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お守り


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お守り

 指輪をもらったら、妖精がついてきた。手入れを怠ると叱られる。
 指にはめたままだと不機嫌になるので、とっておきのときしかつけない。
 おめかしして出かけたいときや、勇気がほしいとき。
「あのね」
 自分の意志を通すのが、難しく感じるときがある。今がそう。何を言っても通らない。幼い子ども相手のように、取るにたらないと、軽くあしらわれてしまう。
 震える手に、そっと、何かが触れる。
 指輪から少し離れて、妖精が、私の震える拳に触る。背中の薄い羽の、半透明の影が、テーブルに落ちている。
 ふと、大丈夫な気がして、毅然と話ができた。
 その日は目一杯指輪を磨いて、妖精と共に満足して眠りについた。

「お守り」
https://ncode.syosetu.com/n9497dr/210/
画像とリンク先のテキストは同じ小説です。
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毎月300字小説企画第18回お題・指



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