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パリ近郊でしか味わえない、ディズニーの魔法とヨーロッパの風情
ディズニーランドパリは、東京ディズニーリゾートとは異なる独自の魅力を持つテーマパークです。その違いは、単にアトラクションのラインナップやキャラクターの登場にとどまらず、テーマパーク全体の雰囲気やデザイン、そして地域性に根ざした要素が多く含まれています。パリならではの文化的背景やヨーロッパの自然が織り交ぜられたこのパークは、訪れる人々に特別な体験を提供しています。
まず、ディズニーランドパリを語る上で欠かせないのが「眠れる森の美女の城」です。東京ディズニーランドにあるシンデレラ城とは異なり、パリの城はフランスのゴシック建築を彷彿とさせるデザインが施されています。尖塔がそびえ立つ姿は、どこか荘厳で神秘的な雰囲気を醸し出しています。また、この城の地下にはドラゴンが眠る洞窟が存在し、リアルなアニマトロニクスによって表現された巨大なドラゴンが訪れる人々を驚かせます。このドラゴンは、約27メートルの長さがあり、時折目を覚まし、火を吐く姿は圧巻です。
ゴシック建築は、その尖塔やアーチ、ステンドグラスなど、荘厳で神秘的なデザインが特徴で、12世紀から16世紀にかけてヨーロッパで発展しました。ゴシックという言葉は、もともと「野蛮な」という意味を持ち、ルネサンス期の学者たちが、この建築様式をゴート族のものと誤解して名付けたものです。このゴシックの美意識は、後に「ゴシック書体」と呼ばれる独特の文字スタイルにも影響を与えました。ゴシック書体は、中世ヨーロッパで広く使われた太くて角ばった文字で、ゴシック建築と同じく重厚で力強い印象を与えます。現代では、この美学が日本の「ゴスロリ」ファッションにも受け継がれ、クラシカルで幻想的なスタイルとして親しまれています。
さらに、ディズニーランドパリはパーク全体がヨーロッパの文化と自然を巧みに取り入れたデザインで彩られています。たとえば、「アドベンチャーランド」は中東やアフリカをテーマにしたエリアが広がっており、異国情緒あふれる建物や風景が訪れる人々を魅了します。砂漠のオアシスを思わせるオリエンタルな装飾や、アフリカの部族の村を再現したエリアは、まるで異国を旅しているかのような感覚を味わえます。また、このエリアには「カリブの海賊」などの人気アトラクションもあり、異文化に触れながらスリル満点の冒険を楽しむことができます。
意外かもしれませんが、「アラジンと魔法のランプ」の主人公アラジンは、実は中国人とされています。この物語は、アラビアンナイト(千夜一夜物語)の一編として知られていますが、もともとアラビアで生まれた話ではありません。アラジンの物語は、フランスの翻訳者アントワーヌ・ガランが17世紀に追加したもので、彼のソースとなったシリアの語り部から伝えられたものです。物語の設定も、中国の都市を舞台にしており、アラジンは中国の若者として描かれています。ディズニー映画などでアラジンが中東のキャラクターとして描かれることが多いですが、オリジナルの物語では中国にルーツがあるというのは興味深い事実です。
一方、「ファンタジーランド」はクラシックなヨーロッパの村をイメージしたエリアが特徴です。ディズニー映画でおなじみのキャラクターたちが住む村が、実際に目の前に広がるような風景が展開されています。石畳の道や古風な建物、風車や噴水など、ヨーロッパの田舎の風景が再現されており、訪れる人々はまるで絵本の中に入り込んだかのような気分を味わうことができます。このエリアでは、白雪姫やピノキオ、ピーターパンなどのクラシックなディズニーキャラクターたちと出会えるアトラクションが多数あり、家族連れにも人気です。
『美女と野獣』(ベルと野獣の物語)はフランスの民話が元になっており、フランスの田舎町を舞台にしています。また、『眠れる森の美女』のオーロラ姫も、フランスのシャルル・ペローが著した童話を基にしています。さらに、『ノートルダムの鐘』の主人公カジモドは、パリのノートルダム大聖堂を舞台にしたヴィクトル・ユゴーの小説から登場しています。これらのキャラクターは、フランスの文化や歴史に深く根ざしており、ディズニー作品の中でも特に魅力的な存在として描かれています。
