夏滅
夏はなくなってしまった。
わくわくする流しそうめんも、
楽しみにしていたプールも、
海でのバーベキューも、
もうこの気温では罰ゲームになり得る。
耳を塞ぎたくなるほどの蝉の声や、
鼻の頭がツンとなるかき氷が恋しい。
セミは暑すぎて鳴かないし、
かき氷は頭がツンとなる前に溶けてしまう。
夏はもう来ない。
馬鹿みたいに暑いのを"夏"とは呼ぶのではない。
夏らしいことができるからこそ夏なのだ。
今出来ることと言えば、
車から降りないドライブや
20℃の空間で行う、あれや、これや、なのだが
とどめとして節電要請が出た。
多分もうジッとしている他ない。
夏とは元々気分が良いもののはずだった。
これは夏ではない。
夏に代わり、
この暑さや気怠さに相応しいこれを「滅」とする。
夏は滅びた。
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