ロバストエクイティと非ロバストエクイティについて
今回はテキサスホールデムの話。
ポーカーを上達していくうえで絶対に欠かせない知識としてエクイティ、ポッドオッズ、EVの3点があると考えています。
今回はその中からエクイティの話をしていこうと思います。
エクイティとは相手のハンドやレンジに対し、自分のハンドがリバーまでに勝つ可能性のことを言います
持っているハンドの強さを表す数字と理解している方もいると思います。ポーカーで勝つために強いハンドを持つことは重要ではありますが、あるハンドがより大きなエクイティを持っているからと言ってそれが必ずしもより稼げるハンドとは限りません。
ポーカーで勝つということがより多くのチップを相手から奪うこと(強い表現になりますが)になるため強いハンドではなく稼げるハンドを選ぶことがより重要なハンドをプレイする基準になります。またそれぞれのストリートでの適切なアクションもエクイティによって左右されます。
ロバストエクイティと非ロバストエクイティ
https://www.amazon.co.jp/No-Limit-Hold-%C2%92em-Advanced-Players/dp/1880685590
No Limit Hold'em for advanced players : Emphasis on Tough Gamesという本でも紹介されている考え方です。
ロバストエクイティとは対戦相手のレンジ(ハンド)が変化しても増減しにくいエクイティのことを言います。
非ロバストエクイティとは対戦相手のレンジが変化することでで大きく増減するエクイティのことを言います。
エクイティがどれほどロバストであるかはどのようなプレイラインが最善であるか決定するうえで重要な要素になってきます。
ロバストエクイティの例
①【Th 7d 2h】の時の8h9hのようなフラッシュドロー+ストレートドロー
②【Ah 6d 2s】の時の6h6cのようなセット(強いメイドハンド)
非ロバストエクイティの例
③【kh 7d 4h】の時の6c7cのようなドローなしのミドルペア
④【Th 7d 2h】の時の88のようなミドルのポケットペア
①のようなハンドでショーダウンで勝つためにはフラッシュもしくはストレートを完成させる必要があります。もしどちらかを完成させた場合は対戦相手のレンジがどれほど強くなろうが問題にはなりません(不運にも上のフラッシュとぶつかる場合はありますが)。このため、たとえ対戦相手のレンジを強くしてしまうとしても、ドローを引けばベストハンドだということを理解しながらアグレッシブにベットやレイズをすることが有益になります。
②のようなハンドの場合こちらがベットやレイズをするたびに、相手はドローのないハイカードなどの弱いハンドをフォールドしていくわけで、相手のハンドレンジにはトップペアや、強いドローなどの割合が高くなりこちらのエクイティは少しずつ低下していくことになります。しかし、相手のレンジが強くなったとしても相手のレンジに対してこちらのハンドが大きなエクイティを持っているという事実に変化はないため、アグレッシブにベットやレイズをすることが有益になります。
一方③、④のようなハンドではどうでしょうか。
もしも相手のレンジがプリフロップから変化せず広く弱いレンジのままであればミドルペアは相手のレンジ内のハイカードや弱いペアに勝つことができるためにある程度のエクイティがありますが、相手のハンドレンジが強くなっていくことで相手がハイカードや弱いペアをフォールドするたびにこちらのミドルペアがショーダウンで勝つことが困難になります。そのため非ロバストエクイティのハンドであまりアグレッシブにベットやレイズをすることは相手の弱いハンドをフォールドさせることでノンショーダウンで勝つことはできますが、コールされて相手のハンドレンジ強くなった場合の不利益が大きいことに注意が必要になります。
①、④の例から相手のレンジが変化するときにハンドのエクイティがどのように変化するかをシミュレートしてみましょう
相手は下の表に従い全体のハンドの30%、404コンボでハンドに参加するとします。(30%レンジと呼びます)
ヒーローは8h9hもしくは88をもってハンドに参加後フロップは上の例と同じ【Th 7d 2h】となったとします。
この時の8h9h、88それぞれのエクイティを出します。
8h9hは59%
88は56%でした。
本来のテキサスホールデムではこの後お互いのプレイヤーのアクションによってレンジが変化しますが、今回は相手のレンジからカードを消去することでエクイティの変化をシミュレートします。
まず【Th 7d 2h】のフロップに合うハンドを選んで残すことで30%レンジから14%(188コンボ)を消去して約半分の16%(216コンボ)を残しました。
濃い青はスートの指定があります。スーテッドハンドではハートのスーテッドを、AハイオフスートハンドはAh持ちを残しています。
残したハンドはセット、オーバーペア、T、7のペア、8と9のポケットペア、フラッシュドロー、ストレートドロー(ガットショット含む)Aハイバックドアフラッシュドローなどです。
8h9h、88のそれぞれのエクイティは
8h9hは53%
88は35%
それぞれのエクイティを30%レンジの時のエクイティと比較すると88のエクイティがより大きく低下していることがわかります。
次に30%レンジから16%レンジを作る際に消去した14%のレンジを使用してそれぞれのエクイティを見てみましょう。30%レンジのうちの弱いほう半分のレンジになります。
8h9hは65%
88は77%です。
それぞれのエクイティを30%レンジのエクイティと比較すると88のほうでより大きく上昇していることがわかります。
まとめると下の表になります
グラフにすると
30%レンジに対してはあまり変わらないエクイティを持つ2つのハンドですが、レンジを変化させた場合は16%レンジ(強いレンジ)、14%レンジ(弱いレンジ)に対してのエクイティの変化量が88において明らかに大きいことがわかります。
今回の記事で相手のレンジの変化によりエクイティが変化しやすいハンドと変化しにくいハンドがあることを示しました
実際のテキサスホールデムではベットやレイズをすれば相手は弱いハンドをフォールドすることになり、こちらのベットに対して相手のコールやレイズをするハンドレンジはそれまでのレンジと比較して強くなります。極端な話ですが相手のレンジが強くなってもこちらのエクイティに全く変化がなければ相手がフォールドする分だけこちらが得することになります。ロバストエクイティを持つハンドでは疑似的そのようなことが起きます。
まとめると
ロバストエクイティを持つハンドでは相手のレンジが強くなることへの不利益が少ないためアグレッシブにベットすることが最善になりやすいです。
非ロバストエクイティを持つハンドではベットすることで相手のレンジが強くなることの不利益が大きいためアグレッシブにベットすることは控えたほうがいいです。
今回はエクイティとプレイの仕方の関係について書きました。
同じようなエクイティのハンドでもそのエクイティがロバストなものか、非ロバストなものかでプレイの仕方はかなり変わります。
GTOや個々のハンドについての解説よりこのような基礎的な知識は一度覚えればかなり応用が利くと思います。
ついでに
オッズコールについて
エクイティとポッドオッズを考えオッズに合うからコールするという考え方も相手のベッドレンジはほとんどの場合正確には把握できないため、相手のベッドレンジによる影響の少ないロバストエクイティのハンドほうが向いています。
ポッドオッズに関しても時間のある時に記事を書けたらと考えてます。
おしまい
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