実話怪談　少女の顔が狐に

僕は、昔からよく不思議な体験をします。
これは、自分が体験した中でも、けっこう怖かった時のお話です。

当時、僕が住んでいたマンションの前には道をまたぐ様にしてコンクリートの鳥居が建っていました。そのコンクリートの鳥居をくぐって東に進んだところに神社がありました。

その日は、妻と車で出かけて帰りが遅くなっていました。夜中の2:00頃だったと思います。
家の（マンション）駐車場は、帰ってきた方向から見て、コンクリートの鳥居をくぐって、すぐの交差点を右折したところにあります。
その交差点を右折しようと一時停止した時に、車の左側を自転車が通り過ぎました。その自転車には見た感じまだ10代（高校生）くらいの女の子が乗っていました。

僕はその瞬間、妻に
「こんな時間にあんな若い女の子が１人で出歩いてたら危ないな」
と話をふりました。

その時です。
５メートルくらい先にいたその自転車に乗った女の子がブレーキをかけて急に止まりました。

僕は「ん？止まったぞ」と思い、そのまま視線をその女の子に向けていると、今度はその女の子が僕たちの方に振り向いてきました。

その時、僕は一瞬で鳥肌がたち、背筋に寒気が走りました。
車の窓は閉め切った状態で話していて、女の子とも５メートルくらいの距離があるので、僕たちの会話が聞こえるはずがないんです。

そして徐々に女の子の顔がこちらに向いてきます。
そして振り向いたその顔は、狐の顔！！

まるでお面をつけているかのように狐の顔が浮かび上がっていて、その下にニコッと不気味に微笑みを浮かべる少女の顔がぼんやりと見えました。

しばらく僕たちの方を不気味な笑みを浮かべながら、じっと見つめた後、再び自転車をこいで立ち去って行きました。

僕は妻の方に視線を向け
「今の見た？」
「狐の顔やったよな？」
「絶対に見たらアカンもの見たよな？」
と話しかけると、妻は顔をこわばらせ、
一言だけ「うん」と答えました。

それから１０年くらい経って近くの神社にお稲荷様のお社が建ちました。
もしかすると、その狐を見かけたのは僕たちだけではなく、他にも沢山の方が見かけていたのかも知れませんね。

そんな怖い体験でした。