アイゼンの方がうまく刺して確保するのが難しいが、数回やればコツはつかめてきた。

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アイスアックスってこんな形だが、小指で引っかかるようになってるし掴むところがしっかりしている分、ロッククライミングやボルダリングに比べると、握力の消耗は少ない。逆に足は常に前爪だけで立っているのでふくらはぎの消耗は強い。
ただ、総じてアイスキャンディーでなら、地味に体を動かしていけば、ちょっとやれば誰でも登れる感じはしている(オーバーハングなど明らかに難しい場合は別として)。自然の氷瀑とかだともっと難しいのかな。多分登ってる間にチリ雪崩が起きたりするような環境もあるんだろうし。
体を動かすことの難しさより、氷の状態を見極めたりする技術の方が重要なのかなという印象を受けた。

その後調べたら、アイスクライミングの場合、ロッククライミングよりもリードロープで登る時の確保に時間がかかる(アイススクリューをねじ込んだりするのに)ため、それで腕がパンパンになるらしい。アイスアックスで確保して楽をする方法もあるらしいけど。

3時間の体験会で、6本ぐらい登って、最後の1本は上記2本とは別の誰も登ってないルートをやらせてもらえて楽しかった。今シーズンはもうできないけど、来シーズンはアイスクライミングいっぱいやりたい。それまでにロックでリードクライミングをできるようにならなければ。

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↑アイスキャンディーやっている間に現れたハロの写真。中央の飛行機雲が空に影を落としている現象は謎。名前あるのかな、これ。
ちなみにハロはこれから天気が崩れるサインでもあるので、綺麗だけど登山をする人には微妙。

午後も自分たちでアイスキャンディやろうと思っていたけど、ロッククライミングのビレイはできても、体験会だけじゃないちゃんとした経験者がいないとダメですと言われた為、断念して下山することに。(まぁ3時間でそこそこ登れたので、筋肉的には満足。)

12時までの講習の後、赤岳鉱泉で昼ごはん。

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パスタが美味そうだったので、1人で2皿注文。
食べ終わって、パッキング整理をし直す。元々、午後もアイスキャンディする予定だったので、16:20のバスに乗るか、日が沈む直前にバス停着くぐらいまで粘ってタクシー呼ぶかのつもりだったので、その前のバスの時間を調べておらず、改めて確認すると16:20の前は14:45。
そしてその時、13時ちょっと前。準備終わって歩き始められるのは13:00。

雪山じゃないシーズンの標準コースタイムで140分。次のバスに間に合わせるには105分以内に歩かないといけない。それを逃すとさらに95分後だし、我々ならいけるんじゃね?ってことでA君を急かして出発。アイゼンつけて16kgの荷物背負って、走るように下山。

結果、堰堤広場まで45分かかるところを、30分で到着。さらに、汗びしょびしょになりながら頑張って、美濃戸小屋に60分で到着、まだ14時。美濃戸小屋からバス停までは上りでも1時間なので、どうやっても間に合う。ここでちょっと休憩してアイゼンを外し、ラストスパート。結果14:30にバス停到着。90分で赤岳鉱泉から美濃戸口(7km弱)まで降りれた。
その後茅野駅に到着し、特急あずさの切符を取りに行くも直近2本は指定席いっぱい、3本後となると流石に2時間近くあるしキツイので自由席で切符を買い、駅前の蕎麦茶屋へ。前に茅野駅に下山した時も寄ったがこの蕎麦茶屋に謎のプロテインドリンクがあり、とりあえずそれを飲む。そして電車の時間までおつまみ的な物をつまみつつ、酒などを飲み、あずさに乗って帰京。

19時前に渋谷到着。嫁と娘が車で迎えに来てくれたので、家族全員で駒沢の焼肉芝浦へ行って、今回の山行は終了。

登山の楽しみ

登山は
1) 計画を練る、準備する
2) 実際に行動する
3) 振り返り、紀行まとめたり写真見直したり
と3段階の楽しさがある。

実際に登山するのは1・2日だけど、そのための計画や準備になんだかんだ時間をかけていて、その時間が楽しい。GWに行けたらいいなと思っている大峯奥駆道もルートや補給箇所とか調べ始めてたりするし。その山行にチャレンジをする前に下見山行したりとかもあるし。(今シーズン冬に赤岳登りたかったから、夏に2回登ってみたのも下見山行のつもり)

計画立てるのを他の人に任せっぱなしの人もいると思うけど、楽しいからぜひ自分で計画を作ってみたらいいと思う。

そして実際の山行があり、もちろんここでも色々な経験を積めるし、楽しい。が、記憶だけだと儚いもので、放置しておくと消えていまう。

と言うわけで、旅行記をつける。
撮っておいた写真やビデオを見直し、起こったことなどをまとめる。こうして反芻することで、1,2週間ぐらい余裕で乗り切れる。

そして次の計画を練るのだ。

次は4月の頭。個人的には、雪が残っている内にもういっちょ雪山行きたいが、部活的には雪山行くのはA君しかいないので、参加を限定することになり悩ましいところ。とはいえ、季節的なことは仕方ないしなぁ。雪山かな。





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