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安里兄弟
福祉の講師をしていると、「資格取得は大切ですよ」という受講生さんのモチベーションを上げる話をするのですが、そのときによくする体験談です。需要あるかどうかわからないのですが、アップしてみます。
~体験談~
僕が以前勤めていた職場に安里兄弟と呼ばれる二人の職員がいました。
二人は特に兄弟ではないのですが、沖縄によくある苗字で、おっきい方をアニキ・小さい方を弟とよばれ、利用者からも可愛がられていました。
僕にもよくなついてくれて、入浴の日で一緒の勤務だと仕事終わりによく「平良さんビールのもう」とおごらされていました。
「もっと高いもの頼め」っていうのですが、二人とも「もやしが好き」って一人一皿もやし炒めを食べていました。
そんな仲の良い二人でしたが、資格取得で人生が変わった印象があるのでお話させていただきます。
以前勤めていた職場は、臨時職員から正職になるための試験がありました。で、その受験資格が国家資格をもっていることなので、介護福祉士をもってないとボーナスもないし給与も安いという状況でした。(今はちがいます。)
ふたりとも、未経験で入ったので3年の実務経験をえて介護福祉士受験となったのですが、二人ともしっかり仲良く落ちました。
二人のために、過去問や解説書等も用意し、これだけ勉強したら必ず合格するっていうところまでサポートしたので何でよ!!となりました。
ふたりの関係がおかしくなったのは、翌年。安里弟の方だけが合格したあとからでした。
二人が言い争いをしていたので、理由を確認すると本当にくだらない内容でした。
えっと。高齢介護の利用者はほとんどが入れ歯を利用しているのですが、入れ歯の洗浄に歯磨き粉がNGで。(研磨剤がつかわれているので、白っぽくなってしまいます。)基本は水洗いとなっています。
しかし、試験に合格した弟が歯磨き粉を使っていたので、試験に落ちたアニキが注意したという話でした。弟に確認すると、もちろん上記の情報は知っているが、ヌメりがあったから使ったとのこと。本当にくだらないと思ったのですが二人は、本気におこっていました。
だんだん、二人が一緒にいる場面が少なくなり安里兄弟といえる雰囲気じゃなくなったころ。再度、アニキが試験に落ちました。
その直後、正職員の採用試験があり弟が合格。アニキがしんどそうな様子だったので、面談をもち入所ホームから通所デイサービスへと部署移動となりました。
移動後、半年もたたないうちに退職。
しばらく、近隣の小規模デイサービスに勤めていたそうですが1年もしないうちに退職し地元の名護(沖縄の北部)に帰ったとききました。
最近、北部の給油所で働いているのを見ましたが、あっちも気づいてないようだったので合図も送らないで後にしました。だいぶ、太っていてボッーとしている印象だったので悲しく感じたのと覚えています。
弟のほうは順風満帆で、今は彼女とも結婚しコロナ期間中には双子の男の子が生まれましたと年賀状が届きました。
僕の印象ですが、二人の能力の差はほとんどなく。二人一緒に介護福祉士の試験に不合格だったときは、ほぼ同じだったと思います。しかし、その後の合否が二人の人生を分けたように見えたので、今、試験勉強している皆さまに話させていただきました。