Zip圧縮するときはファイル群を小分けせず一括圧縮する方が小さくなる?
Zip圧縮は、データをより小さなサイズに変換する技術で、主に可逆圧縮の方法を用います。代表的なアルゴリズムとしては、LZ77とハフマン符号が使われています。
まず、LZ77はデータ内の繰り返しパターンを探して、同じ内容が出現した場合、その繰り返しを参照で置き換えます。たとえば、「abcabc」という文字列がある場合、後半の「abc」を最初の「abc」を参照する形で表現します。これにより、無駄なデータを減らします。
次に、ハフマン符号化は、出現頻度の高い文字に短いビット列、出現頻度の低い文字に長いビット列を割り当てる技術です。たとえば、頻繁に出現する文字には2ビット、それ以外には3ビット以上を割り当て、全体のデータ量を減らします。
これらの手法を組み合わせることで、Zip圧縮はデータを効率的に縮小しつつ、元のデータを完全に復元できる形式となります。
Zip圧縮は、データを効率的に圧縮する手法ですが、圧縮の際にファイルの扱い方によって圧縮率が異なる場合があります。具体的には、同じファイルの集合を小分けにして圧縮した場合と、全体を一括して圧縮した場合で、最終的なZipファイルのサイズが異なる可能性があります。多くのケースで、全体を一括で圧縮した方が、より効率的な圧縮が可能となり、ファイルサイズが小さくなる傾向にあります。
全体を一括で圧縮する場合のメリット
Zip圧縮では、前述の通り、LZ77とハフマン符号化を組み合わせた圧縮アルゴリズムが使用されます。LZ77はデータ内の繰り返しパターンを検出し、過去に出現したパターンを参照することで圧縮を行います。したがって、一括でファイルを圧縮することで、複数のファイルにまたがる繰り返しパターンを検出できる可能性が高くなります。たとえば、複数のテキストファイルやログファイルに似たパターンが含まれている場合、全体を一括で圧縮することで、ファイル間の共通のパターンを有効に圧縮できます。
具体的には、同じ単語やフレーズが複数のファイルに出現している場合、全体一括での圧縮ではそのパターンを1回だけ記録して、あとは参照として圧縮することができます。しかし、これを小分けにして圧縮してしまうと、各ファイルの圧縮が独立して行われるため、ファイル間で同じパターンが繰り返し登場しても、それぞれのファイル内でしか圧縮が適用されず、効率的な圧縮ができなくなります。
小分けに圧縮する場合のデメリット
逆に、ファイルを小分けにして圧縮すると、各ファイルごとに独立して圧縮処理が行われます。これにより、ファイルごとにLZ77のパターンマッチングやハフマン符号化が適用されるため、複数のファイルに共通するパターンを検出して圧縮することができなくなります。その結果、重複したデータが複数の圧縮ファイルに含まれることになり、全体としての圧縮効率が低下し、最終的に生成されるZipファイルのサイズが大きくなる可能性があります。
たとえば、同じヘッダーやフッターが多数のファイルに含まれている場合、全体を一括で圧縮するとその部分が1度だけ圧縮されて参照されますが、小分けにして圧縮した場合、それぞれのファイルで個別に圧縮され、同じ内容が何度も保存されることになります。これが原因で、全体のZipファイルサイズが増加するのです。
実際の圧縮結果はデータ次第
ただし、実際の圧縮結果は、圧縮対象となるデータの性質に大きく依存します。もし、圧縮対象のファイルがすべて異なる内容であれば、小分けにした場合と一括した場合の圧縮率に大きな違いは生じない可能性もあります。逆に、ファイル間に多くの共通パターンや繰り返しが存在する場合、一括で圧縮する方が明らかに効率的です。
たとえば、以下のようなケースでは、全体を一括で圧縮する方が特に有利です:
• 同じフォーマットのデータファイルが複数含まれている場合(例:ログファイル、CSVファイル、同一のテンプレートを使用したドキュメント)。
• 画像やテキストファイルで、同様の繰り返しパターンがファイル間で存在する場合。
• 一連のバージョン管理されたソースコードファイルなど、変更が部分的でファイル全体が大きく異ならない場合。
一方で、ファイルの内容が非常に異なる場合や、圧縮対象がすでに最適化されたデータ形式(例:JPEG画像やMP4動画など)の場合は、小分けにした場合でも一括した場合でも、ファイルサイズに大きな違いが出ないこともあります。
圧縮形式による違い
さらに、圧縮形式やアルゴリズムによっても結果は異なる可能性があります。たとえば、Zip形式以外に7zipやRARといった他の圧縮形式では、より強力な圧縮アルゴリズムが使用されるため、一括圧縮と小分け圧縮の違いがさらに顕著になる場合もあります。これらの圧縮形式は、より高度な辞書ベースの圧縮や圧縮対象のファイルタイプに応じた最適化を行うため、データ量をさらに削減できることがあります。
結論
まとめると、同じファイルの集合を一括で圧縮する方が、通常はファイルサイズが小さくなる傾向にあります。これは、LZ77による繰り返しパターンの検出や、ハフマン符号化による効率的なビット列割り当てが、ファイル全体に対して一括で適用されるためです。特に、複数のファイルに共通するパターンが存在する場合、この効果は顕著です。一方、小分けにして圧縮すると、ファイル間の共通データが個別に扱われ、圧縮効率が低下する可能性があります。したがって、圧縮する際には、全体を一括して処理する方が望ましい場合が多いです。ただし、実際の結果はデータの性質や圧縮形式に依存するため、場合によっては小分けにすることが適しているケースもあります。
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