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制約の中の自由

ネット業界20年の父と、工作やもの作りが大好きな小学生の娘のマイクラ体験記です。

第1回緊急事態宣言

2020年3月13日第1回目の緊急事態宣言発令。これと共に3ヶ月にもおよぶ一斉休校が始まった。友達と会えず、外出できなければ、生活リズムも乱れ、ストレスもたまる。この時ほど小学校の尊さを痛感した時期はなかった。

そんな中、あつ森にハマっているのを見て、マイクラをすすめてみた。これが我が家のマイクラとの出会いだった。

砂場、積み木、LEGOの世界の中に入れる


工作など作ることが大好きな娘は最初からクリエイティブ一択。制約だらけの自粛時間がマイクラにより熱中しまくれる時間に変わっていった。

マイクラはサンドボックスと呼ばれる。子供のころに砂場や積み木、LEGOでで遊んだ経験を思い出して欲しい。端から見ればリアリティは全くない。しかし、作ってる本人の頭の中では、そこにリアルな世界がある。さらに、その世界の中に入っていって自由に遊べるのだ。これがマイクラの魅力の1つだろう。

トーテムポールを作ってみたり、

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パンダがいっぱいいるパンダランドをつくったり

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雪山の上の大別荘を作ってみたり。

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間違えて水が溢れてしまったので水の都市にしてみたり、

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マイクラの底抜けの自由度に娘はハマっていった。しかし、これはマイクラの魅力の一部。マイクラはただのゲームにあらず「デジタルの全てがここにある」と言えるほど深いのだ。

プログラミングと言う名の重機

娘はSwitchで、父はパソコンでプレイ。難しいこと担当は父。コマンドから入り、Pythonでコードが書けるMakeCodeも使い出した。Microsoftが出しているプログラミング教育用のツールで、マイクラをベースにプログラミングが学べる優れものだ。

父がコードで深い穴を彫り、そこを娘が美術館にしてみたり、

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同じ穴を図書館にしてみたり、

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コマンドを間違えて、盛大に削れてしまった…山のふもとをパンダの隠れ家的スペースにしてみたり、

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プログラムという名の重機を駆使しする土建業の父、建築&インテリア・デザインの娘という役割が定着していったのがこの頃。物件の数が増えて把握しきれなくなったので、NoCodeツールを使って物件の地図リストも作った。テレポートコマンド付きだ。

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かくして、父もハマっていった。

無限の拡張性が生みだす生態圏

1年がすぎた2021年5月。GWの行動制限が決定した。GWに計画していた子供達のバーベキューも中止に。2年連続、3波明けてすぐの4波。毎年楽しみにしていたGWのワークショップは今年も中止になりそうだ。娘の「えぇ〜また〜!」という声が聞こえる。

一発奮起しマイクラのワークショップをしようと思いたつ。オリジナルMobと巨大な家を作る内容だ。話題のAIも導入してみた。

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キャラの色を変えたり、人力では作るのが辛い巨大建築物を作った。普通のプレイが人力の作る喜びだとすると、これらの楽しみは世界を創造する神視点の作る喜びだ。

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このワークショップの鍵はJAVA版だ。統合版から入った我が家では「格段に自由、しかし難しい。プロ用マイクラ」と呼んでいた。

このJAVA版こそが、原始にして頂点なのだと思う。

ゲームというより、生態圏。ゲームの拡張性がオープンソースの力を追い風に実に多様な生態圏を作りだしている。

キャラクターの見た目、オリジナルキャラの追加、ゲーム内ミニゲーム。建築やモデリングを便利にする周辺ツール。さらに、プログラミング言語JAVAを使えば、かなり深い所までゲームを改造できる。いやゲームというより創造主視点で世界を創造できると言った方が良いかもしれない。

そう、世界を創造できるのだ。

制約の中の自由

マイクラは制約の塊だ。

マイクラには、ブロックしかない。しかし、シンプルがゆえの広がりがある。

マイクラには、便利な道具がない。しかし、多様な素材があり、応用した多様な使い方が生まれた。

マイクラは、不足だらけだ。しかし、拡張性がある。コミュニティが多様な拡張をさせた。

マイクラには、大きな目的がない。しかしそれが、この世界で思い思いに暮らす人々を生み出した。


制約が自由を生み出しているのだ。


緊急事態宣言、行動制限、ロックダウン。
いま人類は史上最大の制約の中にいる。

マイクラに熱中した1年間。
ここでは、自由に世界を描き、自由に世界を駆けめぐれる。

マイクラは制約された世界の中で、わたしたちに自由をくれた。

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