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小笠原流の流鏑馬を見てきた

2024年10月19日、東京都中央区の堀留児童公園で小笠原流の流鏑馬(やぶさめ)が披露されました。鎌倉時代から続くこの伝統的な弓馬術は、単なる技術の披露ではなく、武士の礼儀作法や精神修養を重んじる儀式として現代にまで受け継がれています。

この日の演武では、小笠原流32代目当主である小笠原氏自らが作法や技術について解説を行いました。流鏑馬がいかに精密な身体運用と精神集中を必要とするかが強調されました。小笠原流というと思い出すのは、目線の位置に関する「目通り」「乳通り」「肩通り」の作法ですね。

流鏑馬は、疾走する馬上から的を射抜く技術ですが、今回の会場は距離が限られており、約80メートルの短い走路での披露となりました。本来は240メートルほどの距離を要する演目ですが、その制約の中でも矢が的に命中する瞬間には圧倒的な迫力があり、観客から大きな歓声が上がりました。馬を操りながら弓を引き絞り、瞬時に的を狙う技術は、見る者に大きな感動を与えました。

また、流鏑馬の装束にも歴史的背景が反映されており、鎌倉時代の武士装束が再現されていました。江戸時代の帯刀と違い、鎌倉時代は太刀の刃が下向きに装着されます。調べてみると、鎌倉時代は騎馬戦を前提としているためだそうです。一方、江戸時代には護身術としての機能が重視され、刃が上向きになったとのこと。

小笠原流の流鏑馬は、源頼朝の命により小笠原長清が体系化したとされ、武家社会の規範や礼儀作法の基礎を築いた重要な文化遺産です。その精神は、単なる武技の披露を超え、神事や自然への感謝という側面も持ち合わせています。

現在、小笠原流の流鏑馬は全国各地で保存・伝承され、鎌倉や東京の明治神宮などでの演武が特に有名です。今回の堀留児童公園での演武も、その歴史と文化を現代に伝える貴重な機会となりました。

現代の私たちが流鏑馬を見ることには、単なる歴史的再現という以上の意味があります。それは、古代から受け継がれた技術と精神、そして礼儀作法がいかに時代を超えて人々に感動を与え続けるかを再確認する機会でもあります。

小笠原流流鏑馬の伝統は、これからも多くの人々に伝えられ、その美しさと精神性が受け継がれていくことでしょう。

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