22歳、突如CHAGE and ASKAにはまる
私は就職目前の22歳だ。
卒業を控えた大学4年生の春休み……そう、モラトリアム真っ只中。人生の夏休みとされる大学生活においても、群を抜いて時間を自由に使える期間と言えるだろう。
去年の末に卒業論文を書き上げ、同時に4年間続けた部活動も引退し、2020年の幕開けとともに途轍もなく暇を持て余すようになってしまった訳である。
人間は、暇な時間が急に増えると自分でも予想だにしていなかった方面に趣味が生まれたりするものではないだろうか。私はそれがチャゲアスだった。
1月半ばのあの日の真夜中、横になってもなかなか寝つけず特に目当てもないままYouTubeで動画を漁っていた私は、母の好きなある曲がふと頭によぎり、そのまま検索にかけた。
CHAGE and ASKA『Love Affair』である。
90年代初めの空前の大ヒットを迎える以前から生粋のチャゲアスファンだった母は、よく彼らの曲を歌いながら台所に立ち、晩ご飯の支度をしていた。私が小学生の頃のことだが、十数年経った今でも鮮明にその画を思い出せるほど印象深い記憶の一つである。
そんな母のクッキングソングの中でも頻出のチャゲアスレパートリーは『Love Affair』『HOTEL』『モナリザの背中よりも』。
幼いながらに「"アンモナイトになるまで"って変わった歌詞だなあ」「歌のタイトルにモナリザなんて使っていいんだ」などと思ったのを覚えている。
そのうち『Love Affair』は妙に曲調が気に入り、中学生の頃は嵐やaikoなどのラインナップに加え自分のウォークマンに入れて聴いていた(母の所有しているCDを借りて)。友達とのカラオケで歌ったことも何度かある。
かくして、これまでの22年間がチャゲアスと全く無縁だったかと言われればそうでもないのだが、逆に言えば私とチャゲアスの接点は『Love Affair』をはじめとする母のフェイバリットソングス(の中の3曲)のみであった。
そして、それ以上の興味を持ったこともなかった。
話は戻り、どうして1月のあの夜に『Love Affair』をYouTubeで検索しようと思ったのか、私自身さっぱり覚えていない。とにかく、何となく昔から身近にあったその曲——CD音源でしか聴いたことのなかったその曲のライブ映像を初めて観たのである。
あまりにも衝撃的だった。
彼らのライブパフォーマンスの凄まじさを知り、思わず息を詰めて最初から最後まで魅入ってしまったあの数分の緊張と高揚は忘れられない。
その動画を何度も何度もリピートし、軽く放心状態になりながら同じライブの『HOTEL』を観て、それもまた飽きるほど繰り返し聴き続けているうちに夜が明けた。
それが、CHAGE&ASKAとの本当の出会いとなった。
それからというもの、チャゲアスの動画を調べては聴き入る日々である。毎日のように新しい発見があり楽しくて仕方ない。
音楽性はもちろん彼らの関係性にも魅力を感じるようになってからは、そのペースもより加速している。
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ここで一つ、聴けば聴くほど大好きになっていった『Love Affair』について少し。
一番のBメロがこちら、
そして2番のBメロが以下。
私はこの「手がかり残さずに落ち合おうか」に続く「裏切りなさいDarling」、「夜明けが近づけば恋も変わる」に続く「急いでみようDarling」というコーラスが堪らなく好きだ。
どちらも直前の一文で描かれたストーリーのイメージをより膨らませるセンテンスとしてこれ以上ない効果を発揮していると思う。簡潔ながら濃い。