(番外編)逃げて責められるのは人間だけ
いつもありがとうございます!寺西です。ちょっと書きたいことがあったので、ぜひ、前回コラム「成長という名の苦しみ」と共にお読みください。
岸本さんの体調が芳しくないため、来週以降、関係者の持ち回りでそれぞれの視点から見た5分deおうちごはんをお送りする予定です。
今回は少し視点を変え「逃げて責められるのは人間だけ」というテーマで書かせてください。
1.野生界における逃亡は正常
突然ですが、野生動物って言われて何が思い浮かびますか?ライオン、シマウマ、ゾウ、チーター、カモシカ、ゴリラとか?…昔はよく動物番組をみて、号泣したものです。
動物番組にもよくあるワンシーンですが、野生動物は、自分よりも強い相手と認識した瞬間、迷わず「逃亡」を選択します。これ、当たり前のことで野生動物の世界には、「怪我を治療してくれる医者」も「24時間空いている病院」も「安全な家」も存在しません。
つまり動物はむやみに戦うと、そこで命が尽きてしまったり、傷が原因でさまざまな野生動物に狙われることになります。
DNAに組み込まれている生存本能。正常な判断・行動といえます。
2.人間界における逃亡は無責任?
しかし人間の世界はどうでしょう?
逃げると「無責任」だと責められること多いですよね。
「周囲の迷惑を考えろ!」とか
「逃げ癖がつく!」とか
「歯を食いしばって!」とか
でもこれ本当に正しいのでしょうか?
もちろん、どんなことからも逃げてたら、いつまで経っても前に進めないので、考えものですが…。
「命を削ってまで」、「病に倒れるまで」、「心を暗くしてまで」やるべきことってあるのでしょうか?
3.誰のための人生?
そもそも、誰のための人生?
もちろん、「あなたのための人生」です。
全ての選択は「自由なはず」。
なのに、我々の周囲では逃げる=「悪」として
さも偉そうに語られることが多くあります。
しかしこれは狭い論点での話し。「社会人として」、「正社員として」、「役割をもっている立場として」の場合です。
視点・視座を上げ、「あなたのための人生」を論点にした場合、「逃亡」の意味も大きく変わります。
「人生」をよりよくするためには、「健康」が最重要。つまり、「逃亡」しない方があなたの人生にとっては「悪」となります。
私はこんな考えです。「健康」に勝るものはありません。
4.30歳の逃亡-失敗体験-
かく言う私も30歳の頃、急に会社に行けなくなったことがあります。3ヶ月間家から出られませんでした。
原因は周囲の期待と自身の実力とのGAPでした。何とか期待に応えようとして頑張りましたが、心がついて行きませんでした。
後から気づいたのですが、周囲の期待なんて、幻想だったんです。勝手に期待されていると思い込み、自身でハードルを上げてました。
追い込んでいたのは、私自身だったのです。今だから、大っぴらにお話し出来ますが、当時は苦しくて思い返すこともできませんでした。
皆さまは、電車内で誰かのこと凝視したことありますか?私はありません。でも、当時は誰かが自分を見ていると感じる。いわゆる自意識過剰状態でした。
しかし、その苦い経験もあり、出来ない自分を受け入れてからは、等身大でいられるようになりました。多分、30歳の逃亡がなければ、こうはなっていなかったと思います。
当時の関係者の皆さんには大変ご迷惑をお掛けいたしましたが、得るものは大きく現在の人格形成にも影響を与えております。
5.「逃げた」という罪悪感は間違っている
皆さまにお願いです。
周囲の誰かが、急に「会社に来なくなったり」、「会社を辞めたり」、「会社を休んだり」しても責めないでください。
わかります。
残された側は、大変です。苛立ちます。ムカつきます。罵りたくなります。愚痴の一つも言いたくなります。
しかし、その方は「ご自身の人生」、「自分の大切な方の人生」を守ろうとしただけです。DNAに組み込まれている正しき生存本能です。
そして、誰しも大切な人生を守るためにいつ「逃亡」を選ぶか…わかりません。
6.あなたにしかできないことがある
逃げたと罪悪感を抱いている方へ
あなたは勇気ある人です。悪しき文化に囚われることなく「あなたのための人生」を考えた正しい判断です。だから、決して自らを責めないでください。
あなたにしかできないことがあります。
もし、周囲に同じ人がいた時、「あなたは悪くない」と励まし、自身の経験を話してあげてください。その方は、とてもとても救われるはずです。
経験者の言葉は有識者のそれより、真っすぐそして優しく心に響くものです。
「悪」と「正義」は表裏一体。見え方は十人十色。法律で裁かれない「悪」は全て主観です。「正義」もしかり。
戦争という悲劇が完全なる「悪」も「正義」も存在しないことを物語っています。
「常識という名の鎖」にどうか囚われないでください。
7.野生動物が命を懸けるとき
野生動物でも唯一逃げないことがあるそうです。
それは親が子を守るとき。
この時だけは、命を懸けて、戦うそうです。
親の愛情はどこまでも深いもの。
愛情を受けて育ってきた我々は、恩返しとして「人生を謳歌する」義務があります。
だからこそ、「健康第一」であなたを、あなたの大切な人を全力で愛してください。守ってください。
逃げることは勇気ある行動
罪悪感を抱く必要はありません
誇ってください
後日談ですが、私は今、30歳の頃、逃亡した会社で働いております。なぜ、こうなったかはまたの機会にお話ししたいと思いますが、人生なにが起こるかわかりません。縁があればまた会えます。
稚拙な文章が少しでも皆さまの「苦しみ」、「恐れ」、「不安」の支えになれば幸いでございます。
寺西洋喜