ジャズベースタイプピックアップ(2種類)レビュー その2
ベーシストの楽器の出したい音を出すお手伝いをしているhirokiと申します。
主にエレクトリックベースを弾いていて楽器の調整や楽器、pu(ピックアップ)製作、ジャズベースタイプのpu集めが好きなことから、puはじめとしたパーツ選びの相談を受けることが多いです。
その2、
になります。
* その1はこちら
私は5弦のジャズベースタイプのベースを愛しているのもあり、これまで沢山のピックアップを買ったり、買わずとも弾かせていただいたりしてきました。
エレクトリックベースでの音の好みを決める要素で、プレイヤーが指で全てをコントロールします、というのも勿論そうですが、私個人的にピックアップはとても大きな要素を占めている、ということを感じています。
最近実感した例でいくと、フェンダーの近年のジャズベースに1965年製のジャズベースのピックアップの取り付けたらかなり好みな音になった、という例だとか(これもいつか音源にしたいと思っています)。
私が弾いてきた中で特に印象に残ったピックアップであまり他の人が弾いたことがないのでは?というものをいくつか紹介していこうかと思います。
それではいきます!!!
1 Coil boutique
① メーカー概要
イスラエルのメーカー。コイルブティックと読みます。
ウェブサイトはこちら
ピックアップだけでなく楽器も製作していて、このYoutubeやブログでの知識の共有を図っているメーカー。
私もこちらのコンテンツで勉強させていただきました。
・Youtube
・Blog
こういう楽器業界に対して知識を共有して発信していくというスタイル、マインドは個人的にとても共感できます。
実際にオーダーする際ウェブサイトを見るとわかるのですが、マグネットのラジアス(マグネットの高さをネックの表面の山なりに合わせたような仕様)を選択できたり、ポッティング(コイルのワイヤーを溶剤で固めること)の有無を選択できたりと色んなオプションが選択できるところも魅力。
しかもその影響がこういう方向になるよ、とコメントがついていたりと参考になります。
メーカーに問い合わせても彼らの知見によるコメントやアドバイス頂けたりとても好感が持てました。
② 購入した(試した)したモデル、購入先
Funky Town というモデルと、J-Low というモデルを購入しました。
このほかにもハムキャンセルにになっているTwin Engine 、低音重視のNibiruというモデルとジャズベースタイプだけで4つもあるところが凄い!
ネット上で日本人で買いました、みたいなのを上げている人なかなか見かけなくて代理店も多分なくメーカーから直接買うしかなさそうです。
・Funky Town
・J-Low
・Twin Engine
・Nibiru
③ 私の個人的な感想
・Funky Town
一言で言うととてもタイト、芯がある音がします。
これまでこの種類のジャズベースタイプのピックアップは経験したことなく、所謂ジャズベースのピックアップと想像する音(ネックピックアップのみにすると太い音が出て、ブリッジピックアップにするとクリアでタイトな音がする)とは少し異なります。
特徴はネックピックアップとブリッジピックアップの音の差が少なく、特にネックピックアップの音の太さ(いい意味で音がぼやける感じ)が少ない、という印象。
ブリッジピックアップは単体でもタイトながら音の重心が低め。
ジャズベースタイプのピックアップをネックピックアップ寄りにして使う人には少し物足りなさを感じるけど、ブリッジピックアップ寄りが好みだけどブリッジよりにすればするほど音の重心が上がりがちになってしまうのに悩んでいた人にはとてもよいピックアップです(正直色々試した中でこの方向性のジャズベースのピックアップは全然ない)。
・J-Low
ウェブサイトの解説のとおりワイドレンジでマーカスミラーの音をイメージしているようなことが書かれています。
プリアンプ使わなくてもアクティブ感のある音がする、と言うのが私の第一印象です。
スラップした時に気持ち良い音が出るように設計されていると思われ、バキバキの音が出せるけどしっかりとした低音が同居するような音で、ネックピックアップの心地よい太い音がそれを担っていると感じました。
ブリッジピックアップはタイトでありながら少し高音の出方が耳に痛い成分が少なめの音がする印象でした。
これがバキバキした音が出ながらも嫌な音になりにくい効果を出しているのでは?と感じました。
コイルワイヤーはポリナイロンを使用している、と書かれており、フェンダーのビンテージ系でよく使われる、フォームバーとかプレーンエナメルとは異なります。
このワイヤーのセレクトとフロントとブリッジの音の太さのバランスでこのピックアップの音ができているのかな、と感じています。
綺麗目な音がするのでザラザラした感じガリガリした感じの音を出したい方には少し物足りないかなと思います。
④ 参考音源リンク
・Funky Town
私はこれを見てほしい!、と思って買いました。
特にブリッジピックアップのみでフィンガーピッキングしているときに、70'sのブリッジピックアップ位置で細くなりがちな音が、このピックアップで腰のある低音出ています。
・J-Low
