
ポアソン分布とは何か
ポアソン分布(Poisson distribution)は、ある時間や場所で「どれくらいの頻度で何かが起こるか」を表す確率分布です。例えば、1時間に何件の電話がかかってくるか、1日にどれくらいの交通事故が起こるかを予測するために使います。ポアソン分布は「めったに起こらないが時々発生する出来事」をモデル化するのにとても便利です。
ポアソン分布の条件
ポアソン分布を適用するのに必要な条件は次の通りです:
平均発生頻度が一定であること:例えば、1時間あたり平均で5回の電話がかかってくるような場合です。
出来事が互いに独立していること:1つの出来事が次の出来事に影響を与えないことを意味します。
短時間内に複数の出来事が発生する可能性が低いこと:例えば、短い時間の間に複数のイベントが一度に起こることはほぼないと考えます。
ポアソン分布は、平均発生回数(λ:ラムダ)というパラメータを使います。このλは、一定の時間内や空間内でどれくらいの頻度で出来事が発生するかを示しています。
確率質量関数(PMF)とは
確率質量関数(Probability Mass Function, PMF)とは、ある特定の値がどれくらいの確率で発生するかを示す関数です。ポアソン分布の場合、PMFを使って特定の回数の出来事が発生する確率を計算します。これにより、ある期間にどのくらいの頻度で出来事が発生するかを予測することができます。
ポアソン分布の数式
ポアソン分布の確率質量関数は次のように表されます:
$$
P(X = k) = \frac{e^{-λ} λ^k}{k!}
$$
ここで、
( k ) は出来事が発生する回数(0以上の整数)を表します。
( λ ) は出来事の平均発生回数です。
( e ) は約2.718の値で、数学の中でよく使われる定数です。
例えば、あるレストランで1時間に平均3人の客が来るとした場合、1時間に5人の客が来る確率をこの式を使って計算できます。(約 10.08% となります。)
ポアソン分布の応用例
ポアソン分布は、いろいろな場面で役立ちます。
通信システム:コールセンターにかかってくる電話の回数を予測することで、必要なオペレーターの数を決めるのに役立ちます。
交通管理:特定の交差点で1日に何回交通事故が発生するかを予測し、安全対策を考えるのに使います。
医療現場:病院で何人の緊急患者が来るかを予測し、スタッフの配置に役立てます。
ポアソン分布を使うメリット
ポアソン分布を使うと、まれにしか起こらない出来事の発生頻度をうまく予測できます。例えば、緊急の出来事や稀なイベントについての情報があると、それに応じてリソースを効率的に割り当てたり、計画を立てたりすることができます。また、計算がシンプルなので、日常生活でも実用的に使えることが大きなメリットです。
ポアソン分布の名前の由来
ポアソン分布という名前は、19世紀のフランスの数学者シメオン・ドニ・ポアソン(Siméon Denis Poisson)に由来しています。彼は確率論を研究していて、まれにしか起こらない出来事を説明するためにこの分布を提案しました。
ポアソン分布と他の確率分布との関係
ポアソン分布は他のいくつかの確率分布とも深い関係があります。
二項分布との関係:二項分布は、限られた回数の試行の中で成功する回数をモデル化しますが、ポアソン分布は試行回数が非常に多く、成功する確率が非常に低い場合に使います。このため、稀に発生する出来事を扱うのにポアソン分布が有効です。
指数分布との関係:ポアソン分布と指数分布はお互いに関連しています。指数分布は次の出来事が発生するまでの時間をモデル化し、一方でポアソン分布は一定の時間内に何回出来事が発生するかを表します。
正規分布との関係:λが大きくなる、つまり平均発生頻度が高くなると、ポアソン分布は正規分布に近づきます。この性質により、λが大きい場合は計算を簡単にするために正規分布を使うこともあります。
まとめ
ポアソン分布は、ある時間や場所でどれくらいの頻度で何かが起こるかを予測するのにとても便利な確率分布です。コールセンターへの電話の回数や交通事故の発生頻度を予測するのに使われており、まれに起こる出来事を扱うのに適しています。ポアソン分布を使うことで、稀な出来事の確率を正確に予測することが可能になります。