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リチウム電池は山や湖で採れた材料で出来ている

リチウム電池はスマホや電気自動車のなかで使われている人工物です。しかし、そのおおもとの材料は山や湖で採れたものです。

リチウムは主に鉱山や塩湖(海水や地下水が蒸発してできた塩分濃度の高い湖)から採取されます。鉱山では、リチウムを含む鉱石(金属やその他の価値のある鉱物が含まれた石のこと。たとえばスポジュメン【spodumene】という鉱石)を採掘します。その後、この鉱石は粉砕され、リチウムを取り出すために精錬(金属を化学的に処理して取り出すこと)されます。一方、塩湖では、リチウムを含んだ塩水を採取し、蒸発池で水を蒸発させて、リチウムの濃度を高めます。この蒸発の工程は、数ヶ月から数年かかることがあります。

次に、採取されたリチウムは化学的に精製され、リチウム塩(リチウム炭酸塩【lithium carbonate】やリチウム水酸化物【lithium hydroxide】の形をしたリチウムの化合物)として抽出されます。これらのリチウム塩は、電池材料を作るための重要な成分になります。ここで、リチウム塩は水や酸(酸とは、物質を分解する性質を持つ液体)で処理され、さらに純度が高められます。

次に、このリチウム塩は、リチウムイオン電池に使用される電解液(電気を通すために必要な液体)や電極材料に加工されます。電極材料では、リチウムは通常、コバルト【cobalt】やニッケル【nickel】、マンガン【manganese】などの他の金属と組み合わさり、リチウムイオンが移動できるようにするための正極(カソード【cathode】と呼ばれ、電池の中で電気を受け取る部分)の材料になります。一方、負極(アノード【anode】と呼ばれ、電池の中で電気を放出する部分)は通常、グラファイト【graphite】(炭素でできた素材)で作られており、リチウムイオンが充電時に蓄えられ、放電時に放出される役割を果たします。

電池が使われるときには、リチウムイオンは電解液を通って負極から正極へ移動します。この移動によって電流が発生し、電池が電気を供給します。逆に、電池が充電されると、リチウムイオンは正極から負極に戻ります。このリチウムイオンの移動こそが、リチウムイオン電池のエネルギーを作り出す基本的な仕組みです。

こうして、山や湖で採れた天然資源を加工してリチウムイオン電池を作り、その中で生成されるリチウムイオンの特性を利用して、私たちが使うデバイスに電気を供給されます。筍や魚を料理して美味しくいただく構造に似ています。スマホや電気自動車を使うときは、天然の恵みに感謝したいものですね。

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