また、ディズニーランドパリのもう一つの魅力は、その季節ごとのイベントやショーです。特にハロウィンやクリスマスのシーズンには、パーク全体が特別な装飾で彩られ、訪れる人々を非日常の世界へと誘います。ハロウィンシーズンには、パーク内におばけや魔女が登場し、暗くなったパークは不気味でありながらもどこか楽しい雰囲気に包まれます。クリスマスには、雪が降る演出や巨大なクリスマスツリーがパークを彩り、温かくも幻想的な世界が広がります。これらのイベントは、ディズニーランドパリならではの特別な体験であり、東京ディズニーリゾートとはまた異なる季節ごとの楽しみ方を提供しています。
さらに、ディズニーランドパリはその立地からヨーロッパ各地へのアクセスも良好です。パークを訪れるついでにパリ市内の観光地や、ベルギーやドイツなどの近隣諸国を巡ることも容易にできる点は、旅行者にとって大きな魅力となっています。特に、ヨーロッパを代表する美術館や歴史的建造物を訪れる文化的な旅と組み合わせることで、ディズニーランドパリでの体験はより一層豊かなものとなるでしょう。
タリス(Thalys)とICE(InterCity Express)は、ヨーロッパの主要都市を結ぶ高速鉄道で、特にパリとベルギー、ドイツを結ぶルートで活躍しています。タリスは、パリとブリュッセル、ケルン、アムステルダムなどを結び、快適な座席と高速運行で人気です。一方、ICEはドイツ鉄道が運行する列車で、パリからフランクフルトやミュンヘンといったドイツの主要都市へと直接アクセスできます。これらの鉄道は、ヨーロッパ旅行者にとって利便性が高く、異なる国や文化を楽しみながらスムーズに移動できる手段として支持されています。特にビジネスや観光目的で、パリからベルギーやドイツへの移動を考える人々にとって、タリスとICEは欠かせない存在です。
このように、ディズニーランドパリは、東京ディズニーリゾートにはない多くの魅力を持つテーマパークです。フランスならではのゴシック建築やヨーロッパの文化と自然が融合したデザイン、季節ごとの特別なイベントやショー、そしてヨーロッパ各地へのアクセスの良さなど、ディズニーランドパリでしか味わえない特別な体験が訪れる人々を待っています。東京ディズニーリゾートを訪れたことがある方も、ディズニーランドパリでは新たな発見や感動が得られることでしょう。
ディズニーランドはパリにない?
「ディズニーランドパリ」という名前から、多くの人がパリ市内にあると思いがちですが、実際にはパリ中心部から約32キロ東に位置しています。所在地はマルヌ=ラ=ヴァレという郊外のエリアで、パリ市内からは電車で約40分程度です。パリの美しい街並みを楽しんだ後、少し足を伸ばしてディズニーランドパリに訪れることで、現実世界と夢の国との行き来が楽しめます。ディズニーランドパリは、まさに「パリにない」けれど「パリに近い」特別な場所です。
ディズニーランドパリがパリ市内から少し離れた場所に位置している理由には、いくつかの背景があります。1980年代、ディズニーがヨーロッパに新たなテーマパークを建設する際、立地の選定には慎重な検討が行われました。ヨーロッパの多様な文化や風土に適応するために、パリを含むいくつかの都市が候補地として挙げられました。最終的に選ばれたのが、パリの郊外にあるマルヌ=ラ=ヴァレでした。この地域は、パリからのアクセスが良好で、広大な土地が確保できるという利点がありました。さらに、ヨーロッパ全土からの訪問者を見込むため、交通網の整備も容易だったことが決定要因となりました。
この立地選定により、ディズニーランドパリは、パリ市内の喧騒から離れ、広々とした敷地内で独自の世界観を展開することが可能となりました。ディズニーランドパリの周囲には、テーマパークに訪れるゲストのためのホテルやリゾート施設も整備されており、パリ市内のホテルよりもリーズナブルな価格で宿泊が可能です。これにより、家族連れや長期滞在を希望する観光客にとって、快適で経済的な滞在が実現できる環境が整っています。
