返事のこないラブレター
人恋しい時、誰かに手紙を書きたくなる。
特定の誰っていうのは、今はいないんだけど。
私は手紙を書くのが好きだ。
どんな話題を書くかはもちろん、どんな便箋にしようか、どの色のペンで書こうか、ワクワクしながら書くのが好きだ。文章だけでなく、イラストを交えたりして、見て楽しいと思えるように書くのがたまらなく楽しい。
小学生の時、遠くに引っ越した友達と文通をしていた。と言っても、ほとんどこっちが一方的に手紙を書いているだけだった。
その頃、学校では遊べるような友達がいなくて
その寂しさからか、手紙を書いては送ることが多かった。
好きな芸能人や、学校のこと、歌詞当てクイズなど色々なことを思いつくままに書いた。相手に伝えたいというよりは、そうすることで自分が満足できるから書いているという感じだったのかもしれない。
でも心のどこかで待ち遠しく思っていたのだろう。
相手からの返事がたとえ忘れた頃に来ても、嬉しくてまたすぐに手紙を書いた。
だが、中高になってくると次第に相手とのズレが生じてきた。普段の暮らしぶりも好きなモノも私と相手では全く違った。相手からの手紙には、優しい言葉だけれど、暗いニュースや否定的な言葉が増えていくのが感じ取れた。
高校卒業時、私は第一志望の大学に合格した。
だけど、相手は大学に落ちた。その時、思った。
私のせいかも。私は自分のレベルに合った大学を選んでいたから、手紙を書く余裕はあった。だけど、相手は違ったんだ。手紙を読むなんて時間をなくしたいくらい必死だったのかも。
それからは、手紙を書くことは一切なかった。
翌年、相手は地元の大学に合格した。ホッとすると同時に寂しくも感じた。もう手紙を書く習慣が相手になくなってしまったことに。その証拠に毎年バースデーメールを送っているが、返事はない。
久しぶりに手紙を書いてみようか。
今ならもっと上手く書けるような気がする。
そしてやってくるだろう、
手紙が来るのが待ち遠しい日々が。