Bokeh#3(4.シャッターについて)
1.はじめに
2.カメラのパラメータについて
3.ボケについて
4.シャッターについて
シャッターは、レンズから光を取込む量を取り込む時間を変えることでコントロールする。
これによって、絞り値の変更で代替え不可能な、雨や車など移動する被写体の動きを止めたり、ブレさせたりすることができる。方式によって、様々な形態があるが、大きく分けると下記の3種類に分けることができる。方式によって、長所や短所があるが、最近の技術の進歩とともに、欠点は克服され、複数のシャッターを組み合わせることで、様々な限界を打破しつつある。
(1)フォーカルプレーンシャッター
撮像素子の直前(フィルムカメラなら、フィルムの直前)にある、2枚のシャッター幕(先幕:さき まく、後幕:あとまく)を動かし、開いている時間によって撮像素子への感光時間を調整する。
幕というより、日本人には襖の方が合う気がする。下図に1/100秒間を8コマに分けて (①1/800から⑧8/800までの8コマ)シャッターの挙動と撮像素子の露光時間を書いた。
(2)レンズシャッター
その名のとおり、レンズ側にシャッターがついており撮像素子までの距離があるため、全開していない状態でも撮像素子に等しく露光される。このため、フォーカルプレーンシャッターのようなストロボシンクロ同調速度の制限がなく、画面の両端で露出時刻が異なるという欠点がない。
(3)電子シャッター
デジカメが撮像素子でとらえた光信号を数値化する時、光信号をとらえる時間を、電子的に決めることでシャッターと同じ機能を実現する。
①ローリングシャッター
撮像素子に、順次取り込みしかできないCMOSを使用すると、下写真のようなローリングシャッター現象(携帯で電車から撮影した時によく現れる)が発生する。
これらの仕組みやパラメータは、フラッシュ撮影で意味を待つ。具体的に同調速度を超えた場合、下記のような写真になる。
②グローバルシャッター
RX10で残念と書いてから5年、ついにグローバルシャッターのカメラがSONYから発表になった。
ローリングシャッターが、撮像素子から随時読み込み(例えば左上から右下に随時にデータを読み込む)に対して、グローバルシャッターでは、撮像素子から一括読み込みを可能としている
(4)フリッカー
シャッター速度を決めるときに、もう一つ気を付けないといけないのは、フリッカーだ。フリッカーは、蛍光灯など明滅する光源で撮影する場合に発生する。 明滅の原因は、単純に交流電源に由来する。
このため東日本では1/100、西日本では1/120より、高速なシャッター速度で写真を撮ると、蛍光灯が点灯しているときに写真が撮れる場合と、蛍光灯が消灯してる場合に写真が撮れる場合があり、どうなるかは、運次第になる。これを抑止するためには、1/50より遅いシャッター速度の設定が必要だが、手振れの恐れも増える。このため、最近のカメラにはフリッカーレス機能があり、撮り比べてみると、確かに効果がある。
ちなみに、写真スタジオなどでは、インバータを使用し、周波数を1000倍程度に拡大することで、フリッカーが発生することは稀になってきているが、たまにフリッカーの発生する蛍光灯を使用していることが、あるので注意が必要。同じ交流電源でも、白熱球では発生しない。
蛍光灯は、交流電源の周波数によって、明滅の間隔が決まっているため、シャッター速度やフリッカーレス機能が有効だが、厄介なのが、最近増えてきたLED照明だ。
LEDは原理的に、明るさを変更できないため、電気的に点滅の間隔を変更し、明るさを変更しているものがある。これは、意識して撮った写真を確認していかないと、失敗する。
ちなみに、このフリッカー現象は、フォーカルプレーンシャッターを利用したカメラのみ発生する。