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~『北緯43度から見た二つの椅子』という演劇作品が出来上がるまでの創作日記~ 作家のひとりごと 第2信
2024/2/10
取り寄せた三好十郎さんの音声資料と、取り寄せたゴッホ・ゴーガン展の資料を聴いて、見る。そして、前日に作った提案書の内容を再確認する。
その上で、気になる点を可能な限り列挙する。
ゴッホ・ゴーガン共に大枠は摑み始めたが、まだ人としての描写・過程・やり取りの描写が弱い印象。
思うにそれは、出来事の列挙に終始していて、それぞれの繋がりが薄く感じるからではないか。頭の中で登場人物が伸び伸びしていない。肝心な感情の機微のきっかけを生かし切れていない。
二人はたまりに堪って決別する。その為には過程をどのように描くかが大切。色んな感情で登場人物が揺さぶられるようにしたい。
終盤に剃刀を持って来たのはあくまで、最後の一押し。ゴッホを精神異常者で済ますのは余りにお粗末だと思う。
人間としてもっと欠点を描いて良いんじゃないだろうか。
三好十郎さんは音声資料の中で、巷で溢れているゴッホの作品を徹底的に批判していた項目を見つけた。
どの点を具体的にどのように言っているのか、もっと理解と吟味が必要だ。まだまだわかっていないことが多い。
ゴッホ・ゴーガン展のパンフレットの中で、ゴーガンがテオに送った手紙を、それぞれ断片的に描く試みが成されていた。面白いと思った。資料としてもとても読みやすい、感謝。
劇中で手紙のシーンを扱う場合、追加される情報はあっても、ストーリーラインの進行はない。
これは長くし過ぎると危険だ。sceneが停滞する危険性がある。が、安易な編集は書き手の肝心な部分を損ないかねない。慎重に吟味すべし。
手紙は、出来る限り寄り縋った言葉で。もしかしたら、二つの手紙を繋げるようなことがあっても良いかもしれない。
冒頭は間に何かゴーガンの台詞を挟んだり、情景描写を挟んだりしてみるか検討。そうするとsceneとの間の印象が変わる。
南フランスアルルの、いや、フランス全土の地理について理解が必要だ。今回の資料で出来る限り具体的にする必要がある。
そして、もっと日本との接点を捜してみよう。雪と浮世絵だけじゃ物足りない。食べ物はどうか?本で見たら、馬鈴薯が有名らしい。
三好十郎さんの音声資料の中でゴッホの3本柱についての説明があった。
1 想像的な性格
2 貧困の画家
3 キリスト的な心理
1 想像的な性格について
走っているか、倒れているかの二択。
刻々に火が燃えているような。
美と真実の感じ。
2 貧困の画家
ゴッホは、特権階級や一部の富裕層に向けて作っていない。貧乏の中に生まれ、貧乏の中で作品を作っている。
3 キリスト的な心理
一番摑むのに困難な点。理論や観念の粋を抜けたキリスト教的実態を摑む必要があり、ゴッホの観念に大きく根付いている。
キリスト的な心理は行き過ぎると、難しいことになりそうだ。共感出来る、炭鉱町での正教団体との一悶着のエピソードやレ・ミゼラブルの司祭とのエピソードが生かされるか検討。
椅子が気がかり。集めるのが大変そう。誰か持ってる人いないかな。
音楽はどうだろう。向こうの音楽。これは少し調べた結果を羅列することにする。
アルルの女という音楽を聴いた。素敵な音楽だ。ただ、クラシックだと壮大過ぎる。格式高い感じもする。当時の二人はあくまで庶民だ。庶民的な町の空気が伝わる音楽にしたい。
どちらにしてもまだ町について理解不足。前に流行った音楽リストが役に立つか。
一つ思いついたのは、キリスト教的な心理を音楽に載せて表現すること。近くにある教会から聞こえるといった感じで。キリスト教の主たる考えは、「与えること。」
クリスマスは賛美歌が近くの協会から聞こえる。あとは、ドビュッシーのカンタータ《放蕩息子》とか?
二人の行動はどうだろう。もっと日常な感じがあって良いような気がする。日常生活についてのデッサンをもう少しする。24時間ずっと絵を描いていた訳じゃない。話ながらキャンバスづくりをやるとか。色の調合をやるとか。馬鈴薯の皮むきやってるとか。
画家としての顔と、日常の様子が交錯する感じを模索してみよう。
ゴッホの描くひまわりには、影がない。
理由は浮世絵の影響?
西洋絵画は基本、影がある。
それ自体、西洋の人から見たら、過去に例がない凄いこと。
日本絵画の造形の噛み砕きが成せる業。
江戸の日本は脳化文化。
戦国時代は身体の文化。
脳化は、頭で考えて、これはいる、これはいらないと考える。
今日知った情報。
ゴッホの黄色について。
ゴッホで好んで使っていたのは、黄色の中でもクロムイエローという彩度の高い色。
これはクロム酸という有害物質が入っていて現在は販売中止。
この色を作ろうとしてたという下りがあって良いかもしれない。。
あと絵の具や油を食べてたらしい。
なんで?
キャッチコピー候補。
私は一体、何の役に立っているのか