2つの動画ぐらいしか音源なく所有して思うのはこの動画では魅力が伝わらない、と思うのが正直なところ。
1番目の動画は奏法が特殊すぎてなかな判別しずらいです。
こういうスタイルでベース1人で弾いても音が美しい、と言うことはわかりますが。
2番目の動画はフィンガーピッキングで一瞬スラップのプルするところがあります。プルしても結構柔らかめの音がする感じです。
・番外編(オリジナルモデル)
ベーシストのたかとさんがオリジナルブランドのベースで使っているピックアップがこちらのメーカーのものです。
たかとさんはオリジナルモデルをオーダーしているので市販品とは違いますが音の傾向は近いものがあるのでとても参考になると思います。
2 Loller Pickups
① メーカー概要
アメリカのメーカー。ピックアップメーカーは小さなところが多いのですがこちらはウェブサイトを見る限りそれなりに大きい規模のようです。
ウェブサイトはこちら
② 購入した(試した)したモデル、購入先
購入先は宮地楽器さんから。
宮地楽器ウェブサイトはこちら。
https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/162459/180004/list.html
ジャズベースタイプは5弦だとJAZZ BASS 5-STRINGというモデルと、'70S JAZZ BASS 5-STRINGというモデルのの2種類があり、私は前者を購入。
4弦はもう少し種類が多いです。
参考にメーカーのベースピックアップのページのリンクを上げておきます。
③ 私の個人的な感想
私はこのピックアップがとても大好きです。
音は、というとLollerの音がします。オリジナリティ溢れる音です。
Fenderのジャズベースとは全く違います。
綺麗目な音とは正反対の攻撃的なハイと強いローミッド、アンサンブルで負けないような帯域が強く出る印象で、フラットな音というより結構偏りがある特徴的な音です。
そして強く弾いたら攻撃的な音がしますし、軽く弾いたり、少し触ってもごまかしが効かず繊細な印象で、セッティングによって音が大きく変化します。
ネックピックアップの音がとても太く、設定によってはプレシジョンベースの役割を充分果たすような音です。
ミックスした時のバランスをとってかブリッジ側はとてもタイトでありながら力強い音がします。
そして両方が特徴ある音で力強い音であるため、ネックのみリアのみで音がちゃんと成立するように設計されていると感じます。
④ 参考音源リンク
好きなメーカーでもあるのでちょっと音源沢山上げてしまいました。
<メーカー公式の各商品ページ>
サウンドクラウドの音源がありますがちょっと音質が微妙なところです。5弦のピックアップのリンクをここではあげておきます。
・JAZZ BASS 5-STRING
・'70S JAZZ BASS 5-STRING
<Nash guitars>
・ジャズベースタイプ
ジャズベースタイプの紹介動画ならこれが一番参考になります。
Nash専用にオーダーをかけている感じもしますがテイストは似ています。
全ての奏法において安定した音が出て、さらにトーン絞った時にも音が成立するというパッシブなのに音のバリエーションが広いのがローラーだと思います。
もう一つジャズベースタイプの紹介。
こちらのYoutubeでおそらく JAZZ BASS 5-STRING のピックアップであろう音が聴けます。動画の最初の方はあまり参考にならず、最後の最後3:20あたりから2フィンガーでの各ピックアップの音が聴けます。
もう一つ、日本のベースショップといえば、Geek In Boxさん!
・PJタイプのベース
3 最後に
今回は沢山購入したりお借りしたり試奏したりしたピックアップのうちの少しを紹介してみました。
正直これは全く使えないというものはなく、あくまで好み、であり私の感想でしかないです。
ただ経験上先ほど書いたようにピックアップでの音の影響は結構大きくてこれを変えることで今所有している楽器への違和感や不満を解決できる可能性は結構あると感じています。
音を変えたい、という相談を受ける中で、この楽器買いたいけどどうですか?とか相談受けることあります。
購入しないと難しいこともありますが、楽器そのものを購入しなくても手持ちの楽器を少しパーツ変えたり調整してもらったりで解決することもあります。
とはいえ、パーツ交換して試奏なんてできないし、という交換して違った音になるかと、という心配もあるか思います。私もそうでした。
楽器の調整やパーツ交換の経験からこんな音になりそうだよ、とか何となく今の楽器の音が不満で音を変えたいんだけど何からてをつけていいかわからない、といった悩みを聞いて、
その人にとって意味のある楽器の調整
その人にとって意味のあるパーツ交換
をするお手伝いをしてプレイヤーを幸せにしたいと思って私自身楽器を調整したり日々勉強しています。
皆様にそれぞれにとっての、弾いてて心地よい楽器に出会えて弾くのが楽しくなるヒントになればと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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