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~『北緯43度から見た二つの椅子』という演劇作品が出来上がるまでの創作日記~ 作家のひとりごと 第5信
2024/2/17
完全に金欠に陥り、参っている。 給料日まであと2日なのに、明日の予定がなくなりそうだ。
そんな中、ゴーガンの手紙についての本が届いた。それらが届き次第すぐに読んだ。特にアルル滞在中の手紙を中心によんだ。
アルル滞在中のゴーガンが描いた手紙はかなり少なく、それは妻とベルナールへ向けたものだった。
ここで、自分が持つゴーガンに対する認識について整理しておく。
手紙を見るに、増長されてる印象を持ったのは、文言の節々に感じられる上から目線、そして、世間への怒りだった。
友人ベルナールとのやり取りで、「ゴッホには言うな」という秘め事の項目に興味を持った。
内容は、他者の作品を批評するゴッホに対して、ゴーギャンは良く思わず、「あいつには言うな」という前置きの上で、ベルナールに対してゴッホについて話すものだった。
画家仲間の中で内々に話されていることもあるだろう。これは画商をやっていたゴッホの弟テオとて例外ではない。
秘め事というのは、人物同士のやり取りに変化を与えられる、何か良いアクセントになるかもしれない。盛り込むかどうか吟味してみよう。
それにしても、ゴーガンの妻はゴーガンへ返信をほとんど書いていない。
なので、ゴーガンが書いた文言には「子供の様子を教えて欲しい、君には、子供が傍にいる。俺は孤独だ」というのがあった。
形としての家族はありながら、物理的に会えない、疎遠ということへの孤独がゴーガンの中にあった。
それらは現状を悲しく思いつつも、同時に家族と一緒にアトリエのある家に住める日を夢見ているゴーガンの姿とも感じられる。
事実、資料の中で、亡くなる寸前の晩年のゴーギャンは「世間からも評価され、もうすぐ一緒に暮らせる」と今後の明るい展望を家族宛の手紙に書いていた。
ゴッホとゴーガンは家族との接点と関係という点で見ると、どちらが孤独なのか比較するに難しい。