東京ディズニーランドが舞浜に建設された理由は、広大な土地の確保と交通アクセスの良さにあります。1970年代、東京湾岸地域はまだ開発が進んでおらず、広大な埋立地が利用可能でした。ディズニーランドのような大規模なテーマパークには、十分な敷地が必要であり、舞浜はその要件を満たしていました。また、都心からのアクセスが容易であることも重要な要素でした。JR京葉線の整備が進んでいたことにより、東京駅からのアクセスが確保され、多くの観光客が訪れることが可能になりました。これらの条件が揃った舞浜は、ディズニーランドの理想的な立地として選ばれたのです。
また、ディズニーランドパリの存在は、パリ市内とは異なる観光体験を提供しています。パリ市内は、エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム大聖堂など、歴史的かつ文化的な名所が豊富にあります。一方で、ディズニーランドパリは、夢と魔法に満ちたエンターテインメントの世界を提供しており、訪れる人々にとっては現実逃避の場となります。このように、パリの文化的な体験とディズニーランドパリの非日常的な体験を組み合わせることで、訪問者は二つの異なる世界を楽しむことができるのです。
さらに、ディズニーランドパリがパリ市内にないことには、もう一つのメリットがあります。それは、パークがパリの都市計画や歴史的景観に影響を与えず、独自のテーマ性を維持できるという点です。パリ市内には、世界的に重要な歴史的建造物や景観が数多く存在し、これらを保護するための厳しい規制が設けられています。もしディズニーランドパリが市内に建設されていたとすれば、こうした規制がパークのデザインや規模に影響を与え、ディズニーの本来の魅力を損なう可能性がありました。
マルヌ=ラ=ヴァレという郊外に位置することで、ディズニーランドパリはその広大な敷地を活かし、より自由にテーマパークを設計することができました。結果として、訪問者はパーク内での滞在を存分に楽しむことができ、また、パリ市内に戻った後には、再び歴史や文化に満ちた都市観光を楽しむことができます。
もしも京都にディズニーランドが景観保護を遵守して建設されていたら、非常にユニークなテーマパークが誕生していたことでしょう。京都のコンビニやマクドナルドが黒い看板で目立たないように工夫されているように、シンデレラ城も現在のような高さや煌びやかさは控えられ、より低く、もしかしたら木造で建設されていたかもしれません。また、京都の厳しい景観規制を考慮すれば、ディズニーランド全体が和風に変わるのではなく、部分的に伝統的な要素を取り入れる形でデザインされる可能性が高かったでしょう。
しかし、京都の特性を考えると、広大な敷地の確保が非常に難しかったはずです。現在ある土地を潰す前提で考えるならば、例えば鴨川や嵐山など、自然と歴史が交錯する地域が候補に挙がるかもしれませんが、それでもディズニーランド規模の敷地を確保するのは容易ではありません。結果的に、ディズニーランドは規模を縮小し、京都の豊かな自然や伝統的な景観と共存できる形での設計が求められたでしょう。こうして生まれたディズニーランドは、京都ならではの特別な体験を提供するものになっていたことでしょう。京都の風景と調和したディズニーランドは、他にない特別な場所として訪れる人々に深い印象を与えたかもしれません。
ディズニーランドパリの周辺には、他にも様々な観光スポットやアクティビティが存在します。例えば、ヴァル・デュ・オーロップという大規模なショッピングモールがあり、ここでは買い物やレストランでの食事を楽しむことができます。また、郊外の静かな環境の中で、リラックスして自然を満喫することも可能です。これにより、ディズニーランドパリを拠点に、パリの都市部とは異なるフランスの一面を発見することができるのです。
ディズニーランドパリは「パリにない」かもしれませんが、その距離感がもたらす利点は多岐にわたります。訪問者はパリ市内の観光とディズニーランドパリでの非日常的な体験を組み合わせることで、充実した旅行を楽しむことができます。また、郊外という立地は、パークが広大な土地を活かし、自由な発想でテーマパークを設計することを可能にしました。このため、ディズニーランドパリは「パリにない」けれど、フランスでしか体験できない特別な場所として、多くの人々に愛